愛を請うひと

くろねこや

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その後の話

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凛はわかっていない。

お前は綺麗だ。

人の目を惹きつける。


ーーーそれに、色っぽい。



ほら、あの女がお前を見てる。
話しかけたそうに隣の女とヒソヒソ話している。

あの花屋の女。今日もお前を見ている。
ハチが店に入ったのを見て、お前が素手で捕まえて外に逃してやった日からだ。
お前は『このクマバチはオスだから刺さないよ』って笑ったけど、羽音が大きくて正直怖い。ハチの見分けがつかないオレは殺してしまうと思う。お前は優しくて、物知りで、カッコいい。


お前は男の視線も集めてしまう。

あの男、お前のことをずっと見てる。
隣にオンナを連れているくせに。
オレが睨んだら目を逸らしたが、また見てやがる。

あの男だってそうだ。
白い首筋、細い腰、丸くて触りたくなる尻、細くしなやかな長い脚……。
視線でお前の身体中を舐め回している。

お前をどこかに隠してしまいたい。



出会ったばかりの頃は、外回りの仕事をしていたと言ってた通り、肌は日に焼けていたし、尻もキュッと締まって、脚にも筋肉が付いていた。
もちろんその頃から十分エロかった。

だが、長く閉じ込めて外を歩かせなかったからか、肌は透き通るように白くなり、凛の脚は細くなってしまった。
会社がアパートから近いせいで、あまり歩かず元の脚に戻っていないのだろう。

尻も同じだ。しかもオレが揉んで撫で回すからか、どんどん『男が触りたくなる形』になっている気がする。
白くて丸いその尻は、触ると柔らかくてしっとり吸いつくようだ。

街中だろうと構わずその尻を撫で回し、開かせて、舌やちんぽをその穴に突っ込みたくなる。凛のことを見ているアイツらに『オレのものだ』と繋がっているところを見せつけてやりたい。

首筋や鎖骨の白さなんて、いつでも吸い付いて所有の印キスマークを付けたくなる。
お前は『金曜日じゃなきゃダメ』だと言って、なかなか付けさせてくれないが。

すっかり大きく育った乳首も、舐めて吸って転がして歯を立てて苛めたくなる。お前が気にしているからまだ言っていないが、人前で見せてはいけないレベルのエロさだ。プールや銭湯には絶対に連れていけない。

この前の夜、お前が苺に練乳をかけてくれただろう? 正常位で抱くと、真っ赤に腫れた乳首に、達したお前の精液がかかってエロくなるのを思い出して勃ってしまった。今度、お前に練乳をかけて舐めてみたい。

お前はちんぽもタマも綺麗だ。
ついつい口で咥えて、舐めたくなる色と形をしている。
ふるふると震えながら勃つところもずっと見ていられる。
オレの太々ふてぶてしく濃い色のちんぽと重ねて擦ると、そのコントラストでより卑猥に見える。

興奮するとすぐ赤くなる少し尖った耳、形がいい鼻は、舐めて噛みつきたくなる。

とろけた瞳にはオレだけを映してほしい。

唇が開き、舌を絡ませて、お前の喉がオレの唾液や精液をごくりごくりと飲み込んでくれる度、『オレのものだ』と実感できる気がして嬉しい。


だけどやっぱり、その瞳も唇も、幸せそうに微笑んでくれた時が一番好きだ。花の蕾がほころんで咲いたみたいに、目が離せなくなる。

好物を食べた時、綺麗な物を見た時、『愛してる』ってオレが気持ちを伝えた時、本当に幸せだとその表情が伝えてくれる。オレはお前の一番近くで、ずっとそれを見ていたい。



いつも綺麗でカッコいいお前。
どうかオレだけの凛でいて。

オレは凛の足首にめた飾りに口付ける。

オレの気が狂ったなら、お前を見た人間を全て殺してしまうだろう。


あぁまた、違う女がお前を見ている。


オレは我慢できるよ。
お前がオレだけを見て、
『愛してる』と言ってくれる限りは。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




詩音はわかってない。

お前はかっこいい。

人の目を惹きつける。


ーーーそれに、エロくて困る。



ほら、あの女子高生。
友達と肘でつつき合っている。
どちらが話しかけるか、迷っているのだろう。

あの店員さんもだ。
話しかけたそうに見ている。
以前お前が、崩れかけた棚の商品ものを押さえてあげた日からだ。

あの子は足を怪我していた時、お前が運んであげていたな。
山神先生の手伝いを始めたからか、『患者さん』を見つけると助ける癖が付いたみたいだ。
あの日から、お前の事が好きだと彼女の視線が言っている。

自然にサラッと人を助けるお前はすごいよ。


お前は背が高いし、顔もかっこいい。
髪を短くしてから、お前の顔がよく見える。
気がつくとオレはお前を見てしまう。

元の髪型に戻ればその顔が隠れて、お前を追いかける視線を減らすことができるだろうか。……でも『あの頃』を思い出してしまいそうで少し怖いな。

最近のお前は優しい表情かおで笑うから、やっぱり顔が見えた方がいいな。


お前は普段は寡黙かもくなくせに、口説き始めるとたくさん甘い言葉を吐く。恋愛小説なんか読むから、語彙ごいが多すぎて困る。オレは照れくさくて、同じように甘い言葉を返せない。

お前がビニールシートをベッドに敷く夜は、いつも『イヤな予感』がするのに逆らえない。

『お前の苺を食べさせて』って練乳を乳首にかけられて、取れそうなほど舐められて甘噛みされた。どんな本を読んだらそんな台詞が出てくるんだよ…。
ちんこと尻の穴にもたっぷり注がれて、『精液を溢したみたいだ』って言いながら舐め取られた。
恥ずかしさで死ぬかと思った。

そういうの『言葉責め』というそうだよ。
この前、結人くんが電話で言っていた。


お願いだから、人前ではやめてくれ。


耳元でお前に『抱きたい』と囁かれると、街中なのに後ろがうずいてしまう。
お前にしつけられてしまったナカが期待してしまう。
低く響く、いい声なのも良くない。


オレの身体がおかしくなったのはお前のせいだ。
男に股を開くなんて、ずっと屈辱的なことだと思っていたのに。
お前が触れた指で、言葉ひとつで、視線で、自ら受け入れる体勢になってしまう。
脚を開いて、尻を拡げて、ナカに入れて欲しくて身体が勝手に準備してしまう。



意識が朦朧とするくらい
オレの中が『お前の』でいっぱいになると、
必ず足首の飾りに口付けられる。
オレの顔が幸せに蕩けているのだろう。
詩音の表情を見ていればそれが伝わってくる。


お前に捨てられたら、たぶんもう、オレは生きていけない。


『一緒にこうね』

 
なんて甘い言葉だろう。





お前を愛してる。
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