痛みと快楽

くろねこや

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本編 3 番外編

使用人(後編)

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あれ?

…意識を失っていたみたいだ。


身体中に酷い違和感。久しぶりの感覚だ。

『Opus』…じゃないよな?


瞼を開くと強いスポットライトによって床に落ちたシルエットが目に入ってきた。

オレはうつ伏せで縄を掛けて縛られ、天井から吊るされているようだった。

宙に浮く、大きく開かされた脚。

手は自分の内腿に添えられていて、まるで自分から股を開いているみたいだ。


「2人で縛ると早くていいですね」

オレが意識を取り戻したことに気づいたのか、慎一郎がオレの髪を撫でた。

「しん…いちろ…、」

そうか。ここは…お仕置き部屋。

連続イラマでさすがに酸欠だった上、ちんぽの痛みが限界だったから。

喉に慎一郎の精液が絡んでいた。掠れたオレの声に、すかさず水を与えてくれる。

「んっ…、ちゅっ、」

下向きに縛られているから、ゴクリと飲み込むまで待ってくれるのが優しくて嬉しい。

口移しの水がなくなってからも、冷えた口内に舌で熱を与えられる。


乳首とちんぽの拘束具は外されていた。

代わりに『搾乳機』が取り付けられている。

まるで下品なビキニを着せられたよう。胸と腰に通された黒い革ベルトで固定され、透明のカップと太いチューブが3つぶら下がっている形だ。

自身のその姿は酷く滑稽こっけい卑猥ひわいだった。

酷すぎて目が離せない。



「高柳」

声の先にいた男は、落ちていた服を拾いながら観賞用のソファに向かうようだ。

「彼にはあなたの痴態をたっぷり観察してもらいましょう」

あぁ、そんな。

こんな風に縛られて、お前に愛される姿を他の人に見られてしまうの?


……嬉しい。






「んぁっ! も、もうらめ!! ゆるひて、」

閉じられない口から、トローッと涎が床に垂れていく。


乳首を、ちんぽを、

ブーンブーン、虫の羽音のようなものと共に回転する無数のローション舌ブラシで舐められている。

じゅるじゅる、音を立てて緩急をつけた吸引が続く。


ぢゅぽぢゅぽ、後ろから突き込まれるのは、気持ちいい形のちんぽ

…ではなく、慎一郎の形をしたディルドだ。ガシュ、ガシュ、というけたたましい音。ピストンマシンによって自動化された機械的な抽挿。

本物の慎一郎は、オレのヒクつく身体を舐めて、吸い付いて、齧っていく。

「んっ…、」

機械に吸引され、達した瞬間ギュッとなる尻たぶ。

「や…、あ…、あ…、」

その後、ようやく弛緩した瞬間を狙うように歯が立てられる。

「いっ…!!あ…、」

歯型がくっきり付いているだろうジンジンする尻たぶを指で開かれ、機械のスイッチを操作されると、ピストンマシンによるえぐり込みがさらに深くキツくなる。

ガション、ガション、と激しくなった音。
吊るされたまま揺さぶられる身体。


「あっ、あっ、あんっ、あっ、」

吸引機械と抽挿機械に責められる、その真ん中の空いた部分。

フルフル揺れるタマと会陰を尖らせた舌先でペロペロされるのも堪らない。ぢゅっ、と唇で吸いつかれてまた達した。

じゅるじゅる、精を機械に吸い取られる音が響く。

内腿の弱い辺り。脇の下も舐めないで。

身体をよじって逃れたいのに、縛られているから身動きも許されない。


唯一自由になる頭をソファの方へ向けてみると、高柳さんが機械と慎一郎に泣かされるオレを熱っぽい目で観察しているのが見えた。


『見ないで』 『もっと見て』

白く濁った頭の中。

矛盾した思考。


その視線でまたイッてしまう。





「撮影を」

慎一郎の声で再び朦朧としていた意識を取り戻す。

立ち上がった高柳さんはビデオカメラを手に取ると、再びオレの側に近づいてきた。

床には大きめのタブレットが置かれる。

カメラが撮った映像をリアルタイムでオレにも鑑賞させてくれるようだ。


縄を掛けて吊るされた身体。

首筋から始まり、肩、背中、腰、太腿、尻や会陰。縄の隙間という隙間に鬱血と歯型。慎一郎の所有印が付けられていない場所などない。


両胸とちんぽに取り付けられた搾乳カップ。緩急をつけてキュウキュウ吸われながらずっとペロペロされている。

2週間もかけて育てられたのに、もはや透明な液体しか出せない弱々ちんぽ。狭い貞操帯にギュッと圧縮されて閉じ込められてた上、解放されてからの連続吸引に、酷い色になってる。

