俺のスキルが無だった件

しょうわな人

文字の大きさ
30 / 92

エーメイの件

しおりを挟む
 何とか誤魔化し、皆で移動する。

 エーメイさんがいる場所は魔境の洞窟がある魔境の森の奥らしく、A級冒険者でもソロでは入らないぐらいヤバい場所らしい。俺は途中でナッツンやこの場に居ない人に通信を入れて状況を知らせた。

『ほほー! エーメイさんの居場所が分かりましたか。それで今から行かれると。分かりました、ゴルドーさんはエーメイさんの所に行くようになるのですね』

『ああ、どうやら魔境の洞窟がある魔境の森らしい。しかし、生半可な者には行けない場所らしくてな。俺のスキルをフルコースで皆にかけてあるから、誰にも気付かれないとは思う』

『それでも、お気をつけて。魔境の洞窟は森の始まり近くにあるのですが、森の奥には危険な魔物も多いので』

『分かった、気をつけるよ』

『トウジさん、お土産よろしくね』

 いや、アカネさん買い物に行く訳じゃないから土産は無理です。ゴメンなさい。

『先生、僕とフィオナも合流しても良いですか?フィオナがジッとしてるのに飽きたようなので』

『私じゃないでしょ! ユウヤが私に飽きたのよね!』

 オイお二人さん、通信使って痴話喧嘩は止めてくれ。俺は来たければ来れば良いと言って、南門に来るように伝えた。

 通信を切って俺は先を行くテリャーさんに聞いた。

「どうやってエーメイさんを見つけたんですか?」

「ああ、実は魔境の森から出てくる魔物が以前より少なくなっていて、不審に思ったので調査隊を派遣したんだ。そこで、エーメイ様からこのツキミが接触を受けてな。ああ、私達マクド王子の近衛騎士四人は全員がエーメイ様の部下だったんだ。それで接触してくれたんだと思う。エーメイ様は森の奥に隠れて魔物の間引きを行っておられたようだ」

 なるほど。強いとは聞いていたが、森の奥でも対処出来る程の人なんだな。そうして話ながら歩いていると南門が見えてきた。俺達は気付かれる事もなく門を通過した。
 そこでユウヤとフィオナを待っていると、いちゃラブしながら二人が現れた。さっきの喧嘩は何だったんだ······

「皆さん、お待たせしました。スミマセン」

ユウヤがそう挨拶するのを目を見開いて見るゴルドーさんと騎士達。

「え、英雄ユウヤ殿! セレナ王女殿下!」

 テリャーさんがそう言って片膝をついた。いや、今から移動するんだから止めてー。

「テリャー、久しぶりね。でも今の私はユウヤの妻で冒険者フィオナよ。そのつもりで接してちょうだい」

「し、しかしそれは······」

 フィオナはそう言うテリャーさんを説得してしまった。マクド君が王になったらまた待遇は変わるだろうけどね。それまでは良いんじゃないかと俺は思う。 

「さあ、足を止めてしまったわね。行きましょう」

 フィオナがそう言って皆を促した。うむ、さすが王族だ。自分の所為だがそう感じさせない辺りが。だが、俺は広い心でその胸に免じて許そう。

 いや、サヤにマコトってスキルに読心術でもあるのだろうか······· そんなに睨まないで~。

 気を取り直して皆で進み、魔境の森の入口に着いた。門から歩いて一時間程だった。意外に近いな。こりゃ、魔物が氾濫したら町はヤバいよな。

 入口から森に入り二十分程歩いた場所に洞窟があった。ここはまだ、森の端らしい。魔境の森はとても大きく、エーメイさんがいる場所はここから更に三時間は歩くらしい。俺達は良いがゴルドーさんは大丈夫なのだろうか?

「ゴルドーさん、疲れてませんか?」

「ふんっ! トウジよ、俺を年より扱いするな! 若いころは自分で素材採集するために冒険者登録もしておったんだ。これでもB級だったわい!」

 おお、お見それしました。なら、身体強化なんかも使えるのかな? 大丈夫ならそれで良いか。

 それから俺達は黙々と歩き、途中にすれ違う魔物をケンジさんやサヤ、マコトに教えてもらいながら奥へと進んだ。ツキミさんは地図マップのスキルを持っているらしく、迷いなく道なき道を進んで行く。

 そして、そこは唐突に現れた。
木々が凡そ二百メートル四方で取り払われて、壁になっている場所。ここを一人で作ったのか!?
 エーメイさん、大工スキル持ちか!?

