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要石 19 杏のイニシアチブ
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「朝姉…さま…。」
「あっ杏ちゃん、どうし…ちょっと‼」
[朝霧ぃ~いつ暇になるんだ?それは、もう終わるんだろう?]
「いい加減、離れてくれませんか‼」
朝霧に纏わりついて、片時も離れようとしない男。
かなり困り顔の朝霧の様子を見て、肩幅ほどに両足を広げて片足を踏み鳴らし、腕組みをしたかと思うと、
「みっともない。嫌だって言ってるのが分かんないんですか!」
杏が、珍しく大声を出した。
[ふんっ子供には分からないだろうけど…]
「子供でも困っているのは分かります!」
[嫌よ嫌よも好き…あれ?体が…動かない…どうなってんだ!]
急に体が動かなくなった要石は、動かせる目をキョロキョロさせ、動かせる口を使い、大声で朝霧に助けを求めた。
「あん…ずっ…ちゃん。ありがとう!…きっ聞こえてる…かな?」
朝霧は両耳を塞ぎ、杏の側まで来て、声を張り上げて言った。
その時、杏は新たに左手の拳を強く握りしめた。
すると、大音量の騒音がピタッと止んだ。
「…はぁ。やっと話せそうね。でも、どうしたのかしら?」
朝霧は不思議そうに首を傾げた。
杏は、自分が影踏みをして、要石の体を拘束した事。
白くなるほど固く握りしめた左拳を見せて、口封じした事を話した。
「杏ちゃん、すごい!影踏みだけじゃなく、口封じも出来るなんてっ。今までいっぱい頑張ったんだね!色々ありがとう。」
朝霧は、杏の頭に手を置いて優しく撫でた。
「あっ忘れるとこだった。朝姉さま、夕さまから伝言を頼まれていたの。あのね、神楽の準備を左京さんと済ませておきたいので、昼食等が届くから受け取って、配膳をお願いしますって言ってました。」
ふと、時間を確認して
「ほんと、こんな時間だったのね。ありがとう。〝注文してくれてありがとう。受け取りと配膳は任せて。神楽の準備は時間が殆どないから大変でしょうし、左京さんも戻られたばかりでお疲れでしょうが、頑張ってください。〟と伝えてくれる?」
にっこりと微笑んだ朝霧に
「この変態は?」
余程怒らせたらしく、普段なら絶対に言わないような言葉と低い声で、忌々し気に流し目で、杏がそう言った。
その後は杏が主導権を握り、左拳を開き、要石と少しの間話しをし、次に、朝霧と要石はお互いに折り合いをつけ、それを確認した杏は夕霧の元へ戻り、朝霧は要石を連れてテーブルや椅子の配置に取り掛かった。
「あっ杏ちゃん、どうし…ちょっと‼」
[朝霧ぃ~いつ暇になるんだ?それは、もう終わるんだろう?]
「いい加減、離れてくれませんか‼」
朝霧に纏わりついて、片時も離れようとしない男。
かなり困り顔の朝霧の様子を見て、肩幅ほどに両足を広げて片足を踏み鳴らし、腕組みをしたかと思うと、
「みっともない。嫌だって言ってるのが分かんないんですか!」
杏が、珍しく大声を出した。
[ふんっ子供には分からないだろうけど…]
「子供でも困っているのは分かります!」
[嫌よ嫌よも好き…あれ?体が…動かない…どうなってんだ!]
急に体が動かなくなった要石は、動かせる目をキョロキョロさせ、動かせる口を使い、大声で朝霧に助けを求めた。
「あん…ずっ…ちゃん。ありがとう!…きっ聞こえてる…かな?」
朝霧は両耳を塞ぎ、杏の側まで来て、声を張り上げて言った。
その時、杏は新たに左手の拳を強く握りしめた。
すると、大音量の騒音がピタッと止んだ。
「…はぁ。やっと話せそうね。でも、どうしたのかしら?」
朝霧は不思議そうに首を傾げた。
杏は、自分が影踏みをして、要石の体を拘束した事。
白くなるほど固く握りしめた左拳を見せて、口封じした事を話した。
「杏ちゃん、すごい!影踏みだけじゃなく、口封じも出来るなんてっ。今までいっぱい頑張ったんだね!色々ありがとう。」
朝霧は、杏の頭に手を置いて優しく撫でた。
「あっ忘れるとこだった。朝姉さま、夕さまから伝言を頼まれていたの。あのね、神楽の準備を左京さんと済ませておきたいので、昼食等が届くから受け取って、配膳をお願いしますって言ってました。」
ふと、時間を確認して
「ほんと、こんな時間だったのね。ありがとう。〝注文してくれてありがとう。受け取りと配膳は任せて。神楽の準備は時間が殆どないから大変でしょうし、左京さんも戻られたばかりでお疲れでしょうが、頑張ってください。〟と伝えてくれる?」
にっこりと微笑んだ朝霧に
「この変態は?」
余程怒らせたらしく、普段なら絶対に言わないような言葉と低い声で、忌々し気に流し目で、杏がそう言った。
その後は杏が主導権を握り、左拳を開き、要石と少しの間話しをし、次に、朝霧と要石はお互いに折り合いをつけ、それを確認した杏は夕霧の元へ戻り、朝霧は要石を連れてテーブルや椅子の配置に取り掛かった。
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