25 / 90
異世界を楽しむ
023話 伝説の料理
しおりを挟む
レッドバード、別名火鳥。体長は1メートル~1.5メートルだ。僕の目の前で羽休めをしているのは1.5メートルある大型だから先生に料理してもらえばお腹一杯食べる事ができそうだね。
レッドバードは敵を見つけたら先ずは火を吐いてくるから、僕は不意打ちを狙ってるんだ。
僕は技能、【隠密行動(5)】を発動してから、もう一つの技能【身体強化(強大)】も発動する。
そして慎重にレッドバードに近づいていく。刀は既に抜き身で手に持っている。
あと2メートル…… ッ! 気づかれた! でも刀の間合いにはあと2歩…… 火が来た!
って、初めて見たけどかなり遅いや。僕は飛んできた火を右斜め前に飛びながら躱して、そのままレッドバードの首に刀を振る。
一刀で斬り落とす事に成功した僕の真後ろから先生の声が聞こえた時はビクッとしてしまった。
「お見事!!」
えっと、気配0でしたけど…… 先生って何者ですか? 僕が振り返って先生を見ると先生は僕を急かした。
「ホレホレ、ボウッとしとらんではよう血抜きをせんか! 血抜きをせねば臭い肉を食う事になるぞ」
僕はハッとして直ぐに動き始めた。目線でフェルちゃんに茶【土魔法】をお願いする。心得たフェルちゃんが自分たちが隠れていた場所からもう少し離れた場所に血抜き穴を作ってくれた。
僕とライくん、それにカルイくんの3人でレッドバードの体を運ぶ。斬り落とした首はクレアちゃんが運んでくれた。
ちょうど穴の上に張り出した枝にライくんが登ってロープをおろしてくれたから、レッドバードの足を縛り、降りてきたライくんと力を合わせて引き上げたんだ。
それから、周りに血の匂いが流れないように僕が結界を張った。
「ほう、結界まで使えるとは…… トーヤはかなりの魔法を使えるようじゃな」
先生に感心したように言われたけど、僕は曖昧に笑っておいた。僕が全属性魔法を使えるのを知る人は居ないからね。リラにもフェルちゃんにも教えてないし。まだ8歳の子には重すぎる秘密になると思って教えてないんだ。
探るように僕を見る先生だけど、血抜きをしながら羽を毟り始めた僕を見て、
「羽は羽で売れるからの。ちゃんと取っておくんじゃぞ」
とアドバイスをくれた。
へぇー、レッドバードの羽って売れるんだ。知らなかったや。と思ったら、ライくんが追加情報を教えてくれた。
「大きい羽は細工物やペンになるし、柔らかい羽は布でくるんで掛け布団にすれば、薄くても暖かい布団が出来るんだよ。まあ、布団を作るには1羽分じゃ足りないけどね」
おお!! 羽毛布団だ! どうやら火系統の魔力が羽にも僅かに残っていて、それが暖かくなる要因らしいよ。
そんな話をしながら僕たちはテキパキと手分けして解体作業を進めていったんだ。ふと、クレアちゃんが羽休め場所の方を見る。
「トーヤ様、2羽目が飛んできたみたい。私とフェルで狩ってみてもいい?」
何故か僕に聞いてくるクレアちゃん。僕はフェルちゃんの方を確認するように見た。
「トーヤ様、私もクレアと一緒にやってみたいですわ」
僕にそう言うフェルちゃんに承諾するしかなかったけど、チラッとライくんに目線を送ると、僕の気持ちを汲んでくれたのか、弓矢を手にして何時でも二人の援護が出来る位置に入ってくれた。
うん、ライくん凄いね。僕は二人が気になりながらも、カルイくんと二人で解体作業を進める。
今はもう肉の切り出し作業に移っていて、僕が切り出した肉をカルイくんが仕分けて、大きな葉で包んでいるんだ。この葉は抗菌作用があって虫を寄せ付けないから非常に重宝しているよ。
先生は二人の方を見てくれているけど、暫くしたらコッチに戻ってきて、
「2羽目が来るぞ。準備は…… 出来ておるの。さすがじゃ」
と僕とカルイくんの解体への段取りを褒めてくれたよ。
フェルちゃんとクレアちゃん、ライくんの3人で運ばれてきた2羽目も解体して、僕たちは移動する。
小川の側に移動した僕たちは魔法を駆使してカマドを作って解体したレッドバードの肉を先生に渡した。
そこで僕も同じ食材を使用して料理をする事にしたんだ。
「ほう? トーヤは料理も出来るのか? ならば、ワシも楽しみが出来たわい」
僕が料理をするつもりがあると見た先生は本当に楽しみにしているかのように微笑んで、手を動かし始めた…… すっごい速いや!?
