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幕間 2
ある兄の話 1
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屋敷で新しくペットを飼うことになった。
オレには2人の弟がいて、そのうち1番目の弟・慎一郎から、ある1匹の『雌犬』を引き取ってほしいと頼まれたからだ。
自業自得の理由によって太腿をナイフで刺され、入院していたところを捕まえてきたらしい。
この『犬』はオレにとって重要な存在だ。
正確にはこの『犬』と、奈津くんだ。
腹違いの弟、慎一郎。初めて会った日から、オレは彼の事を苦手だと思っていた。
弟達の母親は2人とも容姿は美しいが中身は酷い女達だった。
特に慎一郎の母親が酷かったと聞いている。
実力主義の海堂家とはいえ、長男であるオレの存在を知りながら、あえて慎『一』郎と名付けたあたりに彼女の性格の良さが現れている。
彼女のせいだろう。子どもの頃の慎一郎はまるで感情を持たない人形のようで。ガラスのような瞳は美しくて、恐ろしかった。
それが変わったのは慎一郎が中学3年の頃。
彼が、ある少年を大事そうに抱えて屋敷へ連れ帰ったと運転手から報告を受けて驚愕した。
それまでの慎一郎は、人に対しても、物に対しても、関心を向けたことが一度もなかったからだ。
その日は進学予定の高校を見学に行ったはずだった。
少年の身体は、彼が吐き出した大量の水、精液と尿、泥に塗れていたらしく、『シートのクリーニングが必要になった』と運転手がぼやいていた。
その少年、新島 奈津くんを輪姦し、汚し尽くしたのがこの『犬』とその仲間達だった。
奈津くんに出会って、弟は『初恋』と『執着心』という人間らしさを手に入れたらしい。
あの頃は奈津くん本人が手に入らなかったからだろう。彼に関する『コレクション』が異常な量になっていた。初めて慎一郎の部屋を見せてもらった時、体育倉庫に入ったかのように錯覚してクラクラしたものだ。
しかも壁からは太い木の枝が生え、謎のロープがぶら下がっていた。
スマホでいつも同じ動画を観ているから、気軽に『何を観てるんだ?』と聞いて後悔した。
それは、ロープで吊るされた奈津くんが数えきれない程の男達に囲まれ、泣きながら犯されている姿を盗撮した動画だったのだ。
木の枝と謎のロープが『コレクション』されていたことで、体操マットや跳び箱などが彼の部屋にある意味を察した。
『他人の前で観てはいけない』と彼に言うと、『信用した相手の前でしか観ない』と言葉を返された。
オレは思わず慎一郎を抱きしめていた。
弟の『初恋』であり『唯一』。
奈津くん。
彼のおかげで、慎一郎はオレに感情を見せてくれるようになった。
慎一郎と話をするようになると、もう1人の弟・慎羅とも話をするようになった。慎羅は慎一郎の顔が大好きだから、初めて会った日から彼の反応が薄くとも、めげずに話しかけ続けていたようだ。
オレ達兄弟は3人とも腹違いではあるが、現在はかなり良好な関係性を築けている。
そのきっかけとなってくれた『犬』。
しかも初めて慎一郎がオレを頼ってくれた。
飼うに決まっている。
慎一郎から頼まれたこの『犬』の『飼育条件』は4つだけ。
◯恐怖を与えて躾をすること。
◯弟の犬、ディックの番にし、『交尾』させること。
◯リストから選定した『飼育員』を雇い、世話を任せること。
◯外では散歩させず、最後まで室内で飼うこと。
慎羅は『躾』が上手い。
『恐怖を与える躾け方』を相談したら、オレ用と『飼育員』用に『気持ち悪さを追求した』というマスクをデザインし、作ってくれた。
『飼育員』は3人いるから、作るのが大変だっただろう。
躾用の鞭も人数分揃えてくれた。
『下処理もやりたい』と言ってくれたから任せてみた。この子は慎一郎のことが大好きだから、『少しでも役に立ちたい』と思ってくれたのだろう。サディスティックなところがあるから、本人も楽しんでいるようだった。
処理の前。初めてガラス越しに見た日は悪態をついて暴れていた『男』だったが、オレの元に届けられた時には記憶を失ったのか無垢な瞳をした『犬』になっていた。
専用の飼育部屋は慎一郎が準備してくれた。
『必要最低限の物しか置かない』
『外部刺激を与えない』
という窓もない極めてシンプルな部屋だ。
慎一郎から週末だけ預かることにした可愛いディックの為に、大型犬が走り回れる広い運動部屋も用意した。
オレには2人の弟がいて、そのうち1番目の弟・慎一郎から、ある1匹の『雌犬』を引き取ってほしいと頼まれたからだ。
自業自得の理由によって太腿をナイフで刺され、入院していたところを捕まえてきたらしい。
この『犬』はオレにとって重要な存在だ。
正確にはこの『犬』と、奈津くんだ。
腹違いの弟、慎一郎。初めて会った日から、オレは彼の事を苦手だと思っていた。
弟達の母親は2人とも容姿は美しいが中身は酷い女達だった。
特に慎一郎の母親が酷かったと聞いている。
実力主義の海堂家とはいえ、長男であるオレの存在を知りながら、あえて慎『一』郎と名付けたあたりに彼女の性格の良さが現れている。
彼女のせいだろう。子どもの頃の慎一郎はまるで感情を持たない人形のようで。ガラスのような瞳は美しくて、恐ろしかった。
それが変わったのは慎一郎が中学3年の頃。
彼が、ある少年を大事そうに抱えて屋敷へ連れ帰ったと運転手から報告を受けて驚愕した。
それまでの慎一郎は、人に対しても、物に対しても、関心を向けたことが一度もなかったからだ。
その日は進学予定の高校を見学に行ったはずだった。
少年の身体は、彼が吐き出した大量の水、精液と尿、泥に塗れていたらしく、『シートのクリーニングが必要になった』と運転手がぼやいていた。
その少年、新島 奈津くんを輪姦し、汚し尽くしたのがこの『犬』とその仲間達だった。
奈津くんに出会って、弟は『初恋』と『執着心』という人間らしさを手に入れたらしい。
あの頃は奈津くん本人が手に入らなかったからだろう。彼に関する『コレクション』が異常な量になっていた。初めて慎一郎の部屋を見せてもらった時、体育倉庫に入ったかのように錯覚してクラクラしたものだ。
しかも壁からは太い木の枝が生え、謎のロープがぶら下がっていた。
スマホでいつも同じ動画を観ているから、気軽に『何を観てるんだ?』と聞いて後悔した。
それは、ロープで吊るされた奈津くんが数えきれない程の男達に囲まれ、泣きながら犯されている姿を盗撮した動画だったのだ。
木の枝と謎のロープが『コレクション』されていたことで、体操マットや跳び箱などが彼の部屋にある意味を察した。
『他人の前で観てはいけない』と彼に言うと、『信用した相手の前でしか観ない』と言葉を返された。
オレは思わず慎一郎を抱きしめていた。
弟の『初恋』であり『唯一』。
奈津くん。
彼のおかげで、慎一郎はオレに感情を見せてくれるようになった。
慎一郎と話をするようになると、もう1人の弟・慎羅とも話をするようになった。慎羅は慎一郎の顔が大好きだから、初めて会った日から彼の反応が薄くとも、めげずに話しかけ続けていたようだ。
オレ達兄弟は3人とも腹違いではあるが、現在はかなり良好な関係性を築けている。
そのきっかけとなってくれた『犬』。
しかも初めて慎一郎がオレを頼ってくれた。
飼うに決まっている。
慎一郎から頼まれたこの『犬』の『飼育条件』は4つだけ。
◯恐怖を与えて躾をすること。
◯弟の犬、ディックの番にし、『交尾』させること。
◯リストから選定した『飼育員』を雇い、世話を任せること。
◯外では散歩させず、最後まで室内で飼うこと。
慎羅は『躾』が上手い。
『恐怖を与える躾け方』を相談したら、オレ用と『飼育員』用に『気持ち悪さを追求した』というマスクをデザインし、作ってくれた。
『飼育員』は3人いるから、作るのが大変だっただろう。
躾用の鞭も人数分揃えてくれた。
『下処理もやりたい』と言ってくれたから任せてみた。この子は慎一郎のことが大好きだから、『少しでも役に立ちたい』と思ってくれたのだろう。サディスティックなところがあるから、本人も楽しんでいるようだった。
処理の前。初めてガラス越しに見た日は悪態をついて暴れていた『男』だったが、オレの元に届けられた時には記憶を失ったのか無垢な瞳をした『犬』になっていた。
専用の飼育部屋は慎一郎が準備してくれた。
『必要最低限の物しか置かない』
『外部刺激を与えない』
という窓もない極めてシンプルな部屋だ。
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