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裁かれた侯爵の件
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タイサン国王と共にハーベラスの泊まる宿に向かう俺達。道中に途中離脱した兵士達が居たが、そいつらは侯爵派なのでタイサンには着いて来れなくなった。マコトが結界を張ったからな。
しかし、宿の前まで何事もなく来れたな。兵士長が宿に入り来訪を告げたようだ。ハーベラスの執事らしい男が慌てて飛び出してきた。
「タ、タイサン国王陛下! 突然のお越しですが、何かありましたでしょうか?」
問われたタイサンは鷹揚に頷くと答えた。
「うむ、実はな。国民からの陳情が余に届いてな。その確認の為にやって来たのだよ。丁度、隣国の宰相であるナッツン殿も訪問されていてな、余がどのように国民からの陳情を扱うのか見てみたいと言うのでな。一緒に参ったのだ」
「さ、左様でございますか。それで、その陳情とはどのような?」
そこで兵士長が言う。
「コラルド殿、陛下をいつまで外におらす気だ!」
兵士長の一喝に怯え驚くコラルド。
「こ、これは大変失礼致しました。さあ、皆様、中にお入り下さい。ハーベラス侯爵もナーサン子爵もおりますので」
ようやく中に入れて貰えるようだ。俺達は連れ立って入ろうとしたが、コラルドがそれを見て言った。
「こらこら、護衛の冒険者は表で待っておかないか」
しかし、タイサン国王がそれを拒否した。
「余の連れに何か問題があるのか?」
「へ、陛下。しかしですな、」
「ほう、たかが執事の分際で我に反抗するか? 良い度胸よな」
「と、とんてもございません! どうぞ、皆様お入りください!」
それで良いのだと言いながらタイサン国王が先頭に中に入って行く。俺達も後に続いた。中のロビーのような場所でハーベラスとさっき名前を知ったナーサンという子爵、それに俺に切りかかってきた男が少し後ろに控えて待っていた。
「陛下、一体何用ですかな?」
おっ、ハーベラスのヤツは竿が無くなった衝撃から立ち直ってるようだな。しかしナーサンはともかく後ろの男は不気味だな。どうやらナラズをワンパンしたのもアイツのようだし。
「なに、ハーベラス侯爵よ。余の元に国民からの陳情が届いてな。それを確かめに来たのだ」
「ほう、陳情とはまた。しかし低能な国民からの陳情ごときで動かれるとは陛下も腰が軽いですな」
「お主には及ばぬがな」
「ファーハッハッ、これは一本取られましたな。さあ、陛下こちらにお座り下さい。お連れの方もどうぞ」
そう言って自分達の対面に座るように促すハーベラス。言われて前に出るタイサン国王とナッツン。ナッツンは座る前に自己紹介をした。
「初めまして、ハーベラス侯爵。私はゴルバード王国で宰相を勤めております、ナッツンと言います。お見知りおきを」
「おお、ゴルバードの名宰相ナッツン殿ですか。これはこれは、此方こそどうかよろしくお願いしますぞ」
その返事を聞いてから頭を下げて座るナッツン。タイサン国王は既に座っているので失礼にはならないそうだ。サヤがコソッと教えてくれた。
ナーサンが何やらハーベラスに言っている。どうやら俺達の事についてのようだ。
ハーベラスは好色丸出しの目付きで俺の妻二人を見た後に俺を睨み付けてきた。俺は無視しているけどね。そして、ハーベラスがタイサン国王に言った。
「陛下、お話を伺う前に先ずは裁かねばならぬ者がこの場におります」
「ふむ、ナーサン子爵の事かな?」
タイサン国王の惚けた返事に慌てるナーサン。
「へ、陛下! 私は何もしておりません!」
「ハハハ、済まぬな。ナーサン。戯言を口にしただけだ」
タイサン国王の返事にホッとするナーサン。
「で、ハーベラスよ。誰を裁かねばならぬのかな?」
