愛を請うひと

くろねこや

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その後の話

告白 3

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「冷めてしまったな」

カップを下げようとする響の手を捕らえて、彼が淹れてくれたコーヒーを飲む。

美味うまいよ」

いい香り。
彼は焙煎された豆を買ってきて、ミルで挽く。

渇いた喉に、ちょうどいい温度だ。



「…怒鳴られたり、泣かれたり、殴りかかられたりすることには慣れているが。静かに、淡々と話されると…なかなかこたえるものだな」

頭を下げて、素直に謝るコイツを初めて見た。

「そんなもんに慣れるんじゃねぇよ。…凛は…大人だな」

「ああ」



「ぁ、……そういえばこの服…」

妙に肌触りが良い生地、身体に馴染む縫製。


「似合うと思って、買っておいたものだ。お前にやる」

キスを途中で止めてから、拗ねたように目を合わせない響。


「そうか。…ありがとう」

彼の顔をグイッとこちらに向けさせて、先ほどのキスを再開させる。


チュッ、

優しいキスの筈が、


チュッ、グチュッ、ピチャ、クチュッ、

突然激しく貪られて、息ができなくなる。


「んっ、んぅっ、」

過ぎた快感。
あんなにされた・・・のに、また勃ってしまう。


必死に鼻から息をしても、上顎をネロリと舐められ、舌を絡め取られ、歯列を確かめるように舌を這わされれば、酸欠になるのはあっという間だった。

視界が生理的な涙でぼやける。

ぐったり力が入らない身体を抱き上げられ、またベッドに連れて行かれてしまう。




せっかく貰ったシャツを開かれ、昨夜の跡を辿るように舌と唇、歯が肌を襲う。

「痛っ…」


「服を贈るのは、『相手を脱がせたい』という意味があるらしいな?」

「それは…相手が女性の場合…だろう」


靴下を奪われ、

「オレは、お前を脱がせたい」

下半身からズボンと下着を奪われる。

「っ…、お前なぁ…。あれ?『ズボン』って、今はなんて言うんだっけ?」

『パンツ?ボトム?』と聞くと、

ふぅ、と剥き出しにされたちんぽに息を吹きかけられる。

「ぁっ、」

「…いいんだよ。オレ達は『オッサン』なんだから」

意外。響は自分を若く見せたい方だと思ってた。


「そうか…。なんならもう『ジジイ』っ、…だ…よな…」

ベローッ、とちんぽを下から上に舐め上げられ、声が乱れる。

「ああ。『ジジイ』だ。まだまだ元気な」

揶揄からかうように、勃ち上がった『オレの』をピンッと指で弾いてくる。

「いっ…!」

痛くて涙目のまま脚を開かされて、はぁ、はぁ、と息が上がる。


ヌチュ、とぬめったものが穴に侵入はいり込んできた。

「また……、するのか?」

指で拡げられるまでもなく、先程まで彼を受け入れていた中は喜んで熱い舌を呑み込んでいく。


「そんな…とこ、舐めるなって…」

グチョ、グチョ、と舐め回され、

チュポッ、と舌が引き抜かれた穴は物欲しげにヒクついてしまう。


「お前は『オレのもの』だと、感じさせてくれ」


ヌプ、

「んんっ!」

彼が、埋め込まれてくる。


ローション代わりに流し込まれた唾液が、粘着質で卑猥な音を立てる。


膝の裏を掴まれ、2人の身体が密着すれば、彼の陰毛と陰嚢が尻に当たる感覚。

ゴワッとして、ピトッとして、
少しくすぐったい。



「「はぁ、はぁ、はぁ、」」


熱い。

杭を打ち込まれたみたいだ。


「んっ、」

唇を開かされ、また呼吸を抑制される。


苦しい。

吐き出そうとする息さえ、奪われるようだ。


長い舌が、嘔吐えずきそうなほど深くまで口内を弄り回す。


「んっ、んっ、んっ、」

抽挿が始まった。勝手に声が漏れてしまう。


