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2023/02/15 BGM: John Lennon - (Just Like) Starting Over
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今日は休みだった。朝、グループホームの施設長の方とお会いする。利用料を支払い、その後いろいろ話をした。施設長の方からは私自身の日々の頑張りを認めて下さる言葉をいただき、ありがたく思う。去年金銭面のことで失敗してしまい、ずいぶんつらい思いをしたことを思い出した。その施設長の方や他の方から見守られていることが自分自身の成長につながっているのかなと思う。今でも衝動買いしそうになることはあるし、実際にムダなお金だって使ってしまう。欲求ということで言えばお酒を求める心理だってある。そうした依存症とどう向き合うかが今後の生活の鍵となるのだろう。呑みたいとか欲しいとかいった気持ちを「克服」すること、自分に「打ち克つ」ことは自分は無理だと思っている。情けないけれどそれが私自身が依存症であるということだ。意志が弱いことを認めて生きていきたい。
昼、市役所で断酒会の昼例会に参加する。私自身の体験談を話した後、新しく参加されるようになった方のお話を聞かせてもらう。断酒会では常に「新しい人こそが先生である」と学ぶ。新人の方の立ち居振る舞いや体験談が私たち自身のまだ断酒して間がなかった時のことを思い出させるからであり、そこから自分がどう立ち直ってきたか学び直させるからだ。私自身、まだ断酒し始めて右も左も分からなかった頃「こんな会に出て話を聞いて、何の功徳があるのだろう?」と疑わしく思ったこと、胡散臭くさえ思ったことを思い出し懐かしくなった。新しいその方は笑顔も見せ、以前より力強く回復と新生に向けて再び生き直そうと頑張っておられるように見えた。そのポジティブな様子に私も嬉しく思う。アルコール依存症の方の中でそうして自助グループにつながる方は本当にわずかなので、私の姿が彼女の回復の一助となればうれしい。
その後昼寝をして、片岡義男『英語で日本語を考える』を読む。片岡義男はこの本の中で、彼が気になったさまざまな日本語表現を取り出しそれを英語に置き直して提示する(場合によっては逆に、気になった英語の表現から日本語訳を示すこともある)。日本語をそのまま機械的にべったり英語に置き直すのではなく、その日本語表現を「砕いて」さまざまな要素にまで分解した後に、そこから英語を本格的に組み立てる。その手付きが鮮やかで、私も多くを学ばせてもらう。私たちはしばしば、ひとつひとつの単語を逐語的に英語に訳して英訳を組み立てようとする。機械翻訳が時に珍妙な訳を提示するのはそうした無理が祟ってのことだと思う。外国語に訳するということは、その言葉が孕む独自の「発想の転換」を学んで自家薬籠中の物にすることなのだろう。改めて片岡の手付きからそう学ばせてもらった。
夜、断酒会の例会に参加する。そこで昼例会に参加された新人の方とも再びお会いする。彼女は本格的に彼女の人生を「生きる」意志を固めたように見えて、それが頼もしくさえ映った。私にとって春はしのぎにくい時期だ。この日記にも以前に書いたことがあるのだけれど、春になって天気がいい日、みんなが花見だ行楽だと楽しんでいる最中に私は家で自分自身の鬱屈を持て余して酒に溺れるしかなかった、そんな思い出を反芻してしまうのだった。これからの時期、時間を止めるわけにはいかないので確実に春へと移り変わる時期を私は断酒会やその他のつながりに頼りながら暮らしていくことになる。そして4月3日、自分が酒を辞めた記念日がまた訪れる。かれこれ8年目。まだまだ私自身も修行中、勉強中の身である。この修行に終わりはない……その後会がはねたあと自室に戻って、古井由吉『槿』を読んで過ごす。
昼、市役所で断酒会の昼例会に参加する。私自身の体験談を話した後、新しく参加されるようになった方のお話を聞かせてもらう。断酒会では常に「新しい人こそが先生である」と学ぶ。新人の方の立ち居振る舞いや体験談が私たち自身のまだ断酒して間がなかった時のことを思い出させるからであり、そこから自分がどう立ち直ってきたか学び直させるからだ。私自身、まだ断酒し始めて右も左も分からなかった頃「こんな会に出て話を聞いて、何の功徳があるのだろう?」と疑わしく思ったこと、胡散臭くさえ思ったことを思い出し懐かしくなった。新しいその方は笑顔も見せ、以前より力強く回復と新生に向けて再び生き直そうと頑張っておられるように見えた。そのポジティブな様子に私も嬉しく思う。アルコール依存症の方の中でそうして自助グループにつながる方は本当にわずかなので、私の姿が彼女の回復の一助となればうれしい。
その後昼寝をして、片岡義男『英語で日本語を考える』を読む。片岡義男はこの本の中で、彼が気になったさまざまな日本語表現を取り出しそれを英語に置き直して提示する(場合によっては逆に、気になった英語の表現から日本語訳を示すこともある)。日本語をそのまま機械的にべったり英語に置き直すのではなく、その日本語表現を「砕いて」さまざまな要素にまで分解した後に、そこから英語を本格的に組み立てる。その手付きが鮮やかで、私も多くを学ばせてもらう。私たちはしばしば、ひとつひとつの単語を逐語的に英語に訳して英訳を組み立てようとする。機械翻訳が時に珍妙な訳を提示するのはそうした無理が祟ってのことだと思う。外国語に訳するということは、その言葉が孕む独自の「発想の転換」を学んで自家薬籠中の物にすることなのだろう。改めて片岡の手付きからそう学ばせてもらった。
夜、断酒会の例会に参加する。そこで昼例会に参加された新人の方とも再びお会いする。彼女は本格的に彼女の人生を「生きる」意志を固めたように見えて、それが頼もしくさえ映った。私にとって春はしのぎにくい時期だ。この日記にも以前に書いたことがあるのだけれど、春になって天気がいい日、みんなが花見だ行楽だと楽しんでいる最中に私は家で自分自身の鬱屈を持て余して酒に溺れるしかなかった、そんな思い出を反芻してしまうのだった。これからの時期、時間を止めるわけにはいかないので確実に春へと移り変わる時期を私は断酒会やその他のつながりに頼りながら暮らしていくことになる。そして4月3日、自分が酒を辞めた記念日がまた訪れる。かれこれ8年目。まだまだ私自身も修行中、勉強中の身である。この修行に終わりはない……その後会がはねたあと自室に戻って、古井由吉『槿』を読んで過ごす。
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