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本編 1
2 ある男の視点(前編)
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『SMクラブ Opus』
昭和の匂いがする店内は、細かい彫刻を施された小さめの木製テーブルとレトロなソファ、ガラスのランプが美しい。
店の中央には直径4.5メートルくらいの円形ステージがあり、それを囲むように階段状になった客席が並ぶ。どの席からでもショーを観ながら酒を楽しめるようになっているのだ。
店名の『Opus』とはラテン語で『作品』を表すらしい。
ステージの上には、『作品』と呼ばれるドMを縛って吊るすための梁と滑車があるが、今回は使わないようだ。
ネットで予約し、1時間単位で座席チケットを購入して入場する。
縛り方によって『作品』の制作にかかる時間が異なるため、日によってショーの回数と1回あたりのキャストの人数が変わるらしい。入店時間によってはショーの途中からになってしまうため、4時間分、なかにはオープンからクローズまで8時間分のチケットを買う常連客もいるそうだ。
その値段は前列にいくほど高くなる。
ーーーオーナーに『好きな席を』と招待されたが、店の全体を見たかったオレは、最後列の席を選んだ。
今日は全6回のステージが行われる日らしい。
オーナーはオレのために『初心者向けのソフトなやつにする』と言っていた。
これから始まるのは5回目のショーだ。
『目的の人物』が出演すると聞いて、この時間を選んだ。
スポットライトに照らされた黒いステージ。
そこには2人の若い男が裸で麻縄によって拘束されている。
自分で自身の股を開くように掴まされた左手と左脚、右手と右脚がそれぞれ縄で縛られており、ふくらはぎと腿も一纏めにされているせいで脚が閉じられないようにされている。
隣の席に座る男によると、『蟹縛り』と呼ばれる縛り方らしい。M字型に仰向けで開脚させられている状態だ。
オレが初めて訪れた客だと分かっているのだろう。聞いてもいないのに、詳しく解説してくれる。邪魔にならない音量で喋っているのでそのまま聞くことにする。
縛り方はオーナーの気分次第。
日によって変わるので、毎日通う常連もいるそうだ。
この店のオーナーによる『作品』は美しいと評判らしい。
その『制作過程』もこの店の見どころらしいのだが、オレが入店した時には既に仕上がっていた。
オレは無感動にそれを眺めていたが、隣の男にとっては、2人の男が対称に配置され、黒いステージと白い肌のコントラストに、肌に食い込む縄のバランスが見事だと感じるらしい。
写真や動画の撮影は不可だが、スケッチは許されているので、最前列でスケッチブックに鉛筆を走らせている客がいる。
縛られた力加減も絶妙らしく、紅潮した男達の顔は苦悶に歪みながらも快感に溶けている。
開脚させられているせいで性器から尻の穴までが丸見えだ。
観客からの視線もスパイスになっているのだろう。滴る汗がライトに光り輝いている。
ステージの様子はテーブルのタブレットに映し出される。カメラを選択できるので、男達の喘ぐ表情、乳首、性器、アナルなど、好きな部位を拡大して見ることができた。
これから始まるショーの2人には、それぞれ『作品9』、『作品10』と名前が付けられている。
客は『作品』と喋ってはいけない。出させていいのは吐息と喘ぎ声だけだ。
店内の照明がさらに暗くなり、ステージがより強調される。怪しげな音楽が流れ始めると、店内の興奮が高まるのを感じた。
ショーの始まりだ。
座席チケットの他に、金・銀・銅色のチケットが売られており、客はいつでもタブレットから購入できる。
価格が違う3種類のチケットによって出来ることが異なり、購入するための条件は『作品』へ快感を与えること。