パチュ、パチュ、パチュ、と尻を穿たれる。

『ジジイ』の腰遣いじゃないだろ…これ。


頭がおかしくなる。

酸欠のせいか、穿つ熱のせいか。



「ぷはっ、」

唇が解放され、酸素が入ってくる。



「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」



呼吸が落ち着き、部屋に静けさが訪れた頃。

瞳を覗き込むように、響がオレを見ていた。




「オレの…ものに…なってくれ」


バカだなぁ…ほんと。こんな…真剣な瞳で。


「いま…さら…、」


震える両腕を伸ばして、彼の背中を抱く。


「とっくに…おまえ…だけの…ものだ」


響はギュッと目を瞑る。

まるで、オレの言葉を噛み締めるみたいに。




「啓一。オレも…お前だけのものだ」


『愛してる』、と耳元で囁かれた瞬間、

オレは彼をキュウキュウと締め付けながら射精せずに達したのだった。






「良い相手を捕まえたな。オレ達の息子は」

荒い呼吸が落ち着いた頃。

ベッドに横になったまま、響はオレを背中から抱きしめて呟いた。

相変わらず、後ろから掻き出されるのに慣れない。


「その相手に取られちゃったけどね。オレ達の息子」

「…まさか養子縁組までするとはな」

『結城 詩音』に名前を変えてから、彼は生まれ変わったように幸せそうだ。


「なぁ、オレ達も…」「却下」

「…何故だ。オレが山神に入るならお前には面倒がないだろう?」

「オレの家族が賛成するわけないだろうが」

それでなくとも、『男と付き合っている』と告白できていないのだ。…両親はさすがにオレの結婚を諦めつつあるようだが。


「…それにオレはな、オレ達の名前が気に入ってるんだよ」

八嶋、山神。

オレ達を結びつけてくれた2人の名前。

出席番号順に並べられ、同じ班やペアを組まされることが多かった。

腐れ縁。

面倒だと思ったこともあった。


「八嶋 響。オレはお前の名前が好きだよ」

お前は?


「あぁ、そうだったな。山神 啓一。オレも。お前の名前ごと愛してる」

すぅ、っと吸う音が聞こえ、
後頭部に口付けられたのを感じる。


「オッサン臭くないのか?オレの頭なんて」

「シャンプーとお前の匂いだ。興奮する」


「ンッ!!」

尻に硬いものがグヂュンと押し入ってきた。

「繋がったまま、寝よう」


「…はっ、…腹…減ったんだけど…」

朝メシも食べていないのに、もう昼を過ぎている。


「今度は口から飲む? それとも腹いっぱいに中出しして、栓をしてやろうか?」

「腹を壊すだけだし、エロオヤジ発言ヤメロ」

恥ずかしい…。


「後で豆大福を食えばいいだろう?それとも口移しで食わせてやろうか?」

「…喉に詰まらせたらどうする。柔らかいうちに半分に分けて、お茶と一緒に食べよう」

「ジジイらしくて良いな」

「良いだろ?……んんっ!」


オレはじ込まれていた響のちんぽを気合いで引き抜くと、緑茶を入れるべくヨロヨロとキッチンへ向かうのだった。







ちなみに竜瑚だが、

『知ってた』そうだ。


むしろ、既に『そういう関係』だと思っていたらしい。


「だって変だろう。用心深い社長が、『医師』とはいえプライベートスペースまで自由に出入りさせてる男だぞ? オレみたいな得体の知れないカメラマンを履歴書なしですぐに雇うし。アンタの紹介だったからだろう?」

とのことだった。


しかも、

「メシ? あぁ、いいよ。その代わり家には一人で来てくれ。八嶋さんにも食わせたいなら鍋ごと持って帰ってもいいぞ」

大らかな彼の言葉に、ちょっと涙ぐんでしまった。



胃袋だってガッチリ掴まれているし、

オレは一生、

彼に勝つことなんてできないと思った。
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