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不毛な会話
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『まさに双子じゃのぉ。左京に右京。夕霧に朝霧。顔も声も瓜二つじゃ。』
倉稲様は、鏡を磨く為に覗き込んでいる顔を見て、驚き感心していた。
「それ程、弟とは似てませんよ。アイツの方が何でも熟せて器用ですから。」
何故か、我が事のように嬉しそうに頷く、木通が居た。
『器用かどうかは知らぬが、判断力の速さは、修羅場を熟した経験値の差じゃろう。そして出来るかではなく、何でも熟さねば乗り切れぬ事の方が、篠辺では多かろう。それだけじゃ。』
倉稲様の言葉に、杏は左京と共に遠出し、水脈の影踏みをした事を思い出していた。
『そこの女童は、夕霧の式神じゃったな。確か…杏と申したか?』
急に話を振られて
「はぃ。杏といぃます。」
ちょっと声が裏返ってしまった。それを木通が
「おチビちゃんでも緊張するんだぁ。ぷぷぷっ」
そう言って楽し気に、からかった。
「木通。そんな言い方する事ないだろ。」
「銀さん、ありがとう。大丈夫よ。この〝動く猥褻物〟に、そもそも気遣いなんて
ワードないから。」
「はぁ?ちびっこだからって、何でも許されると思わないで!台の上に座らないと
磨けないなら、何でコッチに来たのよ。」
いつものが始まってしまった…と、誰もが思って止めようとしたが、
『ほぉ!賑やかいのぉ。女童と侮っておったが、なかなかに辛辣じゃ。』
まさか倉稲様が絡むとは…。
「あのお狐様が仕えたっていうから、もうちょっと見る目があると思ったけど、
大した事ないわね。そこらの〝小さい=可愛い〟的な女と変わんないじゃない。」
「ちょっと木通!倉稲様に何て事言うの。」
慌てて、朝霧が止めに入ったが、相手が神様だからって止まるような木通ではない。
『われに見る目がないと申すか⁈』
「倉稲様、こんな汚物と関われば、穢れてしまいます。放っておいてください。」
木通を一瞥した杏は、黙々と鏡を磨いていた。
「ただ口の悪いだけのちびっこの小梅側につくなんて、耄碌したか、老害よ。」
「木通、口を慎みなさい。」
朝霧は、顔を真っ赤にして怒っていた。
『気にするでない。この程度で穢れもせぬし、腹も立たぬ。只々、愉快じゃ。』
それを聞いた右京と銀木犀は〝愉快じゃねぇよ。この不毛な会話を一掃してくれ〟と切に願いつつ、ひたすら磨く事に専念した。
「本当に、申し訳ございません。」
朝霧は一度手を止め、深々と頭を下げた。
『大事ない。ここの式神共は、まるで人のようじゃのぉ。双子が創った式神でも、
全く違った出来になっておって、見ていて飽きぬ。』
倉稲様は、楽しくて仕方ないといった様子だ。
倉稲様は、鏡を磨く為に覗き込んでいる顔を見て、驚き感心していた。
「それ程、弟とは似てませんよ。アイツの方が何でも熟せて器用ですから。」
何故か、我が事のように嬉しそうに頷く、木通が居た。
『器用かどうかは知らぬが、判断力の速さは、修羅場を熟した経験値の差じゃろう。そして出来るかではなく、何でも熟さねば乗り切れぬ事の方が、篠辺では多かろう。それだけじゃ。』
倉稲様の言葉に、杏は左京と共に遠出し、水脈の影踏みをした事を思い出していた。
『そこの女童は、夕霧の式神じゃったな。確か…杏と申したか?』
急に話を振られて
「はぃ。杏といぃます。」
ちょっと声が裏返ってしまった。それを木通が
「おチビちゃんでも緊張するんだぁ。ぷぷぷっ」
そう言って楽し気に、からかった。
「木通。そんな言い方する事ないだろ。」
「銀さん、ありがとう。大丈夫よ。この〝動く猥褻物〟に、そもそも気遣いなんて
ワードないから。」
「はぁ?ちびっこだからって、何でも許されると思わないで!台の上に座らないと
磨けないなら、何でコッチに来たのよ。」
いつものが始まってしまった…と、誰もが思って止めようとしたが、
『ほぉ!賑やかいのぉ。女童と侮っておったが、なかなかに辛辣じゃ。』
まさか倉稲様が絡むとは…。
「あのお狐様が仕えたっていうから、もうちょっと見る目があると思ったけど、
大した事ないわね。そこらの〝小さい=可愛い〟的な女と変わんないじゃない。」
「ちょっと木通!倉稲様に何て事言うの。」
慌てて、朝霧が止めに入ったが、相手が神様だからって止まるような木通ではない。
『われに見る目がないと申すか⁈』
「倉稲様、こんな汚物と関われば、穢れてしまいます。放っておいてください。」
木通を一瞥した杏は、黙々と鏡を磨いていた。
「ただ口の悪いだけのちびっこの小梅側につくなんて、耄碌したか、老害よ。」
「木通、口を慎みなさい。」
朝霧は、顔を真っ赤にして怒っていた。
『気にするでない。この程度で穢れもせぬし、腹も立たぬ。只々、愉快じゃ。』
それを聞いた右京と銀木犀は〝愉快じゃねぇよ。この不毛な会話を一掃してくれ〟と切に願いつつ、ひたすら磨く事に専念した。
「本当に、申し訳ございません。」
朝霧は一度手を止め、深々と頭を下げた。
『大事ない。ここの式神共は、まるで人のようじゃのぉ。双子が創った式神でも、
全く違った出来になっておって、見ていて飽きぬ。』
倉稲様は、楽しくて仕方ないといった様子だ。
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