乳首なんて真っ赤に熟れた長細い苺みたいだ。

透明なカップは汗ですっかり曇っていたが、濃い色がはっきり見えて恥ずかしい。

チューブの先に繋がれた機械とガラスのミルクタンク。オレの精液がたっぷり溜められているのが分かる。


ガシュガシュごちゅごちゅ機械によって自動で打ち込まれているディルド。それを美味そうに咥え込む蕩けた肉穴。

そのフチは真っ赤になってすっかり捲れ上がっている。ディルドが引かれた瞬間、ぽっかりした穴の奥まで見えてしまいそうだ。

止まらないピストンによって押し込まれる空気。ブポッ、ブポッって、時々おならみたいな音がして恥ずかしい。


閉じる間もなく開かれ続ける尻穴から、泡立った慎一郎の精液が掻き出されてきてしまう。

ドローッと糸を引きながら床へ垂れていく白濁液。穴のフチにこびりついた泡の塊。

さらに溢さないようキュッと締めようとして、ディルドの激しい責めに遭い意味を成さない声が止まらなくなる。


この身を襲う感覚と見せられる映像がリンクして頭がおかしい。気が狂いそうだ。


ピストンマシンに牛のちんぽを取り付けられそうになって、嫌だと泣いた。

「それやら、こーびやら。しんいちろー、しんがいいよ。おねがい、しん、しんいちろー、」


舐めるように向けられたレンズには、涙と鼻水と涎を垂れ流した情け無いオレの顔までが全て収められてしまった。





ぐったりしたベッドの上。

オレの身体を縄から下ろし、温かいタオルを慎一郎へ手渡すと、高柳さんは静かに部屋を出ていった。

小型冷蔵庫みたいな形。この部屋にタオル用の保温庫があるのを初めて知った。


「…なんで、あの人を呼んだの?」

水を飲ませてもらい、長時間吊られて固まった身体を、温かいタオルと慎一郎の指が解してくれる。


「……あなたを試しました」

試した?




『顔が赤いが…熱でもあるのか?』

秀一父さんの温かい手のひらが額に当てられ、耳元には心配そうな優しい声が低く響く。

『んっ…、』

貞操帯に閉じ込められたちんぽが痛くて、乳首も熱くて。

思わず父さんの胸にすがってしまった。

逞しい大胸筋。

すぅと吸い込んだ父さんの匂い。

腰を支えてもらったら、ますますゾクリとして激しい痛みに襲われるという悪循環に陥ってしまう。



その様子を見て妬いたらしい。

性欲に蕩けた脳で、オレが他の男を求めるのか。

それとも本当に慎一郎だけを求めるのか。

試してみたそうだ。



結果として、オレは他の男のちんぽを求めてしまった。

でも、

「お前の以外、飲みたくない…と思った」

男の精液を、喉が、身体が拒絶した。

あんなに魅力的な人でもダメなら、もう他の男のものは受け入れられないということだろう。

「お前のちんぽに似てるからいけると思ったけど、無理だった…」

オレにとって、『精液』=『愛』なんだ。
慎一郎の『愛』しか受け入れたくない。


「…彼を覚えていませんか?」

「んっ…、」

慎一郎の人差し指が、熱を持ったオレの尻穴をくりくり撫でる。


覚えて…? オレは高柳さんを知ってる?

「ヒントは『Opus』です」


店?

