ボディガードはオジサン

しょうわな人

文字の大きさ
16 / 80

第16話 制裁と依頼完了と

しおりを挟む
 私が2人の顔を見ながらその会話を聞いているとも知らずに話し出す2人。便宜上、ストーカーと専務と呼ぶ事にする。

「兄貴に言われてやって来たがランドールの2人の部屋は分からなかったぞ。弥生と3人で乗ったのに3ヶ所ぐらいエレベーターがとまりやがった」

 ストーカーが専務にそう言っているのが聞こえた。

「クククッ、小細工に騙されたんだな。しょうがない教えてやろう。ナミはこの真下の部屋で、一つ間をあけてヒナの部屋がある。その間の部屋には恐らく新しいマネジャーらしい男が住み始めているがな。まあ見た目からして優男だからお前ならばどうとでも出来るだろう」

 それを聞いたストーカーはベランダに向かったようだ。

「本当か、兄貴! こ、この下にナミの汚部屋おへやがあるのか…… 今ならあのマネジャーらしい男は居ないし…… 弥生やヒナがもし居たとしても俺ならどうとでも出来るな…… ましてやもしもナミ一人なら襲う事も可能だな。ヨシ、やろう!」

 即決かいっ! だが、残念だったな。私はここに居るからお前は誰も襲えないぞ。私はそう突っ込みながら即座にストーカーに【重力魔法】をかけ、3倍の重力をその体にのせてやった。

「ぐっ! な、なん、だ、…… き、急、に、か、ら、だ、が……」

 ストーカーがベランダにへたり込むのを見て専務が出て来た。

「おい、どうした? まさか私の部屋のベランダで自慰行為でもするつもりか? やめろよ、オイ!」

 見当違いの事を言ってストーカーを動かそうとした専務がギョッとした顔をする。

「なっ、どうしたんだ? お前、そんなに体重がない筈だろう?」

 そう言う専務にも私は【重力魔法】を施してやった。

「ぐっ! な、な、ン、だ……」

 専務は耐性がないのか直ぐにグシャリと倒れてしまった。そんな専務にストーカーが何とか声をかける。

「ぐっ、ぐっ、あ、あ、に、き、だい、じょ、ぶ、か?」

 本当の兄弟だったのか、それとも舎弟関係なのか? まあ、どっちでも良いか。私には既にこの2人を警察に任せるつもりは無くなっていた。ここが私の今の時点でのダメな点だとは後で気がつくのだが…… 良くも悪くもこの日本では人は法によって守られ、また法を犯した者は裁かれる。そう決まっているにも関わらず、この時の私は異世界の価値観を引きずり私的な制裁を行ってしまうのだった……

 前にタケシを逆恨みしていた者と同じ状態に2人をした私はそのまま動けずにいる2人に声をかける。勿論、【不可視】と【隠密】はそのままに。

「貴様たち2人の悪行を天より見ていたが、とんでもない者たちよな…… よって天罰を2人に与えた。現代の技術では2人とも治ることの無い病、【子泣き病】だ。そのまま余生を過ごせば良い。反省して己を悔い改めるならば治る事もあるだろうが心に邪な考えばかりが今後も増長するならば更に体は重くなろう! 残りの余生を良く考えて過ごすのだっ!! ではな…… 私の言った事を覚えておくのだぞ……」

 そうして、2人の部屋を転移で出た私は、出る間際に読んだ2人の思考により、3倍の重力を3.2倍にしておいた。
 まあ、死なないギリギリと言ったところか……
 
 けれども、コレで被害にあう女性も居なくなるし警察に届ける必要も無くなった。けれども、ランドールの2人にどう説明するかの課題が残っている。が、そこは弥生かタカシさんに任せようと思い直した。
 それと忘れずに2人の部屋のベランダと入口を映すように仕掛けられたカメラは取り除いておいたよ。

 そして私に用意されていた部屋に戻ると弥生だけが居た。

「ただいま。アレ、2人は? てっきり一緒にこの部屋に居ると思ったんだが」

 私が弥生にそう聞くと次のように答えてくれた。

「疲れたから一眠りするって言って自分たちの部屋に戻ったのよ。それで、フェス会場での事を教えてくれるんでしょ、タケ兄。ちょうどいいから、今から教えてくれる?」

「分かった、先ずはあの警備員だが……」

 そこから私は弥生に説明を始めた。救急車で運ばれた警備員についてと警備員にした制裁について。ストーカーとナミちゃんの上の階に住む男について。その2人が繋がっていた事や今後2人に悩まされる事は無いことも伝えた。結局、警察には突き出さずに私が科した制裁によって病になった事も伝えると弥生はこう言った。

「それで良かったわ、タケ兄。警察だと罪を償ったと見なされたら釈放されるけれども、大抵の場合また同じ行動をとるから。逆恨みによって暴力的行為に出られる事もあるし。でも、勃起中枢に重力を5倍ってどうなるの? 本当に勃たなくなるの?」

 うん、弥生よ…… 仮にも女性なんだからストレートにそう聞いてくるのはどうかと思うぞ。男性の勃起のメカニズムを詳しく説明する気は私には無いからな。

 それから暫く雑談をしていたら、弥生が思い出したように教えてくれた。

「そうだ、タケ兄。タカさんから連絡があって、自宅から徒歩5分の所に事務所を借りたんだって。それから事務員募集についてなんだけど応募があった後の面接の時にタケ兄の力を借りたいって言ってるの。今回のランドールへの依頼は完了したからタカさんの面接の時は付き合って貰えるかな? もちろんだけど依頼報酬はちゃんと支払うから」

 なるほど。私のスキルによってよこしまな考えを持っている人をはじきたいんだな。

「私が面接会場に入らずに済むなら力は貸すよ。それでいつ行けばいいのかな?」

「そうねぇ…… 明日、取り敢えず私と一緒に戻る事にしましょうか。まだ応募も無いから面接は先の話になるんだけど一旦戻ってタカさんと話し合う必要があると思うし。あそうだ、私も今日はこのままココに泊まるからよろしくね」

 なにぃっ!! そ、そんな事はダメだぞっ! 弥生! 私はホテルでもとる事にしよう。いや、転移で自宅に戻れば良いか。まあ、まだ弥生には転移の事は伝えてないから、ホテルに泊まると言おう。

「弥生よ、私はホテルに泊っ!?」

「ヤダッ、タケ兄! 私と一緒だと襲ってきちゃう?」

 私の言葉の途中で弥生がそう聞いてきた。私はもちろんそんな事をするつもりはないが、ご主人が居る女性とひとつ屋根の下で寝るような真似は出来ないと伝えた。何だかんだで弥生の言動には振り回されているな……

「ハア~、異世界に拉致されたって言うのに、タケ兄は本当に真面目だよねぇ。ウフフ、でも揶揄からかってゴメンね、タケ兄。私はヒナの部屋に泊まるから、タケ兄はこの部屋で寝てね。さてと、それじゃあの娘たちを呼んで打ち上げに入るとするか。タケ兄、もうすぐデリバリーが届くから受取っておいてね。私はヒナとナミを起こして説明してくるわ」

 そう言って弥生は部屋を出ていった。弥生が部屋を出た5分後にデリバリーが届き、私はそれらをテーブルに並べながら、何かを忘れているなと思っていた。

 あっ! あの2人をベランダに放置したままだった! 私は急いで119番に電話をかけて、上の階のベランダからうめき声が聞こえると伝えたのだった。

 弥生がナミちゃんとヒナちゃんを連れて部屋に戻った時には救急車と消防車が来ていて私は責任者の人に説明をしていた。

「ベランダでタバコを吸おうと出てみたら上の階のベランダで苦しそうなうめき声が聞こえてきたんです。それで、私も引っ越してきたばかりで気が動転してしまって管理人さんに連絡する前に119番に電話してしまって……」

「そうだったんですね。分かりました。後は私たちで対処します。ご協力、有難うございました」

 それで開放された私は部屋に戻る。するとヒナちゃんが泣きながら弥生と話をしていた。

「私はタケフミさんがずーっと、私たちのマネジャーをしてくれると思ってたのにっ! 酷いよ、弥生さん。これからも同じような事があってもタケフミさんなら守って貰えるのにっ!」

「ちょ、ちょっとヒナ。落ち着いてよ。大丈夫よ、タケ兄は貴女たち2人に何か起こりそうなら、マネジャーじゃ無くなってもちゃんと守ってくれるから」

 うーん、ヒナちゃんにこんなにも慕われる意味が私には分からないのだが…… 
 私が部屋の入口で固まっていたら、ナミちゃんが私の側に来て話を始めたのだった……   
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。 そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。 しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。 過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~

日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!  斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。  偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。 「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」  選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う

yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。 これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...