40 / 130
反撃
しおりを挟む
「上出来じゃ。エイダ」
エイダはついに、10時間もの間は魔力の光球を維持することに成功した。アレン先生はその成果を褒め称える。
「エイダ、お前さんは本当に良い才能を持っておる。故に次の訓練も、まぁ耐えられるじゃろう。」
エイダは覚悟を決める。恐らく、アレン先生の言い方から推察するに次も辛い特訓なのだろう。
「これからワシがエイダ、お前さんを攻撃する。お前さんは魔法で反撃をするのじゃ。」
「え?」
何を言っているのだ、そう思った瞬間、エイダは吹き飛ばされ草原の上に転がされる。意味がわからない、なぜ突然吹き飛ばされているのか。なぜ自分は草の上に背をつけることになっているのか。
「ちょっとまって!」
エイダは飛び起きアレン先生に懇願する。
「またん、反撃をするのじゃ」
しかし返ってきた返事は無情だ。
いくらなんでも、これは唐突すぎる。どうすれば魔法の反撃などできるのかエイダにはわからない、ということは、この理不尽な魔法による攻撃にさらされ続けるしかないのだ、そう思うと、エイダにとって恐怖でしかない。
(なんとか…なんとかしないと!)
エイダはこの状況を打開する策を、全力で考える。
魔法が使えない、ならば近接戦闘に持ち込むか?無理だ。相手はアレン先生、魔法のエキスパートだ、今のエイダの実力では難なく反撃に合うだろう。そして、そもそもこれは訓練、魔法で反撃と言われているのだから、格闘に頼るのは本末転倒である。
ならば逃げるか?、意味がない、これは訓練なのだ逃げてしまっては今までの努力を否定する気がして、エイダはできなかった。
だったらやはりこれしかない。
(魔法を…使う!)
今までの訓練をエイダは思い出していた。あの光球を出す訓練はなんの意味があったのか、あれは魔力の純粋な塊だとアレン先生は言っていた。ならばあれをどうにかして攻撃に転用できれば、活路は見いだせる。そう思ったエイダは、魔力の塊を念じて出し構えた。
「うわぁ相変わらず、厳しいぜアレン先生は。」
ドンキホーテは訓練の光景を見ながら呟く。その口調には、不安が混じっている。
「エイダ潰されねぇか?心配だよ俺は。」
その様子を隣に座っているマリデは口を開く。
「しょうがないことだよ。ああするしかない。ドンキホーテ君はカルエ遺跡であった男をどう思った?」
ドンキホーテは面を食らう。
「なんだよ急に、そりゃあ、あいつは強えと思ったぜ。」
「それだけかい?あの全てを静止する、能力にあの翼を見てどう思った。」
マリデは質問を重ねる。なにかの答えを引き出したいたいかの様に。
「まるで、神の使者みたいだなと。ていうか多分神の使者だぜあいつ。」
「あの場にいた、誰もがそう思っただろうね。恐らく敵も転生者を揃えているんだ。だからこそ…」
「どんな能力を持つ敵が来るかわからない以上エイダには戦える様になってないとダメってことか?」
「そうだね、最悪、君やアレン先生だけの力では守りきれない、可能性も出てくる。僕は今も分身を各地に分散させて仕事してるから、戦えないしね。そうなると最悪エイダ君だけでも戦える様に仕上げておかないと、例の神の使者の力だって、エイダ君はどうやら使いこなせているわけじゃなさそうだしね。」
確かに、その通りだった。敵は未だに未知の部分が多すぎる。ドンキホーテとアレン先生は確かに強いしかし、それでも限界はある。だからこそ今のエイダに必要なのは、例え一人になっても自分のことを守れる力なのである。
ドンキホーテは「そうだな」と、返事をする。マリデの意見は正しい、エイダがこの訓練で全てを諦めてしまう様ならば、恐らく次の調査にはついてこれないだろう。
「よそ見をするでないエイダ!」
再びエイダの体が宙を舞う。草原の草の上に体は落ち、受け身も取れず、着地した時の衝撃がエイダ襲う。
こうして吹き飛ばされるのは何回目だろうか。10回を超えたあたりから、数えるのが馬鹿らしくなり数えていない。
(全然できない…)
エイダは行き詰まっていた。どうやっても魔法が発動する気がしない。果たしてアレン先生は一体何を教えようとしているのか。これでは、吹き飛ばされ受け身を取る練習をしている方が有意義な気がエイダにはしてきた。
もう吹き飛ばされるのはいい加減、嫌気がさしてきた、そう思ったエイダは再びアレン先生を見据える。これを終わらせるには魔法で反撃をしなければならない。魔法を用いた反撃の仕方は未だにわかっていないしかし、アレン先生が、急にこんな無茶苦茶な訓練をし出したということはエイダ自身にはすでに、魔力を攻撃に転換することのできる。実力があるとアレン先生に認められているということではないか、エイダはそう考えた。
(つまりアレン先生は私のその力を、引き出そうとしている。だったら!)