この店は『SM』をよく知らない人間がよくイメージするような、縛られて動けない人間を鞭で打ったり蝋燭を垂らしたりして『ただ一方的に痛めつければいい』というものではない。
オーナーが近くで見ていて、『作品』に暴力的な苦痛を与えたと判断されると出入り禁止になる。
ただし、その苦痛を快楽に変えられればOKらしい。『作品』と『常連客』の信頼感があれば、ディープな行為も可能だろう。
オーナーのこだわりでキスと口淫をさせることは禁止だ。
銅色チケットの購入者は『作品』のどこにでも触れることができる。
例えば乳首を抓ったり、舐めたり、アナルを舐め溶かしたり、ペニスに吸い付いても『作品』は悦ぶ。足の指をふやけるほど舐めた客もいるらしい。
思わず『作品』にキスした者はオーナーによって出禁になるため、耳や頬を舐めながら生唾を飲み、堪える客もいるそうだ。
銀色は玩具を使って『作品』で遊べる。
鞭で苛めてもいい。
ローターを性器に貼ってもナカに挿れてもいい。
バイブやディルドを抜き挿しして擬似セックスを楽しむのもいいし、挿れたまま放置してもいい。
貞操具で射精制限をして焦らしてもいい。
店内にあるものならなんでも使える。
玩具や挿入したい異物の持ち込みは事前にオーナーから許可を得ればOK。
以前、『作品』の肛門を花壺に見立てて、ナカに水を大量に注ぎ、花や木を生けた強者もいたらしい。尿道にも一輪挿したと聞きタマがヒュンとすくんだが、Mの男にとってはご褒美になるのだろうか?
金色は『作品』のアナルへ、ペニスの挿入が可能だ。
基本はコンドームの装着が条件。
ただし事前に性病の陰性結果を証明できるものを持参すれば許可証代わりの光るブレスレットが渡され、生での挿入・中出しが許される。
キャストが女性の場合も同じくアナルへの挿入が可能だ。もちろん女性器へ生でペニスを挿入することは厳禁。ゴムを装着するか、銀色チケットでの玩具や異物の挿入は許されているらしい。
この回の『作品』は2人とも金色チケットまで使用できるようだ。
隣の男は見たことがないそうだが、噂では金色の上に『ブラックチケット』と呼ばれるものがあるそうだ。
昭和の匂いがする店内は、細かい彫刻を施された小さめの木製テーブルとレトロなソファ、ガラスのランプが美しい。
店の中央には直径4.5メートルくらいの円形ステージがあり、それを囲むように階段状になった客席が並ぶ。どの席からでもショーを観ながら酒を楽しめるようになっているのだ。
店名の『Opus』とはラテン語で『作品』を表すらしい。
ステージの上には、『作品』と呼ばれるドMを縛って吊るすための梁と滑車があるが、今回は使わないようだ。
ネットで予約し、1時間単位で座席チケットを購入して入場する。
縛り方によって『作品』の制作にかかる時間が異なるため、日によってショーの回数と1回あたりのキャストの人数が変わるらしい。入店時間によってはショーの途中からになってしまうため、4時間分、なかにはオープンからクローズまで8時間分のチケットを買う常連客もいるそうだ。
その値段は前列にいくほど高くなる。
ーーーオーナーに『好きな席を』と招待されたが、店の全体を見たかったオレは、最後列の席を選んだ。
今日は全6回のステージが行われる日らしい。
オーナーはオレのために『初心者向けのソフトなやつにする』と言っていた。
これから始まるのは5回目のショーだ。
『目的の人物』が出演すると聞いて、この時間を選んだ。
スポットライトに照らされた黒いステージ。
そこには2人の若い男が裸で麻縄によって拘束されている。
自分で自身の股を開くように掴まされた左手と左脚、右手と右脚がそれぞれ縄で縛られており、ふくらはぎと腿も一纏めにされているせいで脚が閉じられないようにされている。
隣の席に座る男によると、『蟹縛り』と呼ばれる縛り方らしい。M字型に仰向けで開脚させられている状態だ。
オレが初めて訪れた客だと分かっているのだろう。聞いてもいないのに、詳しく解説してくれる。邪魔にならない音量で喋っているのでそのまま聞くことにする。
