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転機
033話 領民に振る舞おう
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村は思ったよりも広くて防壁も確りとした作りになってたよ。村周りには獣も多く生息していて、もちろんだけど魔物や魔獣もいるらしい。けれども村まで来る事は滅多にないそうだよ。
村の自警団が定期的に魔物や魔獣を狩っているから、村に近づくのは危険だって理解してるんだと思う。
一通り村を見終わって公共所に来てみたら、前世での大きな集会所のような場所だったよ。2階建てって言うのが凄いね。
「これで一通りは村を回りましたので、午後からはどうされますか?」
ローレン村長がそう聞いてきたので、打合せ通りにフェルちゃんがローレン村長に質問をした。
「ローレン村長、村人は何人居られますか?」
「はい、村人の人数ですか?」
「はい、全ての村人の数を教えていただけますか?」
「はあ…… 私を含めて大人の男性が28人、女性が31人、成人前(15歳未満)が男女合わせて13人の合計72人になります」
「村人全員が集まれる場所はありますか? 出来れば机や椅子が並べられ、共に食事が出来ると良いのですが」
「それなら、この公共所の裏で良く村人で集まって共に食事をしたりしておりますが…… 一体……」
ローレン村長は怪訝そうにフェルちゃんに聞く。
「それなら良かったです。裏をお借りしても良いですか? 新領主としてトーヤ様が村人全員に今日の昼食と夕食を振る舞いたいと仰ってますので」
「はっ? む、村人全員に、ですか? 72人もおりますが……」
ムフフ、大丈夫ですよ、ローレン村長。昨日準備したのは100人でも余裕なぐらいの料理ですから。
僕の余裕の表情を見たからか、まだ不安そうながらも公共所の裏に案内してくれたローレン村長は村人たちを呼んできます、と言って公共所の中に入っていった。どうやって呼ぶのか不思議だったけど、公共所の見えない場所から鐘の音が響いたから、ナルホドと感心しちゃったよ。ちゃんとそう言う取り決めをしてあるんだね。
僕は急いで道具箱から机、椅子を出していく。ロッテンやナーガ、メレンがそれらを等間隔で狭すぎないように並べてくれる。
勿論、サラディーナ様、ヨロス様、ヨーナ様の席は別格の机や椅子をお出ししたよ。
それから中央にまとめておいた机に料理と取皿を出して、それをレミさんとセラスが手際よく配置してくれた。準備完了だ。虫などが入ってしまわないように結界も張ったからね。
鐘を鳴らし終えたローレン村長が出てきた。ミレイさんも一緒にいるよ。2人は数々の料理を見て驚いていた。
「ト、トーヤ様! こ、この料理は!?」
とミレイさんが言うので、僕はフェルちゃんに目で合図を送る。僕の目線に微笑みながらフェルちゃんがミレイさんに言った。
「ミレイさん、サラディーナ様、ヨロス様、ヨーナ様をお呼びいただけますか? 本日の昼食と夕食はハイナイト家が主催致しますとお伝えいただければと思います。よろしくお願いします」
フェルちゃんの言葉に驚いた顔のまま、ミレイさんはハイと返事をして王族の方々を呼びに行った。ローレン村長はまだ固まっている。そろそろ村人が集まってきたから、まとめをお願いしたいんだけどな……
「ローレン村長、僭越ながら私が村人の皆さまを振り分けさせて頂いてもよろしいですかな?」
出来る男、ロッテンが村長にそう言うとやっと石化が解けたみたいだよ。
「ハッ、いえいえご領主様のお付の方にそのような事は!」
「いえ、私も近々コチラに領主様が成人されるまでの間でございますが、代官として来る事になりますので、村の人たちに顔を覚えていただければと思いまして」