その期待に応えなければならない。エイダは気合いを入れ直し、魔法の攻撃をするべく。再び行動を起こした。魔力の塊である光球を出し念じる。攻撃せよと。
これはエイダがさっきからやっている、方法だ、一度も成功はしてはいないし、何か変化したかの様な感覚はなかったがこれ以外に、方法が思いつかないエイダはこれにすがるしかなかった。
「行くぞ、エイダ。」
アレン先生は再び、エイダを吹き飛ばした、魔法を放つ。エイダは結局魔法での反撃ができないまま、アレン先生の魔法の発動を許してしまった。
(また、何も出ないまま…!)
エイダは咄嗟に、腕を体の前に出し、防御の構えを無意識にとっていた。防げるわけがないと思っていたが、もうあの魔法で吹き飛ばされるのは嫌だったのだ。
その思いが通じたのか、エイダはいつまでたっても吹き飛ばされない。エイダは目を開けると目の前に発光している、ガラスの様な半透明壁があった。
それを目にしたアレン先生は驚き、笑い出す。
「合格じゃエイダ。」
アレン先生はまだ笑ってる。
「ど、どうして笑ってるの先生!」
「いやはやまさか、攻撃ではなく防御を先に覚えるとはの。お前さんはとんでもない才能を持っておるな。」
「どういうこと?」
「わからんか?」
アレン先生はニヤリと笑いながら続けた。
「防御魔法は攻撃魔法より数段難しいんじゃよ。」
エイダはついに、10時間もの間は魔力の光球を維持することに成功した。アレン先生はその成果を褒め称える。
「エイダ、お前さんは本当に良い才能を持っておる。故に次の訓練も、まぁ耐えられるじゃろう。」
エイダは覚悟を決める。恐らく、アレン先生の言い方から推察するに次も辛い特訓なのだろう。
「これからワシがエイダ、お前さんを攻撃する。お前さんは魔法で反撃をするのじゃ。」
「え?」
何を言っているのだ、そう思った瞬間、エイダは吹き飛ばされ草原の上に転がされる。意味がわからない、なぜ突然吹き飛ばされているのか。なぜ自分は草の上に背をつけることになっているのか。
「ちょっとまって!」
エイダは飛び起きアレン先生に懇願する。
「またん、反撃をするのじゃ」
しかし返ってきた返事は無情だ。
いくらなんでも、これは唐突すぎる。どうすれば魔法の反撃などできるのかエイダにはわからない、ということは、この理不尽な魔法による攻撃にさらされ続けるしかないのだ、そう思うと、エイダにとって恐怖でしかない。
(なんとか…なんとかしないと!)
エイダはこの状況を打開する策を、全力で考える。
魔法が使えない、ならば近接戦闘に持ち込むか?無理だ。相手はアレン先生、魔法のエキスパートだ、今のエイダの実力では難なく反撃に合うだろう。そして、そもそもこれは訓練、魔法で反撃と言われているのだから、格闘に頼るのは本末転倒である。
ならば逃げるか?、意味がない、これは訓練なのだ逃げてしまっては今までの努力を否定する気がして、エイダはできなかった。
だったらやはりこれしかない。
(魔法を…使う!)