縛り方はオーナーの気分次第。
日によって変わるので、毎日通う常連もいるそうだ。
この店のオーナーによる『作品』は美しいと評判らしい。
その『制作過程』もこの店の見どころらしいのだが、オレが入店した時には既に仕上がっていた。
オレは無感動にそれを眺めていたが、隣の男にとっては、2人の男が対称に配置され、黒いステージと白い肌のコントラストに、肌に食い込む縄のバランスが見事だと感じるらしい。
写真や動画の撮影は不可だが、スケッチは許されているので、最前列でスケッチブックに鉛筆を走らせている客がいる。
縛られた力加減も絶妙らしく、紅潮した男達の顔は苦悶に歪みながらも快感に溶けている。
開脚させられているせいで性器から尻の穴までが丸見えだ。
観客からの視線もスパイスになっているのだろう。滴る汗がライトに光り輝いている。
ステージの様子はテーブルのタブレットに映し出される。カメラを選択できるので、男達の喘ぐ表情、乳首、性器、アナルなど、好きな部位を拡大して見ることができた。
これから始まるショーの2人には、それぞれ『作品9』、『作品10』と名前が付けられている。
客は『作品』と喋ってはいけない。出させていいのは吐息と喘ぎ声だけだ。
店内の照明がさらに暗くなり、ステージがより強調される。怪しげな音楽が流れ始めると、店内の興奮が高まるのを感じた。
ショーの始まりだ。
座席チケットの他に、金・銀・銅色のチケットが売られており、客はいつでもタブレットから購入できる。
価格が違う3種類のチケットによって出来ることが異なり、購入するための条件は『作品』へ快感を与えること。
この店は『SM』をよく知らない人間がよくイメージするような、縛られて動けない人間を鞭で打ったり蝋燭を垂らしたりして『ただ一方的に痛めつければいい』というものではない。
オーナーが近くで見ていて、『作品』に暴力的な苦痛を与えたと判断されると出入り禁止になる。
ただし、その苦痛を快楽に変えられればOKらしい。『作品』と『常連客』の信頼感があれば、ディープな行為も可能だろう。
オーナーのこだわりでキスと口淫をさせることは禁止だ。
銅色チケットの購入者は『作品』のどこにでも触れることができる。
例えば乳首を抓ったり、舐めたり、アナルを舐め溶かしたり、ペニスに吸い付いても『作品』は悦ぶ。足の指をふやけるほど舐めた客もいるらしい。
思わず『作品』にキスした者はオーナーによって出禁になるため、耳や頬を舐めながら生唾を飲み、堪える客もいるそうだ。
銀色は玩具を使って『作品』で遊べる。
鞭で苛めてもいい。
ローターを性器に貼ってもナカに挿れてもいい。
バイブやディルドを抜き挿しして擬似セックスを楽しむのもいいし、挿れたまま放置してもいい。
貞操具で射精制限をして焦らしてもいい。
店内にあるものならなんでも使える。
玩具や挿入したい異物の持ち込みは事前にオーナーから許可を得ればOK。
以前、『作品』の肛門を花壺に見立てて、ナカに水を大量に注ぎ、花や木を生けた強者もいたらしい。尿道にも一輪挿したと聞きタマがヒュンとすくんだが、Mの男にとってはご褒美になるのだろうか?
金色は『作品』のアナルへ、ペニスの挿入が可能だ。
基本はコンドームの装着が条件。
ただし事前に性病の陰性結果を証明できるものを持参すれば許可証代わりの光るブレスレットが渡され、生での挿入・中出しが許される。
キャストが女性の場合も同じくアナルへの挿入が可能だ。もちろん女性器へ生でペニスを挿入することは厳禁。ゴムを装着するか、銀色チケットでの玩具や異物の挿入は許されているらしい。
この回の『作品』は2人とも金色チケットまで使用できるようだ。
隣の男は見たことがないそうだが、噂では金色の上に『ブラックチケット』と呼ばれるものがあるそうだ。
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