聞いてないよーーっ! またセバスの後出しだね。でも、聞いてない事を表情にはださないようにしてウンウンと頷いておくよ。僕にだってそれぐらいの腹芸は出来るんだから。出来てるよね……
という訳でローレン村長とロッテンで村人たちを席に振り分けている。そして、全員が揃ったところでタイミング良く王族の方々とミレイさん、それにメイドさんたちに護衛騎士さんたちもやって来たんだ。
「まあまあ、ハイナイト子爵はやるわね。この料理は最近になって王都で作られ始めた料理ね。アラ、【料理の怪人】クレマインが作る料理まであるのね!? 素晴らしいわ。領民のみんな、王家直轄の時よりご馳走がならんでいるわよ。良かったわね。それじゃ、食べる前にハイナイト子爵からご挨拶をしてもらいましょう!」
サラディーナ様、王妃殿下がそのご挨拶でよろしいですか…… まあ深く考えない事にした。それにしてもクレマイン先生の二つ名が【料理の怪人】だったなんて…… 知らなかったけどある意味言い得て妙な二つ名だよね。
気を取り直して僕は昨夜書いてきた紙を手に持って、魔法で遠い席の人にも見えるように空に文字を出した。そこで僕はロッテンに頷いて見せたんだ。ロッテンはもちろんだけど僕の意を汲んで読み上げ始めたよ。
「僭越ながら代読させていただきます。私はハイナイト家に仕えるロッテンと申します。皆さまお見知りおきを。トーヤ様が成人されるまでこの地で代官を勤めさせていただきますので、今後ともよろしくお願いします。それでは、トーヤ様のお言葉です。
【領民の皆さん、はじめまして。トーヤ・ハイナイト子爵です。この度、国王陛下よりこの地の領主となるよう王命を受け先ずは領地の事を知るべきだと思い視察にきました。こんな若造がとお思いの方もおられるでしょうが、僕は領民の皆さんの力になれるように精一杯領主として勤める所存ですので、どうかこれからよろしくお願いします。ささやかながら、本日の昼食と夕食をご用意しております。昼食時にはお酒は無しですが、夕食時にはお酒も出しますので、ざっくばらんに色々なお話をお聞かせ下さい。これから、どうぞよろしくお願いします。トーヤ・ハイナイト子爵】
以上です。皆さま、どうか我が主のもてなしを受けて下さい。王妃殿下、よろしいですか? よろしいようなので、先ずは王族の方々のメイドは料理を取りに来て下さい。それが終わりましたら先程言った通り、ローレン村長から順番によろしくお願いします。コチラの方式はバイキング方式という料理の食べ方になるそうです。トーヤ様がお考えになられた方式です。王族の方々が料理を取り終わりましたぞ、ローレン村長、村の人たちが待っておりますぞ」
そこまでロッテンが語り終えた瞬間に、ローレン村長が立ち上がり、それにならって村人たちも立ち上がり、そして
「新しいご領主、トーヤ・ハイナイト子爵様に礼!! そして、拍手をっ!!」
ローレン村長の声と共にみんなが笑顔で礼をしてくれて、大きな拍手を僕たちに向けて送ってくれた。照れるなぁ……
「トーヤ様、お顔が締まりなくなってますよ」
フェルちゃんからの突っ込みが入ってしまった。僕はキリッと顔を引き締めて、みんなに笑顔でさあ、料理を取って食べようと身振りで示した。
通じたようで良かったよ。
こうして、昼食はみんなで楽しくワイワイと食べる事ができたんだ。サラディーナ様、ヨロス様、ヨーナ様もずっとニコニコ笑顔で食事をしていたから開いて良かったよ。
昼食の終わりにサラディーナ様から、
「トーヤくん、夕食にはお酒を出すって話だけど、何処のワインが出るのかしら?」
なんて聞かれたけど、僕はその時までのお楽しみにしてて下さいねと言う意味で口に人差し指を当てたんだ。それを見たサラディーナ様は、
「まあ! 楽しみだわ!? きっと凄いワインが出るんでしょうね!」
と仰って夕食まで秘密だというのを了承して下さったよ。
だって道具箱に入ってる前世のお酒だからねー…… ラベルは全て剥がしてるけど、どうやって言おうかまだ考え中なんだ。まさか、王族の方々が来るって思ってなかったからなぁ……
村の自警団が定期的に魔物や魔獣を狩っているから、村に近づくのは危険だって理解してるんだと思う。
一通り村を見終わって公共所に来てみたら、前世での大きな集会所のような場所だったよ。2階建てって言うのが凄いね。
「これで一通りは村を回りましたので、午後からはどうされますか?」
ローレン村長がそう聞いてきたので、打合せ通りにフェルちゃんがローレン村長に質問をした。
「ローレン村長、村人は何人居られますか?」
「はい、村人の人数ですか?」
「はい、全ての村人の数を教えていただけますか?」
「はあ…… 私を含めて大人の男性が28人、女性が31人、成人前(15歳未満)が男女合わせて13人の合計72人になります」
「村人全員が集まれる場所はありますか? 出来れば机や椅子が並べられ、共に食事が出来ると良いのですが」
「それなら、この公共所の裏で良く村人で集まって共に食事をしたりしておりますが…… 一体……」
ローレン村長は怪訝そうにフェルちゃんに聞く。
「それなら良かったです。裏をお借りしても良いですか? 新領主としてトーヤ様が村人全員に今日の昼食と夕食を振る舞いたいと仰ってますので」
「はっ? む、村人全員に、ですか? 72人もおりますが……」
ムフフ、大丈夫ですよ、ローレン村長。昨日準備したのは100人でも余裕なぐらいの料理ですから。
僕の余裕の表情を見たからか、まだ不安そうながらも公共所の裏に案内してくれたローレン村長は村人たちを呼んできます、と言って公共所の中に入っていった。どうやって呼ぶのか不思議だったけど、公共所の見えない場所から鐘の音が響いたから、ナルホドと感心しちゃったよ。ちゃんとそう言う取り決めをしてあるんだね。
僕は急いで道具箱から机、椅子を出していく。ロッテンやナーガ、メレンがそれらを等間隔で狭すぎないように並べてくれる。
勿論、サラディーナ様、ヨロス様、ヨーナ様の席は別格の机や椅子をお出ししたよ。
それから中央にまとめておいた机に料理と取皿を出して、それをレミさんとセラスが手際よく配置してくれた。準備完了だ。虫などが入ってしまわないように結界も張ったからね。
鐘を鳴らし終えたローレン村長が出てきた。ミレイさんも一緒にいるよ。2人は数々の料理を見て驚いていた。
「ト、トーヤ様! こ、この料理は!?」
とミレイさんが言うので、僕はフェルちゃんに目で合図を送る。僕の目線に微笑みながらフェルちゃんがミレイさんに言った。
「ミレイさん、サラディーナ様、ヨロス様、ヨーナ様をお呼びいただけますか? 本日の昼食と夕食はハイナイト家が主催致しますとお伝えいただければと思います。よろしくお願いします」
フェルちゃんの言葉に驚いた顔のまま、ミレイさんはハイと返事をして王族の方々を呼びに行った。ローレン村長はまだ固まっている。そろそろ村人が集まってきたから、まとめをお願いしたいんだけどな……
「ローレン村長、僭越ながら私が村人の皆さまを振り分けさせて頂いてもよろしいですかな?」
出来る男、ロッテンが村長にそう言うとやっと石化が解けたみたいだよ。
「ハッ、いえいえご領主様のお付の方にそのような事は!」
「いえ、私も近々コチラに領主様が成人されるまでの間でございますが、代官として来る事になりますので、村の人たちに顔を覚えていただければと思いまして」
聞いてないよーーっ! またセバスの後出しだね。でも、聞いてない事を表情にはださないようにしてウンウンと頷いておくよ。僕にだってそれぐらいの腹芸は出来るんだから。出来てるよね……
という訳でローレン村長とロッテンで村人たちを席に振り分けている。そして、全員が揃ったところでタイミング良く王族の方々とミレイさん、それにメイドさんたちに護衛騎士さんたちもやって来たんだ。
「まあまあ、ハイナイト子爵はやるわね。この料理は最近になって王都で作られ始めた料理ね。アラ、【料理の怪人】クレマインが作る料理まであるのね!? 素晴らしいわ。領民のみんな、王家直轄の時よりご馳走がならんでいるわよ。良かったわね。それじゃ、食べる前にハイナイト子爵からご挨拶をしてもらいましょう!」
サラディーナ様、王妃殿下がそのご挨拶でよろしいですか…… まあ深く考えない事にした。それにしてもクレマイン先生の二つ名が【料理の怪人】だったなんて…… 知らなかったけどある意味言い得て妙な二つ名だよね。
気を取り直して僕は昨夜書いてきた紙を手に持って、魔法で遠い席の人にも見えるように空に文字を出した。そこで僕はロッテンに頷いて見せたんだ。ロッテンはもちろんだけど僕の意を汲んで読み上げ始めたよ。
「僭越ながら代読させていただきます。私はハイナイト家に仕えるロッテンと申します。皆さまお見知りおきを。トーヤ様が成人されるまでこの地で代官を勤めさせていただきますので、今後ともよろしくお願いします。それでは、トーヤ様のお言葉です。
【領民の皆さん、はじめまして。トーヤ・ハイナイト子爵です。この度、国王陛下よりこの地の領主となるよう王命を受け先ずは領地の事を知るべきだと思い視察にきました。こんな若造がとお思いの方もおられるでしょうが、僕は領民の皆さんの力になれるように精一杯領主として勤める所存ですので、どうかこれからよろしくお願いします。ささやかながら、本日の昼食と夕食をご用意しております。昼食時にはお酒は無しですが、夕食時にはお酒も出しますので、ざっくばらんに色々なお話をお聞かせ下さい。これから、どうぞよろしくお願いします。トーヤ・ハイナイト子爵】
以上です。皆さま、どうか我が主のもてなしを受けて下さい。王妃殿下、よろしいですか? よろしいようなので、先ずは王族の方々のメイドは料理を取りに来て下さい。それが終わりましたら先程言った通り、ローレン村長から順番によろしくお願いします。コチラの方式はバイキング方式という料理の食べ方になるそうです。トーヤ様がお考えになられた方式です。王族の方々が料理を取り終わりましたぞ、ローレン村長、村の人たちが待っておりますぞ」
そこまでロッテンが語り終えた瞬間に、ローレン村長が立ち上がり、それにならって村人たちも立ち上がり、そして
「新しいご領主、トーヤ・ハイナイト子爵様に礼!! そして、拍手をっ!!」
ローレン村長の声と共にみんなが笑顔で礼をしてくれて、大きな拍手を僕たちに向けて送ってくれた。照れるなぁ……
「トーヤ様、お顔が締まりなくなってますよ」
フェルちゃんからの突っ込みが入ってしまった。僕はキリッと顔を引き締めて、みんなに笑顔でさあ、料理を取って食べようと身振りで示した。
通じたようで良かったよ。
こうして、昼食はみんなで楽しくワイワイと食べる事ができたんだ。サラディーナ様、ヨロス様、ヨーナ様もずっとニコニコ笑顔で食事をしていたから開いて良かったよ。
昼食の終わりにサラディーナ様から、
「トーヤくん、夕食にはお酒を出すって話だけど、何処のワインが出るのかしら?」
なんて聞かれたけど、僕はその時までのお楽しみにしてて下さいねと言う意味で口に人差し指を当てたんだ。それを見たサラディーナ様は、
「まあ! 楽しみだわ!? きっと凄いワインが出るんでしょうね!」
と仰って夕食まで秘密だというのを了承して下さったよ。
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