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本編
19 襲来
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あの『クソイベント』からおそらく一週間。
今は男Aだけの『ミルク』を与えられている。
その回数で過ぎた日にちを数えるのにも慣れてしまった。
だが、その日は様子が違った。
「おー、いたいた。こいつが『凛ちゃん』か」
知らない男2人が、オレしかいない部屋に入ってきたのだ。手には大きな汚いバッグを持っている。
一見すると普通の若者だが…
突然1人の男に首輪を後ろから引かれ、グッと締められた。喉仏を圧迫される苦しさに仰け反ると、両手を抵抗する間もなく枷で縛められてしまう。
もう1人が、開かされた口にボールのようなものを噛ませてきた。ベルトが付いており後頭部で固定されてしまうと、口が閉じられなくなった。
鼻は塞がれておらず、ボールには穴が複数開いているようだが、男2人に囲まれた状況、制限された呼吸と急展開についていけず、パニックになる。
「チッ」
舌打ちと共に、イライラを隠さない男が足元に投げ捨てられていたバッグを探る。
右足首の足枷が外れないらしく、大きなペンチのようなもので鎖を切られる。
(オレを助けに来た…わけないな)
足枷のカギを持っていないということは、あの3人の仲間ではないのだろうが。
「オマエを気に入ってくださったスポンサー様の所に連れていってやる」
せいぜい媚びて、可愛がってもらうんだな、とオレの乳首を爪でキリリと摘んで弄ぶ男。
「っ…」
毎日クリップで育てられた乳首はすっかり刺激に弱くなってしまった。
ガンッ と、
激しい音がして、扉が開く。
「お前らなにやってる!!!」
オレを連れ出そうと手首の枷を引いていた男の側頭部に、男Aの蹴りがヒットした。
もう1人の男は、男Cが抑えつけている。
「誰の指示だ?」
男Aの顔が今までになく凶悪だ。
男Cが、抑えつけた男に何かしているようだ。
「……コイツを気に入ったスポンサーがいるんだよ。アニキにコイツを運ぶよう指示されただけだ」
急にCに抑えられた男の口が軽くなる。
なぜか涙目だ。
その様子にBは笑いを堪えない。
(何されたんだ?)
男2人を部屋から追い出すと、AとBが真剣な表情になった。
「ここにいたら、また来るだろうね」
「その前にコイツを別の場所に移す」
目隠しをされ、足も拘束されると、大きな布に包まれ車で運ばれた。
着いたのは、
オレが住んでいたアパートだった。
オレが仕事から帰って寝るために使っていた部屋は、壁が分厚くなっていた。おそらく防音に改造されたのだろう。
アパートの通路に面した窓も壁で塞がれている。
狭くなった部屋には、ベッドとクローゼットしかなかった。
クローゼットの中には、水や携帯食料、変態じみたアダルトグッズ。
右足首は長めの鎖で、防音壁に取り付けられた金具と繋がれており、廊下を挟んだ向かい側のトイレと風呂にだけは行くことができた。
ほぼ男に監視されており、ギリギリ玄関には届かない。
この部屋は角部屋だから、頼れるのは隣人と時々来る宅配スタッフくらいだが、防音の壁にされたからか隣の住人の生活音が全く感じられなかった。
部屋にはテレビもパソコンもない。
今日がいつなのかさえも、上からの命令だと明かしてもらえない。
無音の世界に『気が狂いそうだ』と言うと、
「んちゅ、んっ…」
グヂュ、グヂュ、グヂュ、
という粘着質な音が部屋を満たす。
『配信』のない、男Aから与えられるキスとセックスが唯一の『娯楽』になっている。
嫌なヤツだと思っていたのだが、今となっては話好きのBが恋しい。
今は男Aだけの『ミルク』を与えられている。
その回数で過ぎた日にちを数えるのにも慣れてしまった。
だが、その日は様子が違った。
「おー、いたいた。こいつが『凛ちゃん』か」
知らない男2人が、オレしかいない部屋に入ってきたのだ。手には大きな汚いバッグを持っている。
一見すると普通の若者だが…
突然1人の男に首輪を後ろから引かれ、グッと締められた。喉仏を圧迫される苦しさに仰け反ると、両手を抵抗する間もなく枷で縛められてしまう。
もう1人が、開かされた口にボールのようなものを噛ませてきた。ベルトが付いており後頭部で固定されてしまうと、口が閉じられなくなった。
鼻は塞がれておらず、ボールには穴が複数開いているようだが、男2人に囲まれた状況、制限された呼吸と急展開についていけず、パニックになる。
「チッ」
舌打ちと共に、イライラを隠さない男が足元に投げ捨てられていたバッグを探る。
右足首の足枷が外れないらしく、大きなペンチのようなもので鎖を切られる。
(オレを助けに来た…わけないな)
足枷のカギを持っていないということは、あの3人の仲間ではないのだろうが。
「オマエを気に入ってくださったスポンサー様の所に連れていってやる」
せいぜい媚びて、可愛がってもらうんだな、とオレの乳首を爪でキリリと摘んで弄ぶ男。
「っ…」
毎日クリップで育てられた乳首はすっかり刺激に弱くなってしまった。
ガンッ と、
激しい音がして、扉が開く。
「お前らなにやってる!!!」
オレを連れ出そうと手首の枷を引いていた男の側頭部に、男Aの蹴りがヒットした。
もう1人の男は、男Cが抑えつけている。
「誰の指示だ?」
男Aの顔が今までになく凶悪だ。
男Cが、抑えつけた男に何かしているようだ。
「……コイツを気に入ったスポンサーがいるんだよ。アニキにコイツを運ぶよう指示されただけだ」
急にCに抑えられた男の口が軽くなる。
なぜか涙目だ。
その様子にBは笑いを堪えない。
(何されたんだ?)
男2人を部屋から追い出すと、AとBが真剣な表情になった。
「ここにいたら、また来るだろうね」
「その前にコイツを別の場所に移す」
目隠しをされ、足も拘束されると、大きな布に包まれ車で運ばれた。
着いたのは、
オレが住んでいたアパートだった。
オレが仕事から帰って寝るために使っていた部屋は、壁が分厚くなっていた。おそらく防音に改造されたのだろう。
アパートの通路に面した窓も壁で塞がれている。
狭くなった部屋には、ベッドとクローゼットしかなかった。
クローゼットの中には、水や携帯食料、変態じみたアダルトグッズ。
右足首は長めの鎖で、防音壁に取り付けられた金具と繋がれており、廊下を挟んだ向かい側のトイレと風呂にだけは行くことができた。
ほぼ男に監視されており、ギリギリ玄関には届かない。
この部屋は角部屋だから、頼れるのは隣人と時々来る宅配スタッフくらいだが、防音の壁にされたからか隣の住人の生活音が全く感じられなかった。
部屋にはテレビもパソコンもない。
今日がいつなのかさえも、上からの命令だと明かしてもらえない。
無音の世界に『気が狂いそうだ』と言うと、
「んちゅ、んっ…」
グヂュ、グヂュ、グヂュ、
という粘着質な音が部屋を満たす。
『配信』のない、男Aから与えられるキスとセックスが唯一の『娯楽』になっている。
嫌なヤツだと思っていたのだが、今となっては話好きのBが恋しい。
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