痛みと快楽

くろねこや

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本編 2

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傷口の抜糸が済み、ようやく退院してきた。

2人とも入院していた間、ディックの世話は、シンの家族に任せていたそうだ。

ちなみにもうしばらくお願いする予定だ。いくら痛みを表に見せないシンであっても、1日合計2時間も大型犬の散歩をするのはまだ厳しいだろう。

その家族は『例のコレクション』の存在を知っているのだろうか。




ギシ、ギシ、
ベッドが軋む音。
揺れる視界には持ち上げられたオレの脚と、
……腰を打ち付けてくるシン。

「んっ…、ぁっ…、あっ…、」

なぁ、この『運動』はいいのか?
傷が開かないか?



部屋で寝ていたらシンがベッドに入ってきて、身体中を這う舌と唇とともに服を脱がされた。

おかげで全身がキスマだらけだ。
唾液を塗られた肌はスースーして引きるし、しつこく舐め転がされた乳首も腫れてジンジンする。

腹の傷は優しくいたわるように舐められた。




ハァ、ハァ、と乱れる呼吸。

吸い込んだシンの匂いは、オレと同じボディソープの香りだ。

「なぁ…。…オレの『可哀想な姿』は……楽しかった…か?」


頭のおかしなストーカー野郎に、汚ねぇナイフで腹を刺されて、口の中を舐め回され、臭くて汚ねぇちんぽに犯された。そんなオレの姿、コイツには大好物だろう。

ストーカーがオレを殺す瞬間を捉えようと、ツカサさんが暗視カメラで動画を撮っていたらしい。シンのことだから、おそらくデータは入手済みのはずだ。


「オレが…死んだら…、ぁっ…、『コレクション』に…できたのに…な?」


シンはオレを抱きながら、何も答えない。


2人ともお揃いの傷がまだ痛むのに、悪化させかねない行為がやめられない。

その痛みさえ快感に変わってしまうからだ。

入院中も互いのベッドに忍び込んで何度もシックスナインでフェラし合っていたら、病室を離されかけた。


すでに一回ナカに出されたから、
ヌチュ、ヌチュ、
濡れた抽挿の音が響いている。


「なんとか…言えよ…」

「………でした」

「?」

「あなたが苦痛に泣くのは、嫌でした」

「……」

「僕は最近変です。僕は…あなたの『可哀想な姿』が好きだったはずだ…。それなのに…、あなたが泣いているのを見ると…痛い。この辺が…ぎゅっと掴まれたみたいに痛いんだ」

この辺、とシャツの胸元をぎゅっと掴んでいる。

「あなたが…、気持ちよさそうに、幸せそうに…微笑むのが…見たい」

こちらを見ながら、オレの頬に手を伸ばしてくる。

「バァカ。たぶんそれが…、んっ…、『フツー』…なんだよ…」

シンの手に頬をすり寄せると、切なげな表情になるのがいとおしい。


「オレだって…お前がこんなふうに、傷ついてるの…ツラいよ」

オレの身体を突き上げる、シンの左腰に手を滑らせる。

揺すられる度に弾む、オレの尻が傷に当たって痛くないのかな。



「普段ならもっと効率的に対処できた筈だ。…それなのに、『感情』が判断を鈍らせた…」

苦しそうに歪む顔。

「…GPSの反応が消えた時。…あなたの姿が…見つからない時間。……腹から血を流すあなたを…見た瞬間。……あなたが死んでしまったら…。そう考えたら、…怖くて怖くて仕方なかった」



ふいに彼の腰が止まる。


「これが『愛してる』という感情でしょうか…」

シンはオレの脇腹を撫でる。

「…あなたを幸せにしたい」

「そうだな。…それがたぶん『愛』だ」

『そうですか、これが…』と噛み締めるように呟いている。



もどかしくて自分から腰を振ると、珍しくシンの声が乱れた。

「幸せそうに笑う…ぁっ、あなたを『独占』…ッしたくなってしまいそうです。奈津」

彼に独占されるためには、『別れさせ屋』と『ショーへの出演』を続けることができなくなる。

「今の仕事を…っ、…2つとも引退したら…オレ無職だからな…ぁ」

「あなたを…困らせない…十分な金なら…あります」

「オレを…ディックと…っ、同じように扱うな」

「同じように…扱うなら、あなたの名前は…Pussyプッシー…でしょうか?」

「もう…だまされないぞ。どうせ…ぁっ、ロクな意味じゃ…ない…だろう」

「冗談…ですよ。あなたを…『室内飼い』できるなんて…思っていません」

時折乱れながらも淡々とした口調。

それとは別人のように情熱的な腰の動き。

身体を揺らされ、動かされる度に傷が痛いのに、気持ちいい。

シンのちんぽが……やっぱり一番気持ちいい。



敏感になったナカの『イイトコロ』を、グリっとえぐられた瞬間、

ビュルルルル、ビュー、ビュー、

「…あっ、あっ、ぁあ!!」

腰を奥にグッと押し付けられ、2回目の種付けをされる。
流し込まれるその感覚に、オレも達した。

あまりの快感にオレの内部がギュッ、ギュッとナカのちんぽを引き絞ると、シンの眉間が寄り、さらにビュルッと出してくれた。



シンにたっぷり出してもらった後、何気なく腹を撫でていたら、入院中気になっていたことを思い出した。

「そういえば手術しながら、暴行の証拠として尻の穴からあの『志麻』ってストーカー野郎のザーメンを採取したらしいんだけどさ」

「はい」

「アイツ臭かったし、相当チンカス溜まってたと思うんだよね」

「はい」

「オレの尻の穴が汚いって思われてたらやだなぁ」

「彼らも慣れてますから、わかりますよ。DNA鑑定で『誰のもの』か特定するはずです」

「そっか…。じゃあさ、高1の時も警察か病院に行けば良かったんじゃね?」

「そうですね。学校という閉鎖空間の特殊性はあるにせよ、結局は『暴行事件』ですからね」

「しまったなぁ。…でも、25人以上の男に中出しされた場合、ぐちゃぐちゃに混ざっても『子種のパパ』は判別できるのかなぁ?…あ、でも小便も出されて、水洗いされたから無理か…」


ふざけていたつもりだった。

…それなのに、シンがいたわるように優しく抱き寄せるから。
頭を撫でるから。


ぽろっと涙が零れてしまった。


「……変なこと言ってごめん」

「何を言ってるんですか。あなたは声を上げていいんです。大声で、ヤツらの悪口を言いなさい。泣いても、叫んでもいいんですよ」

「……そんなオレに欲情したくせに…」

「はい。欲情しました。あなたはどんな姿でも、魅力的だということです」

「…ふふっ、なんだそれ」

冗談かと思ったのに、その表情は真剣だった。

「……ありがと。慎一郎…」

名前を呼んだその瞬間、ナカにいたシンのちんぽが元気になった。


「…奈津。…奈津。愛しています」

表情はいつもとあまり変わって見えないのに、彼の感情が不思議と伝わってきた。


「……うん。ありがと。…オレも愛してる」


オレ達は繋がりながら、深く口付けを交わした。
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