124 / 175
その後の話
告白 1
しおりを挟む
「啓一…」
耳元で囁いた、響の親指に唇を開かされ、
ぬるっと熱い舌を口の中に受け入れる。
「はぁっ…、んむっ…、」
グチュ、グチュ、と脳まで侵されそうな音がする。
この『響との関係』を、皆に伝えるべきか?
彩人はもちろん、詩音には知られたくない。
彼らはコイツのことを、殺したいほど憎んでいる筈だ。
凛にも言えない。
いくら優しい彼でも、さすがに受け入れられないだろう…。
竜瑚に相談してみようか。
…いや。彩人が関わるとダメだ。
もちろん海砂ちゃんにも言えるわけない。
流石にデリカシーがなさすぎる。
柚木?
親友が苦笑…いや爆笑している顔が浮かぶ。
ついでに弟と妹の呆れた顔も…。
答えの出ない問い。
別に敢えて伝える必要はないんじゃないか?
でも、いつかは知られてしまうのでは?
そんなふうに、ひと月もずるずると引き伸ばしていたツケを払う時は……意外と早くやって来た。
「んっ、んっ、んっ、んぁっ、」
揺さぶられる、響の膝の上。
腹の中には
コイツのちんぽがズッポリ嵌まり込み、
「もう…、いい…かげん…、やめ…、」
下からゴチュ、ゴチュ、と突き上げられるたびに、痺れを伴う快感が背中を走る。
日曜日、今日は休みだ。
昨日の夜もしたのに、朝からまた盛ってやがる。
何でコイツ、こんなに元気なんだ。
妙な薬とか使ってないだろうな…。
ピンポン♪
「!!!」「くっ…、」
突然鳴った、玄関のチャイム。
思わず中をギューっと締めてしまった。
オレは大事なことを忘れていた。
冴が医院宛の消耗品を送るついでに、『詩音向けの新しい参考書籍』を送ってきたのだ。
彼のことを相当気に入ったらしい。
『近いうちに兄さんの家へ取りに行くようメールしておいたから』
その妹からの連絡は、あまりに一方的すぎて、しかも昨夜からの行為のせいで、すっかり頭から抜けていた。
『近いうちに』
まさか今日取りに来た?
詩音から連絡来てたか?
そういえば、
スマホは…昨日の夕方から見ていなかった。
…腹の中にいる誰かのせいで。
ピンポン♪
現実逃避していたオレは、2度目のチャイムで現実に引き戻された。
「ぐっ…、」
慌てて腰を上げ、響のちんぽを奥から引き抜くと、床に落ちていたシャツを羽織り、ヨロヨロと玄関に向かう。
ボタンを留めて……手が震えて留まらない。
とりあえず下着だけでも…どこだ?
ヤバい、後ろから…垂れる。
その時、パニックになっているオレの横をすり抜けて行く男を見た。
いつの間にか、きちんと服を着ている。
「ちょ、待て!」
カチッ、カラカラカラ、と玄関の引き戸が開く音がした。
「…なんでアンタがこの家にいる!?」
……遅かった。
「詩音……、ッ…!」
玄関には詩音と…凛がいた。
その衝撃で呆然とした瞬間、
尻の穴が弛み、ドロリとしたものが太腿を流れ落ちる……。
「啓一先生!!警察を呼びますか?!」
凛がスマホを取り出した。
シャツの前は開きっぱなし。
身体はキスマークと歯型だらけ。
下着を履いていないし、
太腿には白濁液が垂れている。
強姦されたと思われてる?!
「合意です!大丈夫です!ごめんなさい!」
慌てたオレは思わず叫んでいた。
みんな、ポカンとしてる…。
「~~~!!!」
完全に動揺したオレは、全てを投げ出し、
風呂場へ逃げ出した。
しまった…。
着替えを持って来なかった。
シャワーから出たオレは、バスタオル一枚で途方に暮れていた。
普段ならタオルを腰に巻いて出て行くこともできたが、先ほどの一件で……非常に出づらい。
しかも乳首は真っ赤に腫れており、肌には数え切れない歯形やキスマーク。
「…バカだなぁ」
未だ慣れないセックスに溶かされて、脳まで溶けてしまったみたいだ。
メッセージは『既読』にしていないし、とりあえず居留守を使って、後で詩音に連絡すればよかったのだ。
また来てもらうのは申し訳ないが、今の状況に比べたらよほどマシだったのではないだろうか。
むしろ、冴が面倒がらずに凛のアパートへ直接郵送してくれれば良かったのだ。
「啓一。出たか? ほら」
響の声だ。
引き戸を少し開けて、服を一式渡してくれる。
無事だった。詩音に殴られてもいない。
「……ありがとう」
急いで身につけたが…。
なんかこの服…全部肌触りが気持ちいい。
こんなの持ってたか…?
