跳舞猫日録

踊る猫

文字の大きさ
上 下
45 / 58

2023/02/07 BGM: Frank Sinatra - Fly Me To The Moon

しおりを挟む
突如、酒に呑まれていた頃のことを思い出していた。「こんなことをしている間にも」と、ずっと自分自身の中で焦りがあったと思う。ネットでつながらせてもらったある小説家の方が少しずつキャリアを盤石なものにして、そして夢を叶えて日々をポジティブに生きておられるのを知って嫉妬を覚えたのをありありと思い出せる。しかし自分自身の生活は何も代わり映えのするものではなく、したがって酒に溺れるしかなかった……「こんなことをしている間にも、あの人は一歩一歩前に進んでいる」と人と比べてずいぶん自分自身を傷つけたっけ。焦ることなんてなかったし、人と比べることもなかったのだ。今は誰と比べる気持ちもなく、私の人生を生きられている。でも、それは断酒会や他のミーティングでの人間関係が自分を支えて下さっているからだ。

嫉妬か……Twitterに明け暮れて日々誰かをディスって、そうすることでいっぱしの批評家気取りで生きていたことを思い出す。「批評家の言うことなどに耳を傾けてはいけない。 これまでに批評家の銅像など建てられたためしはないのだから」と言ったのは誰だったか(私は敬愛するヴァルター・ベンヤミンの銅像が建ったら見に行ってみたいと思うのだが)。それも結局は私の中の「なぜ私は認められないのだ!」という嫉妬から来るものだったのだろうなと今では反省している。だからこの日記ではなるべくフェアに人の書いたもの、人が作ったものと接したいと思っている。私は「辛口レビュー」というものを信用しない。本当に読ませ、唸らせる「辛口レビュー」なんて天賦の才能がなければ不可能だと思う。少なくとも私にはそんな「天賦の才能」は皆無だ。

昼、弁当を食べたあと読書をする気にもなれなかったのでジェームズ・ブラウンのライヴ盤を聴きながらぼんやりしていた。また春が来るのだなあ、と思う。春は実を言うと苦手な季節である。寒さが緩み、暖かくなると気持ちが落ち着かなくなりソワソワしてしまう。「季節性感情障害」と医師は診断するかもしれない。ザ・キュアーを聴きながら梶井基次郎を読んだり、フェルナンド・ペソアを読んだりするなどして厄介な季節をやりすごすしかない。くれぐれも過食や飲酒、衝動買いに走ることは慎みたいと思う。いや、自分は過去にそういうことに走ってさまざまな問題を起こした「前科」があるので未来永劫そんなことをしないという確約ができないのが悲しいのだった。特に春になると「花見で一杯」「春ビール」という気持ちになりやすいので……。

夜、英会話教室に行く。そこで挨拶の仕方を学び、さまざまなゲームを楽しむ。ALTの先生2人は日中の授業でかなり体力を使っておられると思ったのだけれど、ジェスチャーとよく通る声を駆使してこちらにわかりやすい表現で英語を教えて下さる。さすがだなあ、と感服する。私もゲームに参加し「2つの真実と1つの嘘」を話し過去に大学で政治を勉強していたと嘘をつく(正解は英文学なのです)。雑談で「鮟肝(あんきも)」を英語でどう言うべきかわからず、スマホに頼ってばかりというのも恥ずかしいので「いや、日本でよく食されている魚の肝というかレバーなんだけれど」としどろもどろで説明したりする。こうして話す場が設けられることのありがたみを感じ、1日が終わったのだった。その後フランク・シナトラを聴きながらくつろぐ。それが人生。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

アスペでADDな母娘

PoliteFlower
エッセイ・ノンフィクション
母親を理解するのに30年かかった。 一度は絶縁さえ考えた。 そんな私が、様々の苦悩の末、30歳にしてアスペルガー症候群と診断された。 北原 佳純(かすみ) 30歳。 ちょっと変わった親子の経験。 名前と年齢以外は、『実話』です。

父の遺したもの

ゆる弥
現代文学
父が遺してくれたもの。それに気がついた私は……

動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!

海夏世もみじ
ファンタジー
 旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました  動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。  そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。  しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!  戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!

春秋花壇

春秋花壇
現代文学
小さな頃、家族で短歌を作ってよく遊んだ。とても、楽しいひと時だった。 春秋花壇 春の風に吹かれて舞う花々 色とりどりの花が咲き誇る庭園 陽光が優しく差し込み 心を温かく包む 秋の日差しに照らされて 花々はしおれることなく咲き続ける 紅葉が風に舞い 季節の移ろいを告げる 春の息吹と秋の彩りが 花壇に織りなす詩のよう 時を超えて美しく輝き 永遠の庭園を彩る

雨、時々晴れ

はやしかわともえ
現代文学
閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m まったり(不定期)書いていきます。お手柔らかにお願いします。 お気に入りに入れていただけると便利です。 あらすじ 拓海と慎吾は同性のパートナーとして一緒に暮らしている。ひょんなことから、家族になった自閉症を持つ賢と暮らすことになった。 2024.10.21 また続き(?)書きます。閲覧くださりありがとうございます。

陽だまりの家

春秋花壇
現代文学
幸せな母子家庭、女ばかりの日常

内面化したオリエンタリズム

olria
現代文学
誰も内面化なんてしてませんがそれは。

処理中です...