今までの訓練をエイダは思い出していた。あの光球を出す訓練はなんの意味があったのか、あれは魔力の純粋な塊だとアレン先生は言っていた。ならばあれをどうにかして攻撃に転用できれば、活路は見いだせる。そう思ったエイダは、魔力の塊を念じて出し構えた。
「うわぁ相変わらず、厳しいぜアレン先生は。」
ドンキホーテは訓練の光景を見ながら呟く。その口調には、不安が混じっている。
「エイダ潰されねぇか?心配だよ俺は。」
その様子を隣に座っているマリデは口を開く。
「しょうがないことだよ。ああするしかない。ドンキホーテ君はカルエ遺跡であった男をどう思った?」
ドンキホーテは面を食らう。
「なんだよ急に、そりゃあ、あいつは強えと思ったぜ。」
「それだけかい?あの全てを静止する、能力にあの翼を見てどう思った。」
マリデは質問を重ねる。なにかの答えを引き出したいたいかの様に。
「まるで、神の使者みたいだなと。ていうか多分神の使者だぜあいつ。」
「あの場にいた、誰もがそう思っただろうね。恐らく敵も転生者を揃えているんだ。だからこそ…」
「どんな能力を持つ敵が来るかわからない以上エイダには戦える様になってないとダメってことか?」
「そうだね、最悪、君やアレン先生だけの力では守りきれない、可能性も出てくる。僕は今も分身を各地に分散させて仕事してるから、戦えないしね。そうなると最悪エイダ君だけでも戦える様に仕上げておかないと、例の神の使者の力だって、エイダ君はどうやら使いこなせているわけじゃなさそうだしね。」
確かに、その通りだった。敵は未だに未知の部分が多すぎる。ドンキホーテとアレン先生は確かに強いしかし、それでも限界はある。だからこそ今のエイダに必要なのは、例え一人になっても自分のことを守れる力なのである。
ドンキホーテは「そうだな」と、返事をする。マリデの意見は正しい、エイダがこの訓練で全てを諦めてしまう様ならば、恐らく次の調査にはついてこれないだろう。
「よそ見をするでないエイダ!」
再びエイダの体が宙を舞う。草原の草の上に体は落ち、受け身も取れず、着地した時の衝撃がエイダ襲う。
こうして吹き飛ばされるのは何回目だろうか。10回を超えたあたりから、数えるのが馬鹿らしくなり数えていない。
(全然できない…)
エイダは行き詰まっていた。どうやっても魔法が発動する気がしない。果たしてアレン先生は一体何を教えようとしているのか。これでは、吹き飛ばされ受け身を取る練習をしている方が有意義な気がエイダにはしてきた。
もう吹き飛ばされるのはいい加減、嫌気がさしてきた、そう思ったエイダは再びアレン先生を見据える。これを終わらせるには魔法で反撃をしなければならない。魔法を用いた反撃の仕方は未だにわかっていないしかし、アレン先生が、急にこんな無茶苦茶な訓練をし出したということはエイダ自身にはすでに、魔力を攻撃に転換することのできる。実力があるとアレン先生に認められているということではないか、エイダはそう考えた。
(つまりアレン先生は私のその力を、引き出そうとしている。だったら!)
その期待に応えなければならない。エイダは気合いを入れ直し、魔法の攻撃をするべく。再び行動を起こした。魔力の塊である光球を出し念じる。攻撃せよと。
これはエイダがさっきからやっている、方法だ、一度も成功はしてはいないし、何か変化したかの様な感覚はなかったがこれ以外に、方法が思いつかないエイダはこれにすがるしかなかった。
「行くぞ、エイダ。」
アレン先生は再び、エイダを吹き飛ばした、魔法を放つ。エイダは結局魔法での反撃ができないまま、アレン先生の魔法の発動を許してしまった。
(また、何も出ないまま…!)