僕たちの驚愕の視線を気にする事なく先生の手は動く。ハッとして僕も手を動かす。僕が作るのは照り焼きだよ。
先生はレストランで作っていた伝説級の料理を作ってくれてる。その技法は蒸し焼きだったんだ。僕は横目でチラチラ先生の進める料理を盗み見た。少しでも手順を覚えたくて。
僕の料理よりも先生の料理の方が先に出来たけど、僕の料理も1分あとには出来上がったからみんなに食べて貰う。僕も食べるけどね。勿論の事だけど、匂いが魔獣を寄せ付けないように結界を張ってあるよ。
先ずは先生の料理をパクリッ!
く~~、美味しいっ!! 蒸し焼きされた鳥の柔らかさは勿論だけど、先生が肉に摺り込んでいたハーブ塩が絶品過ぎる…… コレは僕の照り焼きなんかはダメダメだよと思っていたら他ならぬ先生が僕の照り焼きを食べて叫んだ。
「トッ、トッ、トレヴィア~~~ンッ!! ムホーッ、このソースが特に旨いのう! トーヤ、レシピじゃ! レシピを教えてくれっ! この料理法はワシも思いつかんかった!」
いや、絶賛されてますけど先生の料理の方が何倍も美味しいですよ。僕がそんな顔をしていたら、他の皆も、
「トーヤ様、初めて食べますわ!」とフェルちゃん。
「トーヤ様、家のシェフにもレシピを教えたいです。よろしいですか?」とクレアちゃん。
「トーヤくん、この料理って違う鳥でもいけそうだね!」とライくん。
「ハグッ、ハグッ、旨っ、旨っ」とカルイくん。
と大絶賛された。まあ、カルイくんの場合は食べる事によってだけど……
そう言えば照り焼きってこの世界で見た事ないかな? でも、串焼き鳥はあったよね。アレの変化系いや、逆かな? 照り焼きが先で串焼き鳥が変化系なのかな? どっちにしても串焼き鳥(タレ)があるから、照り焼きも有りそうだと思ってたけど、無かったのか……
「トーヤ、これはレシピを調理師協会に提出してくれるかの? ソレによってトーヤにも特許料が入るし、お金を払えばワシらもこの料理を作ることが出来る。じゃから、帰って早速ワシと手続きに行こう! 今日の課外授業はこの班は満点じゃ!!」
と、クレマイン先生に促され、僕たちは急いで学校に戻って、校長先生にクレマイン先生が話をして全員で調理師協会に出向いたんだ。
先生の顔で特許手続きがとても速やかに行われたよ。照り焼きはひと月の僕の収入が銀貨2枚(200,000円)になったよ。2年間だけどね。
レッドバードは敵を見つけたら先ずは火を吐いてくるから、僕は不意打ちを狙ってるんだ。
僕は技能、【隠密行動(5)】を発動してから、もう一つの技能【身体強化(強大)】も発動する。
そして慎重にレッドバードに近づいていく。刀は既に抜き身で手に持っている。
あと2メートル…… ッ! 気づかれた! でも刀の間合いにはあと2歩…… 火が来た!
