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双子の七五三 12 家族の後ろ姿
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「陽くんも月ちゃんも、とても賢くて落ち着いていて、歳よりもずっと大人に見えますが、中身は五歳なんです。まだまだ親のぬくもりも、甘えも我がままも許される歳ですし、そんな姿があって当たり前なんです。陽くんと月ちゃんは出来過ぎです。我慢し過ぎているんです。せめて、もう少し一緒に過ごしては貰えませんか。そして、もう少し目を向けてあげてください。急いで大人にならなくて良いと思います。今まで失礼な事を言った上に、このようなお願いをするなんて、どこまで差し出がましいとお思いでしょうが、どうかお願いします。」
夕霧は頭を下げた。
その姿に双子の両親は夕霧の手を取り、
「本当にありがとうございます。そして、お世話になりました。今日は、私達も多くの事を教えて頂きました。私達の宝物を大切にしていきます。」
母親の目に涙が滲んでいた。
その後、来た時と同じように双子は手を繋ぎ、両側に親が立ち、家族四人で手を繋ぎ、揃って帰って行った。神主も巫女も、この家族の後ろ姿を見送った。
その余韻に浸っていると、狐は
【右京も、なかなかやるのぉ。祈祷料は頂けませんとか言い切っておいて、ちゃっかり飴代とお守り代をせしめるとは…元はと言えば、勝手に双子に渡した癖に。善良そうな顔をして…やはり左京の兄じゃな。守銭奴。】
「そんなんじゃありません!ご両親の気持ちを考えたら、その方が良いのではないかと思ったまでです。それに、飴とお守り代として祈祷料の額では高すぎますし、祈祷もしていないのに頂く訳にはいきません。だから、千歳飴とお守り代のみ頂戴したまでの事です。」
【澄まし顔で、如何にも真っ当そうな事を、当然とばかりに言いおって!右京も犬に似てきたのぉ。まだ腹黒い左京の方が可愛げがあるわ!】
「なっ!」
「勝手にオレを引き合いに出さないで貰えます?ハッキリさせておくと、オレは腹黒くもないし、守銭奴でもないですから。右京が大神様に似たのなら、大変残念で、大変不本意ですが、オレはお狐様に似てくるって事ですよね?何処が似てくるんでしょうね?」
流し目で左京が言うと、
【この狐を真似る側の事など知らんが、この狐に目を付けただけで才はある。目が高いって事だからのぉ。】
〖真似るつもりはなくとも、朱に染まれば…というヤツで、伝染かも知れぬな。それに狐に目を付けたのなら極悪人か、最初から目利きなど出来ぬ者よ。狐の戯れ言など構うな。〗
狼はそう言うと、気分が悪そうに本殿へ入って行った。
【あやつも難儀よのぉ。月が満ちる度、気分が滅入るとは…。頭痛持ちの夕霧のようじゃ。】
「大神様と私の頭痛とは全く違います。私のは薬で落ち着かせられます。一緒になどしたら失礼です。」
「今日は満月ですので、東雲は休みです。篠辺のお二人は夜もありますので、早く休んでください。後の事は、私と右京さんでやっておきます。」
東雲の二人の言葉に甘え、篠辺の二人は休む事にした。
夕霧は頭を下げた。
その姿に双子の両親は夕霧の手を取り、
「本当にありがとうございます。そして、お世話になりました。今日は、私達も多くの事を教えて頂きました。私達の宝物を大切にしていきます。」
母親の目に涙が滲んでいた。
その後、来た時と同じように双子は手を繋ぎ、両側に親が立ち、家族四人で手を繋ぎ、揃って帰って行った。神主も巫女も、この家族の後ろ姿を見送った。
その余韻に浸っていると、狐は
【右京も、なかなかやるのぉ。祈祷料は頂けませんとか言い切っておいて、ちゃっかり飴代とお守り代をせしめるとは…元はと言えば、勝手に双子に渡した癖に。善良そうな顔をして…やはり左京の兄じゃな。守銭奴。】
「そんなんじゃありません!ご両親の気持ちを考えたら、その方が良いのではないかと思ったまでです。それに、飴とお守り代として祈祷料の額では高すぎますし、祈祷もしていないのに頂く訳にはいきません。だから、千歳飴とお守り代のみ頂戴したまでの事です。」
【澄まし顔で、如何にも真っ当そうな事を、当然とばかりに言いおって!右京も犬に似てきたのぉ。まだ腹黒い左京の方が可愛げがあるわ!】
「なっ!」
「勝手にオレを引き合いに出さないで貰えます?ハッキリさせておくと、オレは腹黒くもないし、守銭奴でもないですから。右京が大神様に似たのなら、大変残念で、大変不本意ですが、オレはお狐様に似てくるって事ですよね?何処が似てくるんでしょうね?」
流し目で左京が言うと、
【この狐を真似る側の事など知らんが、この狐に目を付けただけで才はある。目が高いって事だからのぉ。】
〖真似るつもりはなくとも、朱に染まれば…というヤツで、伝染かも知れぬな。それに狐に目を付けたのなら極悪人か、最初から目利きなど出来ぬ者よ。狐の戯れ言など構うな。〗
狼はそう言うと、気分が悪そうに本殿へ入って行った。
【あやつも難儀よのぉ。月が満ちる度、気分が滅入るとは…。頭痛持ちの夕霧のようじゃ。】
「大神様と私の頭痛とは全く違います。私のは薬で落ち着かせられます。一緒になどしたら失礼です。」
「今日は満月ですので、東雲は休みです。篠辺のお二人は夜もありますので、早く休んでください。後の事は、私と右京さんでやっておきます。」
東雲の二人の言葉に甘え、篠辺の二人は休む事にした。
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