エイダは咄嗟に、腕を体の前に出し、防御の構えを無意識にとっていた。防げるわけがないと思っていたが、もうあの魔法で吹き飛ばされるのは嫌だったのだ。
その思いが通じたのか、エイダはいつまでたっても吹き飛ばされない。エイダは目を開けると目の前に発光している、ガラスの様な半透明壁があった。
それを目にしたアレン先生は驚き、笑い出す。
「合格じゃエイダ。」
アレン先生はまだ笑ってる。
「ど、どうして笑ってるの先生!」
「いやはやまさか、攻撃ではなく防御を先に覚えるとはの。お前さんはとんでもない才能を持っておるな。」
「どういうこと?」
「わからんか?」
アレン先生はニヤリと笑いながら続けた。
「防御魔法は攻撃魔法より数段難しいんじゃよ。」
0
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説
転生先は盲目幼女でした ~前世の記憶と魔法を頼りに生き延びます~
丹辺るん
ファンタジー
前世の記憶を持つ私、フィリス。思い出したのは五歳の誕生日の前日。
一応貴族……伯爵家の三女らしい……私は、なんと生まれつき目が見えなかった。
それでも、優しいお姉さんとメイドのおかげで、寂しくはなかった。
ところが、まともに話したこともなく、私を気に掛けることもない父親と兄からは、なぜか厄介者扱い。
ある日、不幸な事故に見せかけて、私は魔物の跋扈する場所で見捨てられてしまう。
もうダメだと思ったとき、私の前に現れたのは……
これは捨てられた盲目の私が、魔法と前世の記憶を頼りに生きる物語。
転生先ではゆっくりと生きたい
ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。
事故で死んだ明彦が出会ったのは……
転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた
小説家になろうでも連載中です。
なろうの方が話数が多いです。
https://ncode.syosetu.com/n8964gh/
めんどくさがり屋の異世界転生〜自由に生きる〜
ゆずゆ
ファンタジー
※ 話の前半を間違えて消してしまいました
誠に申し訳ございません。
—————————————————
前世100歳にして幸せに生涯を遂げた女性がいた。
名前は山梨 花。
他人に話したことはなかったが、もし亡くなったら剣と魔法の世界に転生したいなと夢見ていた。もちろん前世の記憶持ちのままで。
動くがめんどくさい時は、魔法で移動したいなとか、
転移魔法とか使えたらもっと寝れるのに、
休みの前の日に時間止めたいなと考えていた。
それは物心ついた時から生涯を終えるまで。
このお話はめんどくさがり屋で夢見がちな女性が夢の異世界転生をして生きていくお話。
—————————————————
最後まで読んでくださりありがとうございました!!
婚約破棄されたので森の奥でカフェを開いてスローライフ
あげは
ファンタジー
「私は、ユミエラとの婚約を破棄する!」
学院卒業記念パーティーで、婚約者である王太子アルフリードに突然婚約破棄された、ユミエラ・フォン・アマリリス公爵令嬢。
家族にも愛されていなかったユミエラは、王太子に婚約破棄されたことで利用価値がなくなったとされ家を勘当されてしまう。
しかし、ユミエラに特に気にした様子はなく、むしろ喜んでいた。
これまでの生活に嫌気が差していたユミエラは、元孤児で転生者の侍女ミシェルだけを連れ、その日のうちに家を出て人のいない森の奥に向かい、森の中でカフェを開くらしい。
「さあ、ミシェル! 念願のスローライフよ! 張り切っていきましょう!」
王都を出るとなぜか国を守護している神獣が待ち構えていた。
どうやら国を捨てユミエラについてくるらしい。
こうしてユミエラは、転生者と神獣という何とも不思議なお供を連れ、優雅なスローライフを楽しむのであった。
一方、ユミエラを追放し、神獣にも見捨てられた王国は、愚かな王太子のせいで混乱に陥るのだった――。
なろう・カクヨムにも投稿
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
異世界母さん〜母は最強(つよし)!肝っ玉母さんの異世界で世直し無双する〜
トンコツマンビックボディ
ファンタジー
馬場香澄49歳 専業主婦
ある日、香澄は買い物をしようと町まで出向いたんだが
突然現れた暴走トラック(高齢者ドライバー)から子供を助けようとして
子供の身代わりに車にはねられてしまう
裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~
あかる
ファンタジー
私、異世界から転生してきたみたい?
とある田舎町にダンジョンが出来、そこに入った美優は、かつて魔法学校で教師をしていた自分を思い出した。
犬と猫、それと鶏のペットと一緒にダンジョンと、世界の謎に挑みます!
迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜
青空ばらみ
ファンタジー
一歳で両親を亡くし母方の伯父マークがいる辺境伯領に連れて来られたパール。 伯父と一緒に暮らすお許しを辺境伯様に乞うため訪れていた辺境伯邸で、たまたま出くわした侯爵令嬢の無知な善意により 六歳で見習い冒険者になることが決定してしまった! 運良く? 『前世の記憶』を思い出し『スマッホ』のチェリーちゃんにも協力してもらいながら 立派な冒険者になるために 前世使えなかった魔法も喜んで覚え、なんだか百年に一人現れるかどうかの伝説の国に迷いこんだ『迷い人』にもなってしまって、その恩恵を受けようとする『当たり人』と呼ばれる人たちに貢がれたり…… ぜんぜん理想の田舎でまったりスローライフは送れないけど、しょうがないから伝説の国の魔道具を駆使して 気ままに快適冒険者を目指しながら 周りのみんなを無自覚でハッピーライフに巻き込んで? 楽しく生きていこうかな! ゆる〜いスローペースのご都合ファンタジーです。
小説家になろう様でも投稿をしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる