痛みと快楽

くろねこや

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本編 1

14 ご主人様(1人目)

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ご主人様の家は、庭のある一戸建てだった。

家族はいないそうだ。


久しぶりに見えた『窓の外』に飛び上がりたいほど興奮した。
太陽の光が射す明るい庭だ。
管理されているのか緑が綺麗で、まるで絵画のようだった。


『奴隷』の逃走防止だろう。玄関には後付けと思われる電子ロックが付けられていた。これは『レンタル』の条件らしく、外に連れて行けないことを謝られた。

窓から逃げられそうだが、『奴隷』を逃すと『ご主人様』に重いペナルティがあるらしい。
普通は鎖に繋ぐなど、拘束しないといけない決まりなのだそうだ。

『酷いことをされたら逃走する』と決めて、とりあえずは様子をみることにした。


ご主人様は二足歩行を許してくれるらしい。
膝が擦れて痛かったからありがたい。


チャリ、

ご主人様はオレに嵌められた首輪の札を見る。

「君は『なっちゃん』か。じゃあ僕は『福ちゃん』…かなぁ?」

「オレは『奈津』です。ご主人様の本当の名前を呼ばせてほしいな」

「僕は……『福太郎』…だよ」

顔が歪んでいる。名前を揶揄からかわれたことでもあるのか?

「優しいあなたにぴったりの素敵な名前です」

『福太郎さん』と呼んで、口付けた。

彼は真っ赤になって固まっている。


さっそく、尻に埋め込まれていたディルドを解錠して引き抜いてくれた。

「んっ…」

栓を失い、流れ出しそうなご主人様の精を、尻を締めて止める。

卑猥な下着を脱がせてもらい、新しい洋服一式を渡された。
シンプルでセンスがいいシャツとズボン。
下着はボクサータイプだ。

「お腹壊しちゃうから…」

と、シャワーに案内してくれた。
あぁ、優しいなぁ。

お礼にもう一度口付けた。


彼が買ってきてくれた食材で一緒に料理した。

「家に帰ると1人だから、ついお菓子を食べちゃうんだ」

そうか。寂しいから食べちゃうのか。

「痩せろって言わないの?」

「あんまり太りすぎたら身体が心配ですけど、太っていても痩せても、優しいあなたなのは変わりません」

笑顔がかわいい人だ。


「おいしいねぇ」

2人で食べるご飯は美味しかった。

太っていてもいいんじゃないかな?
ニコニコ美味しそうに食べてくれるから、彼の好きなものばかり作ってあげたくなってしまう。


夜は抱き合って眠る。

3日から4日おきくらいに、恥ずかしそうな顔の彼からセックスしようと誘ってくれる。


毎日一緒にいてくれるなぁと思ったら、

「少し早いけど夏休みを取ったんだ」

部下から休むように言われていたから、ちょうどいいんだ、と笑った。

そう言いながらも、部屋でオンライン会議に参加してるみたいだ。
どうやら彼は社長らしい。

時々迎えの車が来て、悲しそうな彼はスーツを着て出かけていく。
オレが借りている服と同じように、シンプルなのに上質で着心地の良さそうなものだ。

「行ってらっしゃい」

と玄関でお見送りすると、

感激した顔で

「行ってきます」

と元気に出かけて行った。




窓の外を見る。

だが、彼のほわっとした笑顔が頭に浮かんでしまうと、逃げることなんて出来なかった。

空っぽの家で途方に暮れた彼を想像したら、無理だと思った。



 
『お帰りなさい』と頬にキスすると、ギュウッと抱きしめて『ただいま』と抱き上げられ、そのままベッドへ連れて行かれた。

身体は小さいのに力があるんだな。

『愛される』という言葉がぴったりくる、優しいセックスだった。

ちゃんとキスから始めてくれた後、オレの反応を見ながら、頬、首筋、乳首…が好きなのか真っ赤に腫れるくらい舐めて吸われ、ちんぽも口でしてくれた。
たかまったところで、内腿、脛から足の指先まで舐めてさらに焦らしてくれる。
アナルまでジュボジュボ舌で舐め溶かされた。

手マンも上手くて、『もう挿れてください』と懇願してしまうほどだった。

やっと挿れてもらえた時、『愛しい』と語る目がこちらを見ていた。キスを深く、浅く、繰り返しながら、ピストンでナカを、手でオレのを擦ってくれる。

気持ちよくて、自然にナカを断続的に締めると、彼の眉間にシワが寄る。

『いっぱい出して…』と言った瞬間、オスの顔でガンガン突いて、奥に射精してくれた。ビクビクと暴れ、噴射された刺激でオレも彼の腹を汚していた。

あまりに上手いので慣れているのかと思ったら、ネットでいっぱい予習してくれたらしい。あまりの愛おしさにギュッと抱きしめてしまった。


2人でシャワーを浴びて、ドロドロになった身体をお互いに洗い合った後、作っておいたハンバーグを焼いて食べた。彼は体型と薄毛を気にしているからおから・・・を混ぜてみたけど、口に合ったみたいだ。


オレがいなくなっても作って食べられるように、レシピをキッチンの引き出しに入れておいた。

そのレシピが増えていくにつれて、
彼と別れる日が近づく寂しさも増えていく。





ひと月はあっという間だった。
これまで生きてきて、一番幸せな時間だった。


「あぁ、別れたくないなぁ…」

ぎゅっと抱きしめられる。

本当にあっという間だった。


「もし、オレが『解放』されたら、『Opusオーパス』という店に会いに来てください」


この人にまた会いたい。そう心から思った。


最後に中に出してもらい、元の卑猥な下着を身につけると、『ご主人様のディルド』を嵌めて鍵をかけてもらった。
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