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相談 〜アルト視点
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ヴェダとグードゥヤに『結婚してほしい』と告白し、受け入れてもらった夜から2日後。
村から戻ったギーウスの自室で、『いつか3人で結婚するため王都への長い旅に出ようと思っている』こと、『その間不足する戦力を麓の村から一時的に借りられないか』ということを相談してみた。
「あぁ。ちょうどオレも、この小屋を任せられるような強くて若いヤツを探してたところだ」
「そうなんだ」
「オレとアルクルも、あとどれだけ現役でいられるか分からねェからな…」
まだ彼らは40代だけど、20年、30年先のことを考えると次の世代を育てておいたほうがいいのだろう。
ところがミザールが亡くなったことで、『狩人は危険な仕事』だと村の人たちに認知されてしまったらしい。
狩人になりたがる若者がなかなかいないそうだ。
まぁ、そうだよね。危険と隣り合わせの仕事だから、いつ命を失うか分からないのは確かだし。
しかもアルクルがミザールの死を村長に報告するため山を下りた時、頭から頬にかけてザックリ酷い怪我を負っているのを見せてしまったのも恐ろしさを印象付けてしまったみたいだ。
考えてみれば、ギーウスの息子たち4人のうち、ここに来てくれたのはリゲルだけだった。
村の門を守る仕事だって、ここと同じくらい危険だと思うんだけどね。
「…“一時的に借りる”…か。いいかもしれねェな」
そう小さく呟いたギーウスは、オレの頭にポンと手を乗せた。…いつまでも子ども扱いはやめて欲しい。
「お前が膠を金に換えたり、薬を土産に持たせてくれたりしてるお陰で、この小屋の重要度が村で見直されてきている。常駐は難しいかもしれんが、通いなら来てくれそうなヤツが何人かいそうなんだ」
獣が増えすぎて村へ下りないよう間引く。それこそが最も重要なことだと思うんだけどね。ギーウスたちが優秀なお陰で獣に悩まされない平穏な暮らしが“当たり前”になってしまっているのかもしれない。
プロキオのお陰で村の状況は安定しているらしいし、暮らしに余裕が生まれれば“欲しい物”だって出てくるだろう。
つまり、現金が必要になる。
そんな中で、これまで捨てていた鹿の骨や皮の使えない部分を使って作った膠は村人たちにとって目から鱗の商品だったらしい。しかも思ったより需要があって売れてるんだ。僕はプロキオを経由して売り上げの一部を村に寄付してるから、注目されてるんだって。
それと薬。ギーウスにアウロラさんへのお土産として一式持ち帰ってもらったんだけど、村人の中には欲しがる人が結構いるらしい。現金収入がない人も多いから、基本は『畑で穫れた野菜と交換』で薬を渡してるみたい。
ちなみに以前、僕が焼いたアプレのパイをアウロラさんに渡してもらったんだけど、雉のパイ包み焼きが返ってきて、それ以来お土産のやりとりが何となく続いてるんだ。まだ直接会ったことはないんだけどね。
オーブンで温め直し、夕食に切り分けてみんなで食べた。パイ生地はサクサク、雉肉はしっとりジューシーで美味しかったな…。
ヴェダは一口頬張ると、『アウロラ母さんの料理…』って瞳を潤ませてた。彼にとって、アウロラさんは“お母さん”なんだね。やっぱり会いたいのかな?
「だがまぁ、悪ィが気長に待っててくれ。せっかくなら、この小屋をリゲルやお前たちと一緒に守っていってくれるような、頭が良くて優しいヤツがいい」
ギーウスの頭の中では、未来のこの場所に僕もいるんだ。
…少し……いや、かなり嬉しい。
「そっか。じゃあ、楽しみに待ってる」
「あぁ。待っててくれ」
膠や薬の作り方を他の村人に教えるのはやぶさかではない。まずは通いから始めてもらって、狩人の仕事に向いていそうなら常駐を打診してみるのも手だろう。
ギーウスとアルクルが引退し、山を下りる日を想像すると胸がきゅうっと苦しくなる。
同時に、ヴェダとグードゥヤと旅に出る日が待ち遠しくも思う。
「それにしても結婚か。アイツら、2人とも初恋が叶ったんだなァ。…ありがとよ、アルト」
僕の頭にもう一度手を乗せると、わしわしと撫で回される。
その言葉は嬉しいのに、子ども扱いが少し悔しい。
まだここに来たばかりの頃、父親の代わりを求めたせいか、時折こうやって甘やかしてくるのだ。
だから、髪をかき乱してくる分厚い手。
それをゆっくりと捕まえ、
「僕の初恋も叶ったよ」
と、余裕たっぷりに微笑んでやる。
ギーウスは僅かに目を見開くと、
「そうか。おめでとさん」
顔を綻ばせ、僕の身体を逞しい腕で抱き締めてくれた。
どれくらい経っただろうか。
その手が背中から腰、尻へと下がってくるのを感じ、『アウロラさんと会ってきたばかりだろうに』と呆れる。
ましてや初恋の成就を祝ったその口で、僕の唇を塞ぐなんて。
このエロ髭…顔が擽ったい。
腹に押し当てられる、硬くて熱い凶器。
「んっ…、」