って、初めて見たけどかなり遅いや。僕は飛んできた火を右斜め前に飛びながら躱して、そのままレッドバードの首に刀を振る。
一刀で斬り落とす事に成功した僕の真後ろから先生の声が聞こえた時はビクッとしてしまった。
「お見事!!」
えっと、気配0でしたけど…… 先生って何者ですか? 僕が振り返って先生を見ると先生は僕を急かした。
「ホレホレ、ボウッとしとらんではよう血抜きをせんか! 血抜きをせねば臭い肉を食う事になるぞ」
僕はハッとして直ぐに動き始めた。目線でフェルちゃんに茶【土魔法】をお願いする。心得たフェルちゃんが自分たちが隠れていた場所からもう少し離れた場所に血抜き穴を作ってくれた。
僕とライくん、それにカルイくんの3人でレッドバードの体を運ぶ。斬り落とした首はクレアちゃんが運んでくれた。
ちょうど穴の上に張り出した枝にライくんが登ってロープをおろしてくれたから、レッドバードの足を縛り、降りてきたライくんと力を合わせて引き上げたんだ。
それから、周りに血の匂いが流れないように僕が結界を張った。
「ほう、結界まで使えるとは…… トーヤはかなりの魔法を使えるようじゃな」
先生に感心したように言われたけど、僕は曖昧に笑っておいた。僕が全属性魔法を使えるのを知る人は居ないからね。リラにもフェルちゃんにも教えてないし。まだ8歳の子には重すぎる秘密になると思って教えてないんだ。
探るように僕を見る先生だけど、血抜きをしながら羽を毟り始めた僕を見て、
「羽は羽で売れるからの。ちゃんと取っておくんじゃぞ」
とアドバイスをくれた。
へぇー、レッドバードの羽って売れるんだ。知らなかったや。と思ったら、ライくんが追加情報を教えてくれた。
「大きい羽は細工物やペンになるし、柔らかい羽は布でくるんで掛け布団にすれば、薄くても暖かい布団が出来るんだよ。まあ、布団を作るには1羽分じゃ足りないけどね」
おお!! 羽毛布団だ! どうやら火系統の魔力が羽にも僅かに残っていて、それが暖かくなる要因らしいよ。
そんな話をしながら僕たちはテキパキと手分けして解体作業を進めていったんだ。ふと、クレアちゃんが羽休め場所の方を見る。
「トーヤ様、2羽目が飛んできたみたい。私とフェルで狩ってみてもいい?」
何故か僕に聞いてくるクレアちゃん。僕はフェルちゃんの方を確認するように見た。
「トーヤ様、私もクレアと一緒にやってみたいですわ」
僕にそう言うフェルちゃんに承諾するしかなかったけど、チラッとライくんに目線を送ると、僕の気持ちを汲んでくれたのか、弓矢を手にして何時でも二人の援護が出来る位置に入ってくれた。
うん、ライくん凄いね。僕は二人が気になりながらも、カルイくんと二人で解体作業を進める。
今はもう肉の切り出し作業に移っていて、僕が切り出した肉をカルイくんが仕分けて、大きな葉で包んでいるんだ。この葉は抗菌作用があって虫を寄せ付けないから非常に重宝しているよ。
先生は二人の方を見てくれているけど、暫くしたらコッチに戻ってきて、
「2羽目が来るぞ。準備は…… 出来ておるの。さすがじゃ」
と僕とカルイくんの解体への段取りを褒めてくれたよ。
フェルちゃんとクレアちゃん、ライくんの3人で運ばれてきた2羽目も解体して、僕たちは移動する。
小川の側に移動した僕たちは魔法を駆使してカマドを作って解体したレッドバードの肉を先生に渡した。
そこで僕も同じ食材を使用して料理をする事にしたんだ。
「ほう? トーヤは料理も出来るのか? ならば、ワシも楽しみが出来たわい」
僕が料理をするつもりがあると見た先生は本当に楽しみにしているかのように微笑んで、手を動かし始めた…… すっごい速いや!?
