跳舞猫日録

踊る猫

文字の大きさ
上 下
52 / 58

2023/02/14 BGM: U2 - Stay (Faraway, So Close!)

しおりを挟む
今日は早番だった。仕事中、ふと嫌な思いをする。いつもと同じだ。「死ね」「消えろ」……そんな声を聞いたように思って、実はみんな私が生きていることを疎ましく思っているのではないか、隠しているのではないかとも思ったりもした。そんな思いに浸ることには慣れてしまっている。懐かしいな、とさえ思う。やっぱり生まれてこなかったほうがよかったのか……過去に「生まれてきたこと」がクラスメイトに対して申し訳ないと思った、そんな時期が自分にあったことを思い出してつらくなった。そうして苦しんでいた時、ふとヴィム・ヴェンダース監督の映画『ベルリン・天使の詩』を思い出した。この映画は2人の天使が登場する。打ちひしがれている男のそばに1人の天使が近寄り、男を励まそうとする。天使は人間には見えないのだけど、男はそうした励ましを理解して再び生きる活力を取り戻す……そんな場面があった。

そんな場面を思い出し、もしかしたらこの世界にもそうした「見えない存在」としての天使がいるのではないかと思ってみた。そうした存在が見守ってくれていると考えると自分の心はラクになる。大いなる存在と自分がつながっていると感じられると、自分をその存在に預けてもいいかなと思えるからだ。そして、天使がいるいないはまた別の話としてそうした「見えない」力なら自分自身はいつも受け取っているとも思ったのだった。断酒会や発達障害を考えるミーティング、宍粟市国際交流協会やDiscordなどでつながっている人たちから自分は力をわけてもらっている。自分はひとりではない……そんな風に考えていくとこの世界における自分のつながりのありがたさを今一度感じ取れるように思えた。話が抽象的な方向に行ってしまったかもしれない。要は自分を超えるつながりの深さ、素晴らしさを思い知ったということだ。

小学生の頃、どういうきっかけでだったか忘れたが私は先生に呼び出されてこんなことを言われたことを思い出す。「心を開いて何でも話せる友だちなんてそうそう出来はしない。せいぜい1人か2人くらいだ」と。そう言われたということは私はそうした友だちができることを望んでいたということで、先生が見るに見かねてたしなめるつもりで言ってくれたのだろう。だが、今ではいろんなところに過去のつらい思いをシェアできる友だちがいることを私はひしひしと感じる。1人か2人どころではない。私自身がいじめられた過去や最近読んだ本のこと、くだらないヘンタイ的な趣味のことやディープな音楽の話題などを語れる友だちがそこにいる。そうしたことは自分の支えになってくれる。「求めよさらば与えられん」とはこんなことを言うのかなあ、と考えてしまう。

そんなこんなで夜、仕事が終わったあと英会話教室に行く。そこでバレンタイン・デーに関してレッスンを受ける。好きなチョコレートの種類やラブロマンス映画のお薦め、あるいは今のバレンタイン・デーは商業的にすぎるかどうかといったことをチャットの話題として話し合った。普段こうして書くことでアウトプットの修練を自分なりに積んでいる(つもり)とはいえ、やはり実際に話すことを繰り返さないと言葉はすんなり出てこないもので、ブロークンな英語がポロポロ出てきてしまい恥ずかしくなる。それで恐縮して縮こまってしまい、カタコトの英語さえ話せないで時間だけが過ぎてしまうことに焦り、そうするとその焦りから頭が真っ白になり何も浮かんでこなくなる……という悪循環に陥ってしまう。どこかでこの悪循環を打破しなければならない。普段からできることはスピーキングの練習を自分なりに積むことだと思った。あとはもうポール・マッカートニーに倣って「Let It Be」の精神で自分を開くこと、相手を信じて自分を預けることかなと思ったのだった。その意味ではまだまだ自分は修行が足りない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

注意欠陥多動性障害(ADHD)の日常

春秋花壇
現代文学
注意欠陥多動性障害(ADHD)の日常

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...