ついには下着の中へ侵入してきた指に尻を揉みしだかれつつ、分厚い舌にヌルリと唇を割り開かされて、『まだまだ引退は遠そうだな』と安堵した。
村から戻ったギーウスの自室で、『いつか3人で結婚するため王都への長い旅に出ようと思っている』こと、『その間不足する戦力を麓の村から一時的に借りられないか』ということを相談してみた。
「あぁ。ちょうどオレも、この小屋を任せられるような強くて若いヤツを探してたところだ」
「そうなんだ」
「オレとアルクルも、あとどれだけ現役でいられるか分からねェからな…」
まだ彼らは40代だけど、20年、30年先のことを考えると次の世代を育てておいたほうがいいのだろう。
ところがミザールが亡くなったことで、『狩人は危険な仕事』だと村の人たちに認知されてしまったらしい。
狩人になりたがる若者がなかなかいないそうだ。
まぁ、そうだよね。危険と隣り合わせの仕事だから、いつ命を失うか分からないのは確かだし。
しかもアルクルがミザールの死を村長に報告するため山を下りた時、頭から頬にかけてザックリ酷い怪我を負っているのを見せてしまったのも恐ろしさを印象付けてしまったみたいだ。
考えてみれば、ギーウスの息子たち4人のうち、ここに来てくれたのはリゲルだけだった。
村の門を守る仕事だって、ここと同じくらい危険だと思うんだけどね。
「…“一時的に借りる”…か。いいかもしれねェな」
そう小さく呟いたギーウスは、オレの頭にポンと手を乗せた。…いつまでも子ども扱いはやめて欲しい。
「お前が膠を金に換えたり、薬を土産に持たせてくれたりしてるお陰で、この小屋の重要度が村で見直されてきている。常駐は難しいかもしれんが、通いなら来てくれそうなヤツが何人かいそうなんだ」
獣が増えすぎて村へ下りないよう間引く。それこそが最も重要なことだと思うんだけどね。ギーウスたちが優秀なお陰で獣に悩まされない平穏な暮らしが“当たり前”になってしまっているのかもしれない。
プロキオのお陰で村の状況は安定しているらしいし、暮らしに余裕が生まれれば“欲しい物”だって出てくるだろう。
つまり、現金が必要になる。
そんな中で、これまで捨てていた鹿の骨や皮の使えない部分を使って作った膠は村人たちにとって目から鱗の商品だったらしい。しかも思ったより需要があって売れてるんだ。僕はプロキオを経由して売り上げの一部を村に寄付してるから、注目されてるんだって。
それと薬。ギーウスにアウロラさんへのお土産として一式持ち帰ってもらったんだけど、村人の中には欲しがる人が結構いるらしい。現金収入がない人も多いから、基本は『畑で穫れた野菜と交換』で薬を渡してるみたい。
ちなみに以前、僕が焼いたアプレのパイをアウロラさんに渡してもらったんだけど、雉のパイ包み焼きが返ってきて、それ以来お土産のやりとりが何となく続いてるんだ。まだ直接会ったことはないんだけどね。
オーブンで温め直し、夕食に切り分けてみんなで食べた。パイ生地はサクサク、雉肉はしっとりジューシーで美味しかったな…。
ヴェダは一口頬張ると、『アウロラ母さんの料理…』って瞳を潤ませてた。彼にとって、アウロラさんは“お母さん”なんだね。やっぱり会いたいのかな?
「だがまぁ、悪ィが気長に待っててくれ。せっかくなら、この小屋をリゲルやお前たちと一緒に守っていってくれるような、頭が良くて優しいヤツがいい」
ギーウスの頭の中では、未来のこの場所に僕もいるんだ。
…少し……いや、かなり嬉しい。
「そっか。じゃあ、楽しみに待ってる」
「あぁ。待っててくれ」
膠や薬の作り方を他の村人に教えるのはやぶさかではない。まずは通いから始めてもらって、狩人の仕事に向いていそうなら常駐を打診してみるのも手だろう。
ギーウスとアルクルが引退し、山を下りる日を想像すると胸がきゅうっと苦しくなる。
同時に、ヴェダとグードゥヤと旅に出る日が待ち遠しくも思う。
「それにしても結婚か。アイツら、2人とも初恋が叶ったんだなァ。…ありがとよ、アルト」
僕の頭にもう一度手を乗せると、わしわしと撫で回される。
その言葉は嬉しいのに、子ども扱いが少し悔しい。
まだここに来たばかりの頃、父親の代わりを求めたせいか、時折こうやって甘やかしてくるのだ。
だから、髪をかき乱してくる分厚い手。
それをゆっくりと捕まえ、
「僕の初恋も叶ったよ」
と、余裕たっぷりに微笑んでやる。
ギーウスは僅かに目を見開くと、
「そうか。おめでとさん」
顔を綻ばせ、僕の身体を逞しい腕で抱き締めてくれた。
どれくらい経っただろうか。
その手が背中から腰、尻へと下がってくるのを感じ、『アウロラさんと会ってきたばかりだろうに』と呆れる。
ましてや初恋の成就を祝ったその口で、僕の唇を塞ぐなんて。
このエロ髭…顔が擽ったい。
腹に押し当てられる、硬くて熱い凶器。
「んっ…、」
ついには下着の中へ侵入してきた指に尻を揉みしだかれつつ、分厚い舌にヌルリと唇を割り開かされて、『まだまだ引退は遠そうだな』と安堵した。
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