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079話 叱られる為政者
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僕とフェルがサラディーナ様、アカネ様、爺を連れてラウールさんの屋敷に戻ったのと、お三方がいち早く危険を察知されて屋敷から逃げ出そうとしていたタイミングが同時だった。
今まさに馬に乗ろうとしていたお三方の目の前に転移した僕たちを見て、時が止まったかのように固まるお三方。
一番素早かったのはルソン陛下だったよ。アカネ様の目の前に飛び込んでズザザザァーッと滑りながらのスライディング土下座は見事なモノだったからね。ラウールさんにも見せたかったよ。
次に動いたのはケレス陛下だった。陛下はユックリと歩いてこられ、サラディーナ様の目の前で言い訳を口にしたんだ。
それは悪手ですよ、陛下。案の定、サラディーナ様に正論で責められてケレス陛下もサラディーナ様に土下座しているよ。
そして、将軍様は落ち着いた様子で爺の元にやって来た。
「爺、このような所までどうしたのだ?」
「上様っ! かような外国に来てまでご迷惑をお掛けするとは我が国の恥にございますぞっ! この爺、ご幼少の頃より上様を存じ上げておりますが、まだ上様がご幼少の頃の方が物の分別がございましたぞっ!」
あからさまに幼い頃はもっと賢かったって言われて少し顔を赤くする将軍様。ご自分のやっている事についての自覚はお有りのようですね。
うん、もっと言ってやって下さい! 僕は爺を応援します!
「そのような事をこの場で言わなくてもよいではないか、爺。だが、余が悪かった…… つい楽しくてな…… だがあと2日ほどで必ず政務に戻る故に機嫌をなおして欲しい」
「上様、まことにございますか? またこの爺を騙してヌカ喜びさせておる訳ではございませぬか?」
「ハハハ、爺。信用がないな、余は。それならば爺も一緒に参ろう。ハイナイト伯爵の領地に行き骨安めをしたら政務に戻る故な。爺もたまにはゆっくりしても良かろう」
「いえ、上様。そこまで言われるのであれば信用いたして爺は国で上様をお待ちしましょう。ハイナイト伯爵、ご迷惑をおかけしますが、上様をよろしくお願い申し上げます」
爺にそう言って頭を下げられた僕は、イザとなったら強制的に転移でお国に連れて帰りますからと紙に書いてコソッと爺に渡したんだ。
爺はかたじけないと言って、再度僕に頭を下げたよ。それから爺をヤパンに連れて戻って、みんなの所に戻ってきたらルソン陛下が文句を言ってきたよ。
「トーヤくん、転移できるなんて私は聞いてないよ」
そりゃ、お伝えしてませんからね。ルソン陛下だけじゃなく、ケレス陛下にもお伝えしてませんから。僕が何て返答しようかと考えていたら、アカネ様がルソン陛下に突っ込んだ。
「アホか、このアンポンタン! 何でトーヤくんがアンタに能力の説明をせなあかんの! ウチらかて全ての能力を人に言うたりせえへんやろっ! 考えたら分かる事でトーヤくんに文句を言うんやないでっ! それよりもこのドアホッ、まーだ反省してへんみたいやなっ!? この後やけどトーヤくんの領地から戻ったらアンタはセーレン斎様のとこに行ってもらうでっ!!」
「なっ! そっ、それだけは止めてくれっ! アカネ! 悪かった、心から反省してるからっ!? セーレン斎の所に連れて行くのだけは勘弁してくれっ!!」
セーレン斎様ってどなたですか? とは思ったけどサーベル王国にもよその国に知られたくない事があるよね。だからそこは聞かずにおこうと思ったんだ。後でヤーコに聞いて見ようって思ったけどね……
でもアカネ様、有難うございます。言葉の前半で僕の気持ちを代弁して下さって。
そんなこんなで、取り敢えずはケレス陛下、ルソン陛下、将軍様はそのまま僕の領地に来られる事になり、勿論、サラディーナ様とアカネ様も来られたよ。
将軍様は本当に2日後にお国に帰られた。そしてちゃんと政に戻られたようだ。
ケレス陛下もそれから周辺諸国との外交に力を入れられ、紛争を止めたりされた。
ルソン陛下は…… 相変わらずのようだけど…… けれどもどうやらセーレン斎様の所には結局は連れて行かれてかなり大人しくなられたそうだよ。
後日、ヤーコに聞いた話だよ……
セーレン斎様っていうお方はいわゆる同性愛者さんたちの大元締めのような方らしいんだ。ヤパンから逃れてきたナニワサカイ国では王国制になってからはあまり大っぴらにはしてないけれど、衆道がお盛んらしい…… ルソン陛下ご自身は生粋の女性好きだけどね。
そのセーレン斎様の所に連れて行かれたルソン陛下は三日三晩、周りを男性に囲まれて過ごされたそうだよ。その上、アカネ様からは僕がお渡しした不能シールを貼られてたしね。
で、そこでその男性たちに不能の件について色々と言われてご自身の自信がゴッソリと削られたそうだよ。4日目に戻って来られたルソン陛下は目に見えて落ち込んでおられたとの話だったよ。
それと何故、アカネ様がセーレン斎様って呼んでいるのかというと、ルソン陛下のお祖父様の従弟に当たる方だからなんだって。それを聞いて僕は納得したんだよ。
そうして早いもので3年の歳月が流れて僕とフェルは結婚したんだ。フェルはとても美しい花嫁だったよ。僕はラウールさんと同じように領地で披露宴を開いたからね。
領民たちからの心からのお祝いを聞きながらフェルに末永くお願いしますって言うと、フェルも輝くような笑顔で、私も末永くお願いしますって言われたんだよ。
それからの僕は隠密部隊を使って国内外の情報を集めて、それらをハール様にお知らせしたり、また厄災級の魔物を討伐に行ったりしてサーベル王国や同盟国の利になる事を積極的に行ったんだ。もちろん、領地の発展にも力を入れてね。ラウールさんとの協力関係も更に堅固になったんだよ。
そうして日々を忙しく過ごして、僕たちが19歳になった時に待望の第一子が産まれたんだ。僕とフェルは結婚したとはいえ、18歳までは清い関係だったからね。
フェルに似てとても可愛らしい女の子に僕はもうメロメロだったよ……
この娘は嫁に出すものか!! と心に誓ったのをフェルには
直ぐに見破られてしまったけどね……
「フフフ、トーヤ。この娘が選んで連れてきた男性を信じてあげましょうね」
ってフェルに言われてしまったよ。僕は素直に頷くしか無かったね。
そして、その娘も既に3歳…… フェルは第2子も出産した。今度は男の子だったよ。一姫二太郎だね。
転生して色々とあったけど、そんな幸せな日々を僕は異世界で送ってます……
今まさに馬に乗ろうとしていたお三方の目の前に転移した僕たちを見て、時が止まったかのように固まるお三方。
一番素早かったのはルソン陛下だったよ。アカネ様の目の前に飛び込んでズザザザァーッと滑りながらのスライディング土下座は見事なモノだったからね。ラウールさんにも見せたかったよ。
次に動いたのはケレス陛下だった。陛下はユックリと歩いてこられ、サラディーナ様の目の前で言い訳を口にしたんだ。
それは悪手ですよ、陛下。案の定、サラディーナ様に正論で責められてケレス陛下もサラディーナ様に土下座しているよ。
そして、将軍様は落ち着いた様子で爺の元にやって来た。
「爺、このような所までどうしたのだ?」
「上様っ! かような外国に来てまでご迷惑をお掛けするとは我が国の恥にございますぞっ! この爺、ご幼少の頃より上様を存じ上げておりますが、まだ上様がご幼少の頃の方が物の分別がございましたぞっ!」
あからさまに幼い頃はもっと賢かったって言われて少し顔を赤くする将軍様。ご自分のやっている事についての自覚はお有りのようですね。
うん、もっと言ってやって下さい! 僕は爺を応援します!
「そのような事をこの場で言わなくてもよいではないか、爺。だが、余が悪かった…… つい楽しくてな…… だがあと2日ほどで必ず政務に戻る故に機嫌をなおして欲しい」
「上様、まことにございますか? またこの爺を騙してヌカ喜びさせておる訳ではございませぬか?」
「ハハハ、爺。信用がないな、余は。それならば爺も一緒に参ろう。ハイナイト伯爵の領地に行き骨安めをしたら政務に戻る故な。爺もたまにはゆっくりしても良かろう」
「いえ、上様。そこまで言われるのであれば信用いたして爺は国で上様をお待ちしましょう。ハイナイト伯爵、ご迷惑をおかけしますが、上様をよろしくお願い申し上げます」
爺にそう言って頭を下げられた僕は、イザとなったら強制的に転移でお国に連れて帰りますからと紙に書いてコソッと爺に渡したんだ。
爺はかたじけないと言って、再度僕に頭を下げたよ。それから爺をヤパンに連れて戻って、みんなの所に戻ってきたらルソン陛下が文句を言ってきたよ。
「トーヤくん、転移できるなんて私は聞いてないよ」
そりゃ、お伝えしてませんからね。ルソン陛下だけじゃなく、ケレス陛下にもお伝えしてませんから。僕が何て返答しようかと考えていたら、アカネ様がルソン陛下に突っ込んだ。
「アホか、このアンポンタン! 何でトーヤくんがアンタに能力の説明をせなあかんの! ウチらかて全ての能力を人に言うたりせえへんやろっ! 考えたら分かる事でトーヤくんに文句を言うんやないでっ! それよりもこのドアホッ、まーだ反省してへんみたいやなっ!? この後やけどトーヤくんの領地から戻ったらアンタはセーレン斎様のとこに行ってもらうでっ!!」
「なっ! そっ、それだけは止めてくれっ! アカネ! 悪かった、心から反省してるからっ!? セーレン斎の所に連れて行くのだけは勘弁してくれっ!!」
セーレン斎様ってどなたですか? とは思ったけどサーベル王国にもよその国に知られたくない事があるよね。だからそこは聞かずにおこうと思ったんだ。後でヤーコに聞いて見ようって思ったけどね……
でもアカネ様、有難うございます。言葉の前半で僕の気持ちを代弁して下さって。
そんなこんなで、取り敢えずはケレス陛下、ルソン陛下、将軍様はそのまま僕の領地に来られる事になり、勿論、サラディーナ様とアカネ様も来られたよ。
将軍様は本当に2日後にお国に帰られた。そしてちゃんと政に戻られたようだ。
ケレス陛下もそれから周辺諸国との外交に力を入れられ、紛争を止めたりされた。
ルソン陛下は…… 相変わらずのようだけど…… けれどもどうやらセーレン斎様の所には結局は連れて行かれてかなり大人しくなられたそうだよ。
後日、ヤーコに聞いた話だよ……
セーレン斎様っていうお方はいわゆる同性愛者さんたちの大元締めのような方らしいんだ。ヤパンから逃れてきたナニワサカイ国では王国制になってからはあまり大っぴらにはしてないけれど、衆道がお盛んらしい…… ルソン陛下ご自身は生粋の女性好きだけどね。
そのセーレン斎様の所に連れて行かれたルソン陛下は三日三晩、周りを男性に囲まれて過ごされたそうだよ。その上、アカネ様からは僕がお渡しした不能シールを貼られてたしね。
で、そこでその男性たちに不能の件について色々と言われてご自身の自信がゴッソリと削られたそうだよ。4日目に戻って来られたルソン陛下は目に見えて落ち込んでおられたとの話だったよ。
それと何故、アカネ様がセーレン斎様って呼んでいるのかというと、ルソン陛下のお祖父様の従弟に当たる方だからなんだって。それを聞いて僕は納得したんだよ。
そうして早いもので3年の歳月が流れて僕とフェルは結婚したんだ。フェルはとても美しい花嫁だったよ。僕はラウールさんと同じように領地で披露宴を開いたからね。
領民たちからの心からのお祝いを聞きながらフェルに末永くお願いしますって言うと、フェルも輝くような笑顔で、私も末永くお願いしますって言われたんだよ。
それからの僕は隠密部隊を使って国内外の情報を集めて、それらをハール様にお知らせしたり、また厄災級の魔物を討伐に行ったりしてサーベル王国や同盟国の利になる事を積極的に行ったんだ。もちろん、領地の発展にも力を入れてね。ラウールさんとの協力関係も更に堅固になったんだよ。
そうして日々を忙しく過ごして、僕たちが19歳になった時に待望の第一子が産まれたんだ。僕とフェルは結婚したとはいえ、18歳までは清い関係だったからね。
フェルに似てとても可愛らしい女の子に僕はもうメロメロだったよ……
この娘は嫁に出すものか!! と心に誓ったのをフェルには
直ぐに見破られてしまったけどね……
「フフフ、トーヤ。この娘が選んで連れてきた男性を信じてあげましょうね」
ってフェルに言われてしまったよ。僕は素直に頷くしか無かったね。
そして、その娘も既に3歳…… フェルは第2子も出産した。今度は男の子だったよ。一姫二太郎だね。
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