リビングにて。
ソファに座り、向かい合う男が4人。
響がコーヒーを出してくれたらしい。
手をつけられないまま、冷めたカップがテーブルに4つ並んでいる。
「ええと、先程は失礼しました…」
思わず丁寧語になってしまう。
「いえ、こちらこそ、日曜日の朝早くからお邪魔してしまい申し訳ありません…」
凛も丁寧だ。
「………」
「………」
「……お2人は、どういったご関係で?」
沈黙に耐えかねた凛が、オレに質問してくれる。
「幼なじみで…」「恋人だ」
オレと、響の声が重なった。
「幼なじみで、恋人、ですか…」
「ハイ…」
「いつから恋人関係に?」
「先月からです」
「無理矢理、関係を迫られた?」
「……合意?…です」
「本当は?」
「酔って、流されました。…今は合意です」
「啓一先生…。アンタ、この男がこれまで何をしてきたか知ってるよな?」
静かで、暗い、声。
「詩音…」
凛が彼の背を『落ち着くように』とトントンする。
「……知ってる」
「それなのに、アンタは、コイツと…、コイツに…、」
「抱かれたよ」
「……っ、なんで?!」
「オレが、コイツを、好きになったからだ」
愕然とした表情。
裏切られた…という顔だ。
殴られるかな?
…そりゃあ、そうだよな。
響は詩音の母親・海砂ちゃんを『奴隷』にした。もちろん借金を作った彼女の父親が元凶なのだが。
オレかコイツが彼女を妊娠させたくせに、コイツは詩音から『母親と一緒に過ごす時間』を奪った。
15歳になった詩音を『社員』という名の契約で『奴隷』にした。
まだ子どもと呼んでもいい年齢で、望まない性交や望まない暴力を強要し、金やコンテンツの視聴数というノルマを課した。
施設でずっと守っていた大切な親友を、人格を別けないと生きていけない程の『酷い目』に遭わせ続けた。
凛については始まりこそ詩音が拉致してきたとはいえ、『生配信』や『派遣』に使い続けた。さもないと『薬漬けにしてAVに出し続ける』と脅したらしい。
彩人と凛を『クソイベント』に出し、男達の『遊戯』として悪趣味な性暴力を受けさせた。
輪姦され、玩具にされ、鞭打たれ、腫脹や皮下出血斑、擦過傷や裂傷が酷かった。血液と精液に塗れた臭い。ぐったりと意識を失った姿が目に焼き付いて離れない。
その『イベント』や『派遣』を企画したのはコイツの叔父だが、実際に運営していたのはコイツだ。
「なんで?!こんな最低なヤツ、『好きになった』って何だよ?!意味が分からない!!!」
10代の暗い目をしていた詩音を思い出す。
彩人と、竜瑚の3人で暮らして。
凛と出会って。
お前は優しい顔になったんだよな。
それなのに、
またこんな顔をさせてしまった。
隣に座る凛が、詩音の背中を抱いている。
優しい目で、彼を見ている。
「……確かに、最低だよな」
「ならどうして!!」
「『好きだ』と言ってくれたから」
「は?」
「コイツと出会ってから50年以上だ。ずっとオレのことを好きでいてくれたんだって」
「……情に絆されたってことか?」
「そうかもしれない。正直、大嫌いだった事もある。でも……何だろうな。言葉にできない。言葉にできないけど、」
隣に座る男を見る。
何を考えているか分からない、険しい顔。
手を伸ばし、男の手を握る。
冷たい手だ。
緊張してるのか?