「あ…」


5人組の男達。

順番に入れてもらうと気持ちよくて。

最後の最高なちんぽ。5人目は慎一郎で。

「…4人目の人?」

「正解です」


他の3人も『慎一郎の使用人』になったのだという。


「彼ら4人と僕で、あのプレイを再現しましょうか?…もちろんゴムは着用させますが」

ゴクリと喉が鳴る。

あれ、気持ちよくて好きだった。

5人が並んで、1人ずつ順番に挿入して、一周するごとに突く回数を増やされていくやつ。


「承知しました。楽しみにしていてください」

結局オレは答えられなかったのに、慎一郎にはオレの欲が伝わってしまったみたいだ。

慎一郎はそれでいいの?

小さな自分自身にさえ想像で嫉妬するくらいなのに。

自分の気持ちより、オレの欲求を大切にしてくれるの?


「…ありがとう。ちんぽが好きでごめんね」

たった2週間。慎一郎にして貰えなかっただけで、欲しくて欲しくて堪らなかった。 

お前の・・・が好き。


彼ら4人の形は慎一郎の歴史。

元の慎一郎。さらに手術を重ねて4回。

貞操帯だけであんなに痛いのに、形を変える手術なんてどれだけの苦痛なのだろう。慎一郎は『死にかけた』のだと慎羅くんは言っていた。

「僕の愛を信じてください」

それは、オレへの想いを証明するものだ。

「うん。信じてる」

深くて深くて底が見えないほどの、少しだけ怖い『愛』。


「本気で浮気をしたら…分かりますね?」

「うん。殺していいよ。オレを」

即答すると、唇に慎一郎のキスが降ってきた。

「殺しません。…その代わり、あなたが挿入を頑なに拒んでいる『アレ』を使います」

オレが嫌がっている『アレ』。
慎羅くんの作品。
あの『一点もの』のことだろう。

「やっぱりさっきのプレイはナシで」

怯えるオレに、慎一郎は笑った。



「…オレはお前がいいんだ」

慎一郎のものに手を伸ばす。

浮気なんてしない。

「お前のを挿れてほしい」

ディルドでされるのも良かったけど、やっぱり本物が欲しかった。

「はい。お望みのままに」

冷めたタオルを床に落とすと、うつ伏せで寝るオレに慎一郎が覆い被さってくれる。

尻たぶを開いて、期待でヒクつく穴へ最高にイイのが挿入されてきた。

「はぁ。気持ちいい」

搾り尽くされたからもうさすがに勃たないけど、心が落ち着くのを感じた。

「僕も、気持ちがいいです」

繋がったまま身体を横向きにされ、後ろから抱き込まれる。

「すごく…安心する」

「僕もです」


縛られて吊るされた身体は怠いし熱っぽく痛むのに、急に眠気がきた。


「…そうだ。搾乳機ありがと」

いつも望みを叶えてくれて嬉しい。


「はい。もっと良い使い方を考えておきます」

「ん…」

「おやすみなさい」

「…おやすみ」


そのままドロリとした眠りに落ちていった。





「おはようございます」

翌朝目覚めると、キッチンには笑顔の高柳さんがいた。

朝食のセッティングをしてくれたらしい。


オレは裸にシャツを一枚羽織っただけ。

しかも下半身は慎一郎と繋がったまま。

2人とも平然としている。

え…これでいいのか?


口移しで与えられるオニオングラタンスープ。

すごく美味しい。

高柳さんが作ってくれたらしい。


「海堂家の使用人は全て排除できました。これからは安心して食事できますよ」

「そうなんだ」

慎一郎の精子を渡したから、もう薬を使われる心配をしなくていいのか。

食事の用意をしてもらえるなら楽になるな。

…少し寂しいけど。

「それでもたまには2人でキッチンに立ちましょうね」

まるでオレの思考を読んだみたいだ。

「うん!」


食事の最後に口移しで与えられるのはヘタを取った真っ赤な苺。

慎一郎の唇に挟まれたソレを見て、昨夜のことを思い出し、後ろがキュンと疼いてしまった。繋がっている彼にもそれが伝わったのだろう。


「…今日は休日ですね。食事を終えたらまた愛し合いましょうか」

囁かれた言葉に、甘酸っぱい苺を口に与えられたオレはコクリと頷いた。
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