タイサン国王に問われたハーベラスは迷うことなく俺を指差して言った。
「こちらに居りますトウジという名の冒険者に決まっておりましょう! 私やナーサンの偉大な功績を無に帰すように動き、邪魔を成した男でございます!」
ハーベラスの言葉を聞いてナッツンが俯いて肩を震わす。笑いを堪えてやがるな。
「と、申しておるが。どうじゃ、トウジ殿?」
タイサン国王に問われた俺は正直に答えた。
「そこの小さい女の子にイヤらしい事をしようとしてた中年ハゲのオッサンの邪魔なら確かにしたし、横にいる自称頭脳明晰なオッサンの邪魔も確かにしたな」
「「き、貴様ー!」」
ハーベラスとナーサンの声が見事にハモる。俺を睨み付けてそれで殺そうとしているかのようだ。
「陛下、騙されてはなりませんぞ! この男は陛下が推奨する平民への仕事の斡旋を私が行っていた時に、邪魔をしたのです!」
「へーっ、仕事ってアレか? ハゲで裸のオッサンに怯えながら部屋中を追いかけ回されるのが仕事なのか? 俺はそこの自称頭脳明晰なオッサンがメイドの仕事をさせると言って孤児院から女の子三人を連れ出したと聞いたけど、侯爵の所ではアレがメイドの仕事なのか?」
俺の怒涛の言葉に黙り込む二人。グヌヌッと唸っているが、唐突に後ろを振り向いて黙って立っていた男に言う。
「ケビン、こいつを黙らせろ!」
しかし、言われた男はフワァーとアクビを一つして言った。
「やだね、面倒臭い。それに、前回の報酬も払ってくれてないし、タダ働きはゴメンだね」
そう言って部屋を出ていくケビン。去り際に俺を見て言った。
「その内どこかでまた会うさ。【無】の男よ、いずれな」
それだけ言って部屋を出ていった。
タイサン国王がハーベラスとナーサンに重々しく告げた。
「丁度良い。国民からの陳情とはな、ハーベラスよ。ソナタに関する事だ。余が述べたのは国民と共に貴族も成長せねばならぬという事だが、ソナタは視察と称して各地に赴き見目良い女性を選んでは益体もない事ばかりを繰り返したそうだな。証拠も既に揃えてある。言い逃れは出来ぬぞ。そしてナーサンよ。ソナタもそれに加担しておったのも分かっておるぞ。ソナタの嫡男のイーサンからも話を聞いておる」
「むう! 一体誰が証拠等を出したのだ!」
「なっ、イーサンのヤツめ。育ててやった恩を忘れおって!」
「馬鹿者!」
タイサン国王の一括に怯える二人。タイサンは続けて言った。
「二人の裁きを申す! ハーベラス侯爵家はハーベラス及び嫡男コーベラスとの二人は貴族籍からの放出、侯爵家は伯爵家として、次男のマーベラスが継ぐ。ナーサン子爵家は嫡男のイーサンが継いで、ナーサンも貴族籍からの放出を申し渡す! 良いな!」
そこでマコトがタイサン国王に言った。
「陛下、僭越ながら一言お許し頂けますか?」
「うむ、余も破壊の魔女殿のご意見は聞こうぞ」
タイサン国王の返事に一瞬だけ目を怒らせたマコトだが、場を考えて堪えたようだ。後で怒られるぞ、タイサン国王。
「有り難うございます。貴族籍の剥奪は確かに重い罪でありましょうが、健全な肉体を持ったままではまたいつか同じ事をなそうとするかも知れません。そこで、私の秘魔法にて体は普通に動きますが、ハレンチな振る舞いを生涯に渡って出来なくさせても宜しいでしょうか?」
「おう、それは良いな。そのような事が可能ならば、マコト殿には是非ともお願いしたい」
マコトの言葉とタイサン国王の返事に愕然としながらも言うハーベラス。
「き、き、貴様が、が、私のジュニアをーっ!」
突然立ち上がり、顔を怒りで真っ赤にしたハーベラスがマコトに飛びかかろうとしたが、ハーベラスが飛びかかったのはマコトではなく隣にいたナーサンだった。
「こ、侯爵閣下! 何をなさいますか! 私です! ナーサンです!」
ナーサンの言葉は聞こえていないようだ。
「返せ! 私のジュニアを今すぐ返せ! まだまだアンナ事やコンナ事をしなければいけないんだっ! さあ、今すぐ返せ!」
ナーサンに馬乗りになってボコボコに殴っているハーベラス。そして、ナッツンがキョトンとしているタイサン国王に言った。
「キヒヒヒ、陛下に私のスキルをお見せしてしまいましたな」
「おう、ナッツン殿のスキルなんですね! これは凄い! クフフフ」
地が出てるぞ、タイサン国王。俺がマコトを見たら、
「うん、もう終わったよ。トウジ。私が解かない限り、あの男は女性を襲いたくても襲えないよ。この魔法の副作用で、それでも襲おうとしたら全身が硬直して二日は動けなくなるから」
と笑顔で話した。怖ぇー、何だその魔法は。俺はマコトの笑顔に少しだけ恐怖したが、
「さすが、マコトだな。これでこの国の女性も少しは安心出来るな」
と褒めておいた。そこでサヤが言った。
「陛下、マコトの魔法は高度過ぎてマコト以外には使えません。が、女性が襲われた時に使える簡易な防御魔法があります。生活魔法を使える魔力があれば女性なら使えますので、それをお国で広められる事を推奨します。勿論、女性の中にも犯罪を犯す者が居るでしょうが、それでもただ単に泣き寝入りしてきた女性をかなりの数救う事が出来る筈です。詳細は冒険者ギルドに話を通しておりますので、ザーバスに話を聞いて下さい」
俺の知らない所でサヤもちゃんと動いてくれてたんだな。俺は黙ってサヤの頭を撫でた。
嬉しそうにするサヤ。
「うむ、お二人のご尽力には感謝する。これで、この件は片付いたようだ。兵士長、取りあえずこの二人を捕らえて先に王都に送る手配をするのだ。王都にて貴族達の見ている前でもう一度裁きを申し付けるのでな」
「はい、かしこまりました。陛下」
そして、二人は連れて行かれこれまでハーベラスに仕えていた者達も一緒に連行された。詳細は王都にて明らかにするようだ。
「クフフフ、やっと片付いたよ。ナッツン殿、トウジ殿、サヤ殿、マコト殿、有り難う。助かったよ。さあ、冒険者ギルドに戻ろう。ヨッパが僕を待っている」
うん、タイサン国王。待ってるかどうかは分からないぞ。そう思ったが賢明にも俺達は黙っておいたのだった。
しかし、宿の前まで何事もなく来れたな。兵士長が宿に入り来訪を告げたようだ。ハーベラスの執事らしい男が慌てて飛び出してきた。
「タ、タイサン国王陛下! 突然のお越しですが、何かありましたでしょうか?」
問われたタイサンは鷹揚に頷くと答えた。
「うむ、実はな。国民からの陳情が余に届いてな。その確認の為にやって来たのだよ。丁度、隣国の宰相であるナッツン殿も訪問されていてな、余がどのように国民からの陳情を扱うのか見てみたいと言うのでな。一緒に参ったのだ」
「さ、左様でございますか。それで、その陳情とはどのような?」
そこで兵士長が言う。
「コラルド殿、陛下をいつまで外におらす気だ!」
兵士長の一喝に怯え驚くコラルド。
「こ、これは大変失礼致しました。さあ、皆様、中にお入り下さい。ハーベラス侯爵もナーサン子爵もおりますので」
ようやく中に入れて貰えるようだ。俺達は連れ立って入ろうとしたが、コラルドがそれを見て言った。
「こらこら、護衛の冒険者は表で待っておかないか」
しかし、タイサン国王がそれを拒否した。
「余の連れに何か問題があるのか?」
「へ、陛下。しかしですな、」
「ほう、たかが執事の分際で我に反抗するか? 良い度胸よな」
「と、とんてもございません! どうぞ、皆様お入りください!」
それで良いのだと言いながらタイサン国王が先頭に中に入って行く。俺達も後に続いた。中のロビーのような場所でハーベラスとさっき名前を知ったナーサンという子爵、それに俺に切りかかってきた男が少し後ろに控えて待っていた。
「陛下、一体何用ですかな?」
おっ、ハーベラスのヤツは竿が無くなった衝撃から立ち直ってるようだな。しかしナーサンはともかく後ろの男は不気味だな。どうやらナラズをワンパンしたのもアイツのようだし。