僕たちの驚愕の視線を気にする事なく先生の手は動く。ハッとして僕も手を動かす。僕が作るのは照り焼きだよ。
先生はレストランで作っていた伝説級の料理を作ってくれてる。その技法は蒸し焼きだったんだ。僕は横目でチラチラ先生の進める料理を盗み見た。少しでも手順を覚えたくて。
僕の料理よりも先生の料理の方が先に出来たけど、僕の料理も1分あとには出来上がったからみんなに食べて貰う。僕も食べるけどね。勿論の事だけど、匂いが魔獣を寄せ付けないように結界を張ってあるよ。
先ずは先生の料理をパクリッ!
く~~、美味しいっ!! 蒸し焼きされた鳥の柔らかさは勿論だけど、先生が肉に摺り込んでいたハーブ塩が絶品過ぎる…… コレは僕の照り焼きなんかはダメダメだよと思っていたら他ならぬ先生が僕の照り焼きを食べて叫んだ。
「トッ、トッ、トレヴィア~~~ンッ!! ムホーッ、このソースが特に旨いのう! トーヤ、レシピじゃ! レシピを教えてくれっ! この料理法はワシも思いつかんかった!」
いや、絶賛されてますけど先生の料理の方が何倍も美味しいですよ。僕がそんな顔をしていたら、他の皆も、
「トーヤ様、初めて食べますわ!」とフェルちゃん。
「トーヤ様、家のシェフにもレシピを教えたいです。よろしいですか?」とクレアちゃん。
「トーヤくん、この料理って違う鳥でもいけそうだね!」とライくん。
「ハグッ、ハグッ、旨っ、旨っ」とカルイくん。
と大絶賛された。まあ、カルイくんの場合は食べる事によってだけど……
そう言えば照り焼きってこの世界で見た事ないかな? でも、串焼き鳥はあったよね。アレの変化系いや、逆かな? 照り焼きが先で串焼き鳥が変化系なのかな? どっちにしても串焼き鳥(タレ)があるから、照り焼きも有りそうだと思ってたけど、無かったのか……
「トーヤ、これはレシピを調理師協会に提出してくれるかの? ソレによってトーヤにも特許料が入るし、お金を払えばワシらもこの料理を作ることが出来る。じゃから、帰って早速ワシと手続きに行こう! 今日の課外授業はこの班は満点じゃ!!」
と、クレマイン先生に促され、僕たちは急いで学校に戻って、校長先生にクレマイン先生が話をして全員で調理師協会に出向いたんだ。
先生の顔で特許手続きがとても速やかに行われたよ。照り焼きはひと月の僕の収入が銀貨2枚(200,000円)になったよ。2年間だけどね。
10
お気に入りに追加
368
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界成り上がり物語~転生したけど男?!どう言う事!?~
繭
ファンタジー
高梨洋子(25)は帰り道で車に撥ねられた瞬間、意識は一瞬で別の場所へ…。
見覚えの無い部屋で目が覚め「アレク?!気付いたのか!?」との声に
え?ちょっと待て…さっきまで日本に居たのに…。
確か「死んだ」筈・・・アレクって誰!?
ズキン・・・と頭に痛みが走ると現在と過去の記憶が一気に流れ込み・・・
気付けば異世界のイケメンに転生した彼女。
誰も知らない・・・いや彼の母しか知らない秘密が有った!?
女性の記憶に翻弄されながらも成り上がって行く男性の話
保険でR15
タイトル変更の可能性あり
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
だいたい全部、聖女のせい。
荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」
異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。
いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。
すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。
これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。
2回目の人生は異世界で
黒ハット
ファンタジー
増田信也は初めてのデートの待ち合わせ場所に行く途中ペットの子犬を抱いて横断歩道を信号が青で渡っていた時に大型トラックが暴走して来てトラックに跳ね飛ばされて内臓が破裂して即死したはずだが、気が付くとそこは見知らぬ異世界の遺跡の中で、何故かペットの柴犬と異世界に生き返った。2日目の人生は異世界で生きる事になった
婚約破棄からの断罪カウンター
F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。
理論ではなく力押しのカウンター攻撃
効果は抜群か…?
(すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
原産地が同じでも結果が違ったお話
よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。
視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる