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異世界を楽しむ
018話 解体実習
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僕とフェルちゃんが学校に入学した翌日。1時間目は座学で各調理器具の名前やその機能なんかを学んだんだ。
僕とフェルちゃんは同じクラスだよ。更にはあの小太りクンも一緒だったんだ。名前? 忘れたから小太りクンでいいかなって思ってるんだ。
小太りクンは頑なに僕やフェルちゃんから遠く離れているんだ。先生も授業がやりやすくて喜んでるようだからまあいいかな。
クラスの人数は20人で、男子が8人。女子が12人だよ。その中で家が貴族の人が男子が3人で女子が8人も居るんだ。どうやら上級貴族である僕やフェルちゃんのクラスに、問題を起こしそうな貴族の子を集めた感じだね。
中でもクレアちゃんという子には先生も少し困ってるようだ。クレアちゃんは辺境伯の次女で、この国では侯爵家と同等になるからフェルちゃんも余り強くは言えないんだよね。それに3歳頃に顔を合わせた事があるみたいで、今も次の授業の合間にフェルちゃんの所にやって来たんだ。
「オーホッホッ! お久しぶりですわね、フェル様」
僕は8歳でこの口調はどうかと思うんだけど…… まあ、本人が気にしてないなら僕が言うのは筋違いだから黙っておくけどね。
「お久しぶりです、クレア様」
フェルちゃんから苦手オーラが出ているね。僕が挨拶代わりに頭を軽く下げたらクレアちゃんが僕を見てこう言ったんだ。
「おはようございます、トーヤ様。でも本当に喋る事がお出来にならないんですのね。そんな方とどうやって意思疎通をはかってるんですの? 無学な私に教えて下さいませんか、フェル様?」
うん、サラッと言ってるけど僕やフェルちゃんに対する嫌味だね。それに僕は喋れない訳じゃなくて、口下手で無口なだけなんだよ。まあいちいち言わないけどね。
けれどもフェルちゃんも挑発には乗らずに冷静に話をした。
「あらクレア様が無学なんてあり得ません。意思疎通の方法ですわね。私とトーヤ様は心が通じ合っておりますから、目で会話が出来ますの。心から愛せる方が表れたならクレア様にもきっとお分かりになりますわ」
違った、余り冷静じゃなかったよ。フェルちゃんが挑発返しをしてるよ。
「クッ、そ、そうなんですのね。でも流石はフェル様ですわ! 国に忌み子認定されている方を婚約者にされるなんて、まるで伝説の聖女様のように寛大な御心をお持ちなんですのね!!」
その言葉にフェルちゃんがキレそうになったけど、僕がいち早く気がついて立ち上がろうとするフェルちゃんの腕をおさえて首を横に振ったんだ。
怒っちゃいけないよって気持ちを込めてね。そこで落ち着いたフェルちゃんが落ち着いた声でクレアちゃんに言ったのは、又も挑発返しだったけどね……
「そうなんですの? 私は忌み子なんて事は知りませんわ。流石は婚約者様もその頭脳に恐れをなして逃げ出されたクレア様ですわ。博識ですこと」
怖いよ~…… 女の子達の会話に僕は恐怖を覚えているけど、見た目は平静な風を必死で装っているんだ。
「クッ、よくもその事を…… オホホホ、それ程でもありませんわよ。それよりもフェル様、次は解体実習のようですわ。ここで一つ余興を提案させて頂きたいのですがよろしいかしら?」
「あら、偶然ですわね。私も提案しようと思っておりましたの」
二人とも目が笑ってない笑顔ですが……
「まあ! それが私と同じ事でしたらよろしいのですが…… 次の解体実習では解体する物を選べるそうですの。そこで、大体同じ大きさの同じ種の物を私とフェル様が選んで、どちらがより早く、より綺麗に解体出来るか競って見ませんこと? 審判は公正をきして先生にやって頂きますわ。どうかしら?」
「まあ、クレア様! 私も同じことを提案しようと思っておりましたの。でも、私は更に提案いたしますわ。勝った方は負けた方を1年の間は格下扱い出来るというのはどうでしょう?」
ソレを聞いたクレアちゃんがニヤリと笑って返事をした。
「アラ! 何て素敵なご提案かしら。勿論、よろしくてよ!」
そうして決まった勝負だけど端で聞いてた先生も止めもせずにニコニコ笑顔でこう言った。
「よーし、それなら先生もちゃんと審判をするからねー」
この実習の先生は伯爵家夫人でありながら子育ても終わり、暇だからってご主人に許可を貰ってこの学校の先生になった貴族としては変わった人なんだ。ハインリヒ伯爵夫人はマリーという名で、大の料理好きでそのモットーが、
【解体出来ずして美味しい料理を作れる筈なし!】
だそうで、殆どの学生が解体済の食材を使って料理をすると思っていたのに、解体実習があると聞いて愕然としていたんだよ。
僕? 僕とフェルちゃんとリラはトウシローによって確りと解体も学んだから一通りの解体は出来るんだよ。二人ともリラには及ばないけどね。何ならトウシローもリラには負けるんだけど……
でも、クレアちゃんも解体には自信がありそうだね。リラレベルでは無いにしても、ひょっとしたらフェルちゃんよりも上手かも知れないなぁ……
僕はそう思いながらクレアちゃんの能力を確認してみたんだ。
名前:クレア・ロックフィルド(辺境伯家次女)
年齢:八歳
種族:人種
位階:9
性別:女
性格:ワタクシ一番
称号:婚約者逃亡令嬢
体力:61
気力:135
技力:58
魔力:168
魂力:172
技能:魔力操作・身体強化(中)・属性魔法(3)【赤・水・緑・銀・金】・剣技(3)・ナイフ術(5)
加護:トヨウケの加護
【狩猟】
ブッ! し、称号がっ!! クレアちゃんは10歳になっても教会で神儀式を受けない方が良いと僕は思ったよ。まあ、10歳までに称号が何とか変わるかも知れないけど…… 性格からして難しそうだと思ったのは秘密だよ。
けれども解体に自信があったのは加護が狩猟だからなのかな。辺境伯の領地だと狩猟も盛んだってセバスが言ってたし、クレアちゃん自身も狩猟に連れて行って貰ったりしてたのかなぁ? 能力値的には有り得そうだね。貴族の子女にしてはかなり高いと思うし。
うーん、フェルちゃんが油断せずに頑張れば勝てるかな? どうかな?
僕は少し不安に思いながらもフェルちゃんをしっかりと応援する事にしたんだ。
僕とフェルちゃんは同じクラスだよ。更にはあの小太りクンも一緒だったんだ。名前? 忘れたから小太りクンでいいかなって思ってるんだ。
小太りクンは頑なに僕やフェルちゃんから遠く離れているんだ。先生も授業がやりやすくて喜んでるようだからまあいいかな。
クラスの人数は20人で、男子が8人。女子が12人だよ。その中で家が貴族の人が男子が3人で女子が8人も居るんだ。どうやら上級貴族である僕やフェルちゃんのクラスに、問題を起こしそうな貴族の子を集めた感じだね。
中でもクレアちゃんという子には先生も少し困ってるようだ。クレアちゃんは辺境伯の次女で、この国では侯爵家と同等になるからフェルちゃんも余り強くは言えないんだよね。それに3歳頃に顔を合わせた事があるみたいで、今も次の授業の合間にフェルちゃんの所にやって来たんだ。
「オーホッホッ! お久しぶりですわね、フェル様」
僕は8歳でこの口調はどうかと思うんだけど…… まあ、本人が気にしてないなら僕が言うのは筋違いだから黙っておくけどね。
「お久しぶりです、クレア様」
フェルちゃんから苦手オーラが出ているね。僕が挨拶代わりに頭を軽く下げたらクレアちゃんが僕を見てこう言ったんだ。
「おはようございます、トーヤ様。でも本当に喋る事がお出来にならないんですのね。そんな方とどうやって意思疎通をはかってるんですの? 無学な私に教えて下さいませんか、フェル様?」
うん、サラッと言ってるけど僕やフェルちゃんに対する嫌味だね。それに僕は喋れない訳じゃなくて、口下手で無口なだけなんだよ。まあいちいち言わないけどね。
けれどもフェルちゃんも挑発には乗らずに冷静に話をした。
「あらクレア様が無学なんてあり得ません。意思疎通の方法ですわね。私とトーヤ様は心が通じ合っておりますから、目で会話が出来ますの。心から愛せる方が表れたならクレア様にもきっとお分かりになりますわ」
違った、余り冷静じゃなかったよ。フェルちゃんが挑発返しをしてるよ。
「クッ、そ、そうなんですのね。でも流石はフェル様ですわ! 国に忌み子認定されている方を婚約者にされるなんて、まるで伝説の聖女様のように寛大な御心をお持ちなんですのね!!」
その言葉にフェルちゃんがキレそうになったけど、僕がいち早く気がついて立ち上がろうとするフェルちゃんの腕をおさえて首を横に振ったんだ。
怒っちゃいけないよって気持ちを込めてね。そこで落ち着いたフェルちゃんが落ち着いた声でクレアちゃんに言ったのは、又も挑発返しだったけどね……
「そうなんですの? 私は忌み子なんて事は知りませんわ。流石は婚約者様もその頭脳に恐れをなして逃げ出されたクレア様ですわ。博識ですこと」
怖いよ~…… 女の子達の会話に僕は恐怖を覚えているけど、見た目は平静な風を必死で装っているんだ。
「クッ、よくもその事を…… オホホホ、それ程でもありませんわよ。それよりもフェル様、次は解体実習のようですわ。ここで一つ余興を提案させて頂きたいのですがよろしいかしら?」
「あら、偶然ですわね。私も提案しようと思っておりましたの」
二人とも目が笑ってない笑顔ですが……
「まあ! それが私と同じ事でしたらよろしいのですが…… 次の解体実習では解体する物を選べるそうですの。そこで、大体同じ大きさの同じ種の物を私とフェル様が選んで、どちらがより早く、より綺麗に解体出来るか競って見ませんこと? 審判は公正をきして先生にやって頂きますわ。どうかしら?」
「まあ、クレア様! 私も同じことを提案しようと思っておりましたの。でも、私は更に提案いたしますわ。勝った方は負けた方を1年の間は格下扱い出来るというのはどうでしょう?」
ソレを聞いたクレアちゃんがニヤリと笑って返事をした。
「アラ! 何て素敵なご提案かしら。勿論、よろしくてよ!」
そうして決まった勝負だけど端で聞いてた先生も止めもせずにニコニコ笑顔でこう言った。
「よーし、それなら先生もちゃんと審判をするからねー」
この実習の先生は伯爵家夫人でありながら子育ても終わり、暇だからってご主人に許可を貰ってこの学校の先生になった貴族としては変わった人なんだ。ハインリヒ伯爵夫人はマリーという名で、大の料理好きでそのモットーが、
【解体出来ずして美味しい料理を作れる筈なし!】
だそうで、殆どの学生が解体済の食材を使って料理をすると思っていたのに、解体実習があると聞いて愕然としていたんだよ。
僕? 僕とフェルちゃんとリラはトウシローによって確りと解体も学んだから一通りの解体は出来るんだよ。二人ともリラには及ばないけどね。何ならトウシローもリラには負けるんだけど……
でも、クレアちゃんも解体には自信がありそうだね。リラレベルでは無いにしても、ひょっとしたらフェルちゃんよりも上手かも知れないなぁ……
僕はそう思いながらクレアちゃんの能力を確認してみたんだ。
名前:クレア・ロックフィルド(辺境伯家次女)
年齢:八歳
種族:人種
位階:9
性別:女
性格:ワタクシ一番
称号:婚約者逃亡令嬢
体力:61
気力:135
技力:58
魔力:168
魂力:172
技能:魔力操作・身体強化(中)・属性魔法(3)【赤・水・緑・銀・金】・剣技(3)・ナイフ術(5)
加護:トヨウケの加護
【狩猟】
ブッ! し、称号がっ!! クレアちゃんは10歳になっても教会で神儀式を受けない方が良いと僕は思ったよ。まあ、10歳までに称号が何とか変わるかも知れないけど…… 性格からして難しそうだと思ったのは秘密だよ。
けれども解体に自信があったのは加護が狩猟だからなのかな。辺境伯の領地だと狩猟も盛んだってセバスが言ってたし、クレアちゃん自身も狩猟に連れて行って貰ったりしてたのかなぁ? 能力値的には有り得そうだね。貴族の子女にしてはかなり高いと思うし。
うーん、フェルちゃんが油断せずに頑張れば勝てるかな? どうかな?
僕は少し不安に思いながらもフェルちゃんをしっかりと応援する事にしたんだ。
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