「なに、ハーベラス侯爵よ。余の元に国民からの陳情が届いてな。それを確かめに来たのだ」
「ほう、陳情とはまた。しかし低能な国民からの陳情ごときで動かれるとは陛下も腰が軽いですな」
「お主には及ばぬがな」
「ファーハッハッ、これは一本取られましたな。さあ、陛下こちらにお座り下さい。お連れの方もどうぞ」
そう言って自分達の対面に座るように促すハーベラス。言われて前に出るタイサン国王とナッツン。ナッツンは座る前に自己紹介をした。
「初めまして、ハーベラス侯爵。私はゴルバード王国で宰相を勤めております、ナッツンと言います。お見知りおきを」
「おお、ゴルバードの名宰相ナッツン殿ですか。これはこれは、此方こそどうかよろしくお願いしますぞ」
その返事を聞いてから頭を下げて座るナッツン。タイサン国王は既に座っているので失礼にはならないそうだ。サヤがコソッと教えてくれた。
ナーサンが何やらハーベラスに言っている。どうやら俺達の事についてのようだ。
ハーベラスは好色丸出しの目付きで俺の妻二人を見た後に俺を睨み付けてきた。俺は無視しているけどね。そして、ハーベラスがタイサン国王に言った。
「陛下、お話を伺う前に先ずは裁かねばならぬ者がこの場におります」
「ふむ、ナーサン子爵の事かな?」
タイサン国王の惚けた返事に慌てるナーサン。
「へ、陛下! 私は何もしておりません!」
「ハハハ、済まぬな。ナーサン。戯言を口にしただけだ」
タイサン国王の返事にホッとするナーサン。
「で、ハーベラスよ。誰を裁かねばならぬのかな?」
タイサン国王に問われたハーベラスは迷うことなく俺を指差して言った。
「こちらに居りますトウジという名の冒険者に決まっておりましょう! 私やナーサンの偉大な功績を無に帰すように動き、邪魔を成した男でございます!」
ハーベラスの言葉を聞いてナッツンが俯いて肩を震わす。笑いを堪えてやがるな。
「と、申しておるが。どうじゃ、トウジ殿?」
タイサン国王に問われた俺は正直に答えた。
「そこの小さい女の子にイヤらしい事をしようとしてた中年ハゲのオッサンの邪魔なら確かにしたし、横にいる自称頭脳明晰なオッサンの邪魔も確かにしたな」
「「き、貴様ー!」」
ハーベラスとナーサンの声が見事にハモる。俺を睨み付けてそれで殺そうとしているかのようだ。
「陛下、騙されてはなりませんぞ! この男は陛下が推奨する平民への仕事の斡旋を私が行っていた時に、邪魔をしたのです!」
「へーっ、仕事ってアレか? ハゲで裸のオッサンに怯えながら部屋中を追いかけ回されるのが仕事なのか? 俺はそこの自称頭脳明晰なオッサンがメイドの仕事をさせると言って孤児院から女の子三人を連れ出したと聞いたけど、侯爵の所ではアレがメイドの仕事なのか?」
俺の怒涛の言葉に黙り込む二人。グヌヌッと唸っているが、唐突に後ろを振り向いて黙って立っていた男に言う。
「ケビン、こいつを黙らせろ!」
しかし、言われた男はフワァーとアクビを一つして言った。
「やだね、面倒臭い。それに、前回の報酬も払ってくれてないし、タダ働きはゴメンだね」
そう言って部屋を出ていくケビン。去り際に俺を見て言った。
「その内どこかでまた会うさ。【無】の男よ、いずれな」
それだけ言って部屋を出ていった。
タイサン国王がハーベラスとナーサンに重々しく告げた。
「丁度良い。国民からの陳情とはな、ハーベラスよ。ソナタに関する事だ。余が述べたのは国民と共に貴族も成長せねばならぬという事だが、ソナタは視察と称して各地に赴き見目良い女性を選んでは益体もない事ばかりを繰り返したそうだな。証拠も既に揃えてある。言い逃れは出来ぬぞ。そしてナーサンよ。ソナタもそれに加担しておったのも分かっておるぞ。ソナタの嫡男のイーサンからも話を聞いておる」
「むう! 一体誰が証拠等を出したのだ!」