ギュッと力を込めると、握り返してくれた。
「コイツのことが好きなんだ」
耳元で囁いた、響の親指に唇を開かされ、
ぬるっと熱い舌を口の中に受け入れる。
「はぁっ…、んむっ…、」
グチュ、グチュ、と脳まで侵されそうな音がする。
この『響との関係』を、皆に伝えるべきか?
彩人はもちろん、詩音には知られたくない。
彼らはコイツのことを、殺したいほど憎んでいる筈だ。
凛にも言えない。
いくら優しい彼でも、さすがに受け入れられないだろう…。
竜瑚に相談してみようか。
…いや。彩人が関わるとダメだ。
もちろん海砂ちゃんにも言えるわけない。
流石にデリカシーがなさすぎる。
柚木?
親友が苦笑…いや爆笑している顔が浮かぶ。
ついでに弟と妹の呆れた顔も…。
答えの出ない問い。
別に敢えて伝える必要はないんじゃないか?
でも、いつかは知られてしまうのでは?
そんなふうに、ひと月もずるずると引き伸ばしていたツケを払う時は……意外と早くやって来た。
「んっ、んっ、んっ、んぁっ、」
揺さぶられる、響の膝の上。
腹の中には
コイツのちんぽがズッポリ嵌まり込み、
「もう…、いい…かげん…、やめ…、」
下からゴチュ、ゴチュ、と突き上げられるたびに、痺れを伴う快感が背中を走る。
日曜日、今日は休みだ。
昨日の夜もしたのに、朝からまた盛ってやがる。
何でコイツ、こんなに元気なんだ。
妙な薬とか使ってないだろうな…。
ピンポン♪
「!!!」「くっ…、」
突然鳴った、玄関のチャイム。
思わず中をギューっと締めてしまった。
オレは大事なことを忘れていた。
冴が医院宛の消耗品を送るついでに、『詩音向けの新しい参考書籍』を送ってきたのだ。
彼のことを相当気に入ったらしい。
『近いうちに兄さんの家へ取りに行くようメールしておいたから』
その妹からの連絡は、あまりに一方的すぎて、しかも昨夜からの行為のせいで、すっかり頭から抜けていた。
『近いうちに』
まさか今日取りに来た?
詩音から連絡来てたか?
そういえば、
スマホは…昨日の夕方から見ていなかった。
…腹の中にいる誰かのせいで。
ピンポン♪
現実逃避していたオレは、2度目のチャイムで現実に引き戻された。
「ぐっ…、」
慌てて腰を上げ、響のちんぽを奥から引き抜くと、床に落ちていたシャツを羽織り、ヨロヨロと玄関に向かう。
ボタンを留めて……手が震えて留まらない。
とりあえず下着だけでも…どこだ?
ヤバい、後ろから…垂れる。
その時、パニックになっているオレの横をすり抜けて行く男を見た。
いつの間にか、きちんと服を着ている。
「ちょ、待て!」
カチッ、カラカラカラ、と玄関の引き戸が開く音がした。
「…なんでアンタがこの家にいる!?」
……遅かった。
「詩音……、ッ…!」
玄関には詩音と…凛がいた。
その衝撃で呆然とした瞬間、
尻の穴が弛み、ドロリとしたものが太腿を流れ落ちる……。
「啓一先生!!警察を呼びますか?!」
凛がスマホを取り出した。
シャツの前は開きっぱなし。
身体はキスマークと歯型だらけ。
下着を履いていないし、
太腿には白濁液が垂れている。
強姦されたと思われてる?!
「合意です!大丈夫です!ごめんなさい!」
慌てたオレは思わず叫んでいた。
みんな、ポカンとしてる…。
「~~~!!!」
完全に動揺したオレは、全てを投げ出し、
風呂場へ逃げ出した。
しまった…。
着替えを持って来なかった。
シャワーから出たオレは、バスタオル一枚で途方に暮れていた。
普段ならタオルを腰に巻いて出て行くこともできたが、先ほどの一件で……非常に出づらい。
しかも乳首は真っ赤に腫れており、肌には数え切れない歯形やキスマーク。
「…バカだなぁ」
未だ慣れないセックスに溶かされて、脳まで溶けてしまったみたいだ。
メッセージは『既読』にしていないし、とりあえず居留守を使って、後で詩音に連絡すればよかったのだ。
また来てもらうのは申し訳ないが、今の状況に比べたらよほどマシだったのではないだろうか。
むしろ、冴が面倒がらずに凛のアパートへ直接郵送してくれれば良かったのだ。
「啓一。出たか? ほら」
響の声だ。
引き戸を少し開けて、服を一式渡してくれる。
無事だった。詩音に殴られてもいない。
「……ありがとう」
急いで身につけたが…。
なんかこの服…全部肌触りが気持ちいい。
こんなの持ってたか…?
リビングにて。
ソファに座り、向かい合う男が4人。
響がコーヒーを出してくれたらしい。
手をつけられないまま、冷めたカップがテーブルに4つ並んでいる。
「ええと、先程は失礼しました…」
思わず丁寧語になってしまう。
「いえ、こちらこそ、日曜日の朝早くからお邪魔してしまい申し訳ありません…」
凛も丁寧だ。
「………」
「………」
「……お2人は、どういったご関係で?」
沈黙に耐えかねた凛が、オレに質問してくれる。
「幼なじみで…」「恋人だ」
オレと、響の声が重なった。
「幼なじみで、恋人、ですか…」
「ハイ…」
「いつから恋人関係に?」
「先月からです」
「無理矢理、関係を迫られた?」
「……合意?…です」
「本当は?」
「酔って、流されました。…今は合意です」
「啓一先生…。アンタ、この男がこれまで何をしてきたか知ってるよな?」
静かで、暗い、声。
「詩音…」
凛が彼の背を『落ち着くように』とトントンする。
「……知ってる」
「それなのに、アンタは、コイツと…、コイツに…、」
「抱かれたよ」
「……っ、なんで?!」
「オレが、コイツを、好きになったからだ」
愕然とした表情。
裏切られた…という顔だ。
殴られるかな?
…そりゃあ、そうだよな。
響は詩音の母親・海砂ちゃんを『奴隷』にした。もちろん借金を作った彼女の父親が元凶なのだが。
オレかコイツが彼女を妊娠させたくせに、コイツは詩音から『母親と一緒に過ごす時間』を奪った。
15歳になった詩音を『社員』という名の契約で『奴隷』にした。
まだ子どもと呼んでもいい年齢で、望まない性交や望まない暴力を強要し、金やコンテンツの視聴数というノルマを課した。
施設でずっと守っていた大切な親友を、人格を別けないと生きていけない程の『酷い目』に遭わせ続けた。
凛については始まりこそ詩音が拉致してきたとはいえ、『生配信』や『派遣』に使い続けた。さもないと『薬漬けにしてAVに出し続ける』と脅したらしい。
彩人と凛を『クソイベント』に出し、男達の『遊戯』として悪趣味な性暴力を受けさせた。
輪姦され、玩具にされ、鞭打たれ、腫脹や皮下出血斑、擦過傷や裂傷が酷かった。血液と精液に塗れた臭い。ぐったりと意識を失った姿が目に焼き付いて離れない。
その『イベント』や『派遣』を企画したのはコイツの叔父だが、実際に運営していたのはコイツだ。
「なんで?!こんな最低なヤツ、『好きになった』って何だよ?!意味が分からない!!!」
10代の暗い目をしていた詩音を思い出す。
彩人と、竜瑚の3人で暮らして。
凛と出会って。
お前は優しい顔になったんだよな。
それなのに、
またこんな顔をさせてしまった。
隣に座る凛が、詩音の背中を抱いている。
優しい目で、彼を見ている。
「……確かに、最低だよな」
「ならどうして!!」
「『好きだ』と言ってくれたから」
「は?」
「コイツと出会ってから50年以上だ。ずっとオレのことを好きでいてくれたんだって」
「……情に絆されたってことか?」
「そうかもしれない。正直、大嫌いだった事もある。でも……何だろうな。言葉にできない。言葉にできないけど、」
隣に座る男を見る。
何を考えているか分からない、険しい顔。
手を伸ばし、男の手を握る。
冷たい手だ。
緊張してるのか?
ギュッと力を込めると、握り返してくれた。
「コイツのことが好きなんだ」
0
お気に入りに追加
119
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる