愛を請うひと

その後の話

※補足

先ほどのお話について。
前半は凛。
後半は社長・田村の視点になります。

凛が勤めている会社には、社長の田村、親友の中里と佐藤がいます。みな同い年、64歳。

その他にも50代、40代の社員がいますが、基本は在宅となっていて、たまに資料を取りに来たり、資料室に篭ったりしています。

社内の床に積み上げられていた本や書類、資料室を整理し、資料の場所を検索できる、まるで図書館のようなデータベースを作ってくれた凛のことを、社員全員が“救世主”と密かに呼んでいます。



田村に限らず、街の人々にとって、啓一先生のお祖父さん・山神 啓信は伝説の人物。憧れの人でした。

啓一先生の人脈が広いのは、そんなお祖父さんの後を継ぎ町医者になったからでもありますが、少し天然で自分の事は疎かにしがちな先生のことを放っておけないのかもしれません。



宅配のお兄さんは、凛に一目惚れしました。仕事柄、自宅の場所まで知っていますが、詩音の威嚇を受けて告白を諦めました。たまに荷物を手渡す瞬間だけは、どうしても凛の顔や細い腰のラインに見惚れてしまう。時折シャツに浮き出た乳首を凝視してしまう。少し指先に触れた気が…、というだけで1日幸せになれる。それ以上は求めない賢明な若者です。