「なっ、イーサンのヤツめ。育ててやった恩を忘れおって!」
「馬鹿者!」
タイサン国王の一括に怯える二人。タイサンは続けて言った。
「二人の裁きを申す! ハーベラス侯爵家はハーベラス及び嫡男コーベラスとの二人は貴族籍からの放出、侯爵家は伯爵家として、次男のマーベラスが継ぐ。ナーサン子爵家は嫡男のイーサンが継いで、ナーサンも貴族籍からの放出を申し渡す! 良いな!」
そこでマコトがタイサン国王に言った。
「陛下、僭越ながら一言お許し頂けますか?」
「うむ、余も破壊の魔女殿のご意見は聞こうぞ」
タイサン国王の返事に一瞬だけ目を怒らせたマコトだが、場を考えて堪えたようだ。後で怒られるぞ、タイサン国王。
「有り難うございます。貴族籍の剥奪は確かに重い罪でありましょうが、健全な肉体を持ったままではまたいつか同じ事をなそうとするかも知れません。そこで、私の秘魔法にて体は普通に動きますが、ハレンチな振る舞いを生涯に渡って出来なくさせても宜しいでしょうか?」
「おう、それは良いな。そのような事が可能ならば、マコト殿には是非ともお願いしたい」
マコトの言葉とタイサン国王の返事に愕然としながらも言うハーベラス。
「き、き、貴様が、が、私のジュニアをーっ!」
突然立ち上がり、顔を怒りで真っ赤にしたハーベラスがマコトに飛びかかろうとしたが、ハーベラスが飛びかかったのはマコトではなく隣にいたナーサンだった。
「こ、侯爵閣下! 何をなさいますか! 私です! ナーサンです!」
ナーサンの言葉は聞こえていないようだ。
「返せ! 私のジュニアを今すぐ返せ! まだまだアンナ事やコンナ事をしなければいけないんだっ! さあ、今すぐ返せ!」
ナーサンに馬乗りになってボコボコに殴っているハーベラス。そして、ナッツンがキョトンとしているタイサン国王に言った。
「キヒヒヒ、陛下に私のスキルをお見せしてしまいましたな」
「おう、ナッツン殿のスキルなんですね! これは凄い! クフフフ」
地が出てるぞ、タイサン国王。俺がマコトを見たら、
「うん、もう終わったよ。トウジ。私が解かない限り、あの男は女性を襲いたくても襲えないよ。この魔法の副作用で、それでも襲おうとしたら全身が硬直して二日は動けなくなるから」
と笑顔で話した。怖ぇー、何だその魔法は。俺はマコトの笑顔に少しだけ恐怖したが、
「さすが、マコトだな。これでこの国の女性も少しは安心出来るな」
と褒めておいた。そこでサヤが言った。
「陛下、マコトの魔法は高度過ぎてマコト以外には使えません。が、女性が襲われた時に使える簡易な防御魔法があります。生活魔法を使える魔力があれば女性なら使えますので、それをお国で広められる事を推奨します。勿論、女性の中にも犯罪を犯す者が居るでしょうが、それでもただ単に泣き寝入りしてきた女性をかなりの数救う事が出来る筈です。詳細は冒険者ギルドに話を通しておりますので、ザーバスに話を聞いて下さい」
俺の知らない所でサヤもちゃんと動いてくれてたんだな。俺は黙ってサヤの頭を撫でた。
嬉しそうにするサヤ。
「うむ、お二人のご尽力には感謝する。これで、この件は片付いたようだ。兵士長、取りあえずこの二人を捕らえて先に王都に送る手配をするのだ。王都にて貴族達の見ている前でもう一度裁きを申し付けるのでな」
「はい、かしこまりました。陛下」
そして、二人は連れて行かれこれまでハーベラスに仕えていた者達も一緒に連行された。詳細は王都にて明らかにするようだ。
「クフフフ、やっと片付いたよ。ナッツン殿、トウジ殿、サヤ殿、マコト殿、有り難う。助かったよ。さあ、冒険者ギルドに戻ろう。ヨッパが僕を待っている」
うん、タイサン国王。待ってるかどうかは分からないぞ。そう思ったが賢明にも俺達は黙っておいたのだった。
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