 壁になっている場所から少し歩くと入口があり、中に入った。家が二棟ある。
 一軒の前に五十代と見える男性がいて、見えない感じない筈だが俺達の方を見ていた。
 男性が口を開く。

「隠れて訪れるとは何者だ! ここにいるのは無害な年寄りだぞ! さっさとここから立ち去れ! それとも、国王からの刺客か! ならば、全員切り捨てる!」

 ありゃー? 気付かれてるよ! 何でだ! 俺はびっくりしているが、取り敢えず全員にかけていたフルコースを解除した。

 エルさんが一番に口を開いて男性に呼び掛けた。

「お義父とうさん! お久しぶりです!」

 すると、エルさんを見た男性の厳めしい顔付きが嘘だろっ!って言うぐらいに緩んで声を出した。

「おおーー! エルちゃんじゃー! よう来たのー! さあさあ、そんな所にいないで、ワシにちゃんと顔を見せてくれい! 子供は出来たか? 何、まだかいな。 ああ、そんなに悲しい顔をせんでくれ! エルちゃんは何も悪くないぞ! 悪いのはエイダスじゃ! あやつが確りしていれば良いのに、エルちゃんには迷惑をかけるのー!」

 マシンガントークが炸裂して、エイダスに発射された。撃たれたエイダスはコメカミをヒクヒクさせている。
 エイダスが言っていたのはこれかっ。そこまで考えた時にエーメイさんがこちらを見た。

「何と、セレちゃん! セレちゃんまで会いに来てくれたのか! くぅー、今日は幸運日じゃな! そこに多くいるむさ苦しい男どもはどうでも良いが、他に二人も別嬪さんがおる! これはもう神がワシにくれた幸せじゃなぁ!」

「久しぶりね、エーメイ。貴方が居なくなったから私の剣術が進歩しなかったわ。また、指導してくれる?」

 フィオナの返事に相好を崩すエーメイさん。

 うん、分かった。この人只の女好きだ······ しかし、ツキミさんだって女性なのに、入ってないな? 可愛い顔立ちをしているが。
 俺がそんな風に思っていたら、ゴルドーさんがエーメイさんに声をかけた。

「オイこら、エーメイ! むさ苦しいは否定せんが、俺にも挨拶ぐらいあってもエエじゃろうが!」

「ふん! 何でワシがお前に挨拶する必要があるんじゃ! ゴルドーよ、大方町に居られなくなってここに逃げて来たんじゃろうが!」

「むぐっ! そ、それはそうじゃが、お前のぶら下げている剣は破格値で俺が作ってやった逸品じゃろうが!」

「ああーー、イヤだイヤだ。人間は年を取ると昔の事を持ち出して恩着せがましくなるのー」

 エーメイさんがそう言った時にエルさんが喋った。

「お義父とうさん、迷惑でしたか? でも私達はどうしてもゴルドーさんに武防具を作ってもらいたくて······ それでお義父とうさんしか頼れる人はいないと思って······」

 そう言ってエルさんが悲しそうな顔をするとエーメイさんは慌てて、

「イヤイヤ、エルちゃん! 迷惑なんかじゃないぞ! ちょうどワシも新しい武器や防具が欲しかったからな! ちゃんとワシの所でゴルドーの面倒をみるぞ! 安心して任せなさい!」

 そう言ってエルさんを喜ばせた。

 こ、この変り身の早さ! 男性陣のあきれた顔は無視して、エーメイさんが言う。

「さあ、こっちは誰も居ないから好きに使え! 鍛冶が出来るように石壁、石床の部屋もある」

 それを聞いて疑問に思う俺。
 まるでゴルドーさんが来ることを予測してたような感じだな。すると、ゴルドーさんが俺の不思議そうな顔を見て教えてくれた。

「あいつはな、口は悪いが仲間思いでな。若い頃にあいつが騎士になる前に一緒にパーティーを組んでおったのじゃ。それからの腐れ縁じゃから、先程のはじゃれあいよ」

 そう聞いて、俺は只の女好きの認識を少しだけ改める事にした。少しなのは、俺のサヤとマコトにも馴れ馴れしく話しかけているからだが。

「しかし、珍しいスキルじゃの。ワシでなければ誰も見抜けないだろうな」

 あっ、ソレだ! 何で分かったのか教えてもらわなければ。

「何故、俺達がいる事が分かったんですか? 今まで誰にも気付かれた事はないのですが」

 俺がそう聞くと、エーメイさんはサヤとマコトを見ながら言った。

「ふんっ! 誰がリア充に教えてやるか! 自分で考えろっ!」

 っ! このオッサン······ エイダスの親父じゃなかったら殴っていたぞ!

 そこでサヤとマコトからフォローが入る。

「「私達も知りたいです。教えてもらえませんか?」」

「おおー! 嬢ちゃん達には教えてやろう。ささ、ツキミよ、女性方を家に御案内せい! お前ら男はあっちでゴルドーの世話でもしておれ! こっちには入るなよ!」

 そう言われて悔しがりながらも、俺達は取り敢えず従った。

 チクショー!後で見てろよ!
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

自力で帰還した錬金術師の爛れた日常

ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」 帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。 さて。 「とりあえず──妹と家族は救わないと」 あと金持ちになって、ニート三昧だな。 こっちは地球と環境が違いすぎるし。 やりたい事が多いな。 「さ、お別れの時間だ」 これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。 ※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。 ※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。 ゆっくり投稿です。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~

日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!  斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。  偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。 「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」  選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ
ファンタジー
 主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?  管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…  不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。   曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!  ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。  初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)  ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

なんか修羅場が始まってるんだけどwww

一樹
ファンタジー
とある学校の卒業パーティでの1幕。

処理中です...