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2023/02/03 BGM: 東京少年 - れんがの学校
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今日は遅番だった。朝、茂木健一郎『脳と仮想』を少し読む。茂木はこの本の中で「仮想」(つまり、想像力によって作り出したもの)の力について語っていると読んだ。そうした「仮想」、別の言い方をすれば脳の中にある確かな「クオリア」は私たちの文化・文明を活性化させる。この本の中で「仮想」の代表的な例として登場するのはサンタクロースなのだけれど、確かにサンタクロースは実体を持たない概念なのでフィクショナルな、つまりは想像力の産物にすぎない。だけれどそうした想像力の産物を私たちは共有して社会の中に位置づけて生きている……彼の書きぶりから私は自分の少年時代を思い出した。私自身、イマジネーションの産物(漫画やアニメのキャラクターなど)を夢見て生きていたこと、たかがポップソングにすぎないものに意味を見出し新鮮な世界の息吹を感じて生きていたことを思い出す。
茂木健一郎は、私たちがリアルだと感じるもの、現実と受け取るものについて私たちの脳が本来そのように感じ取っているのであって、その意味で想像力の産物(「仮想」や「クオリア」)と等価であると議論を進めている。彼はもちろん、現実の意義を否定するわけではないだろう。現実はここにあり、私たちはその現実をシェアして生きている。だが、その現実の中に豊富な想像力を働かせて生きている、そんな私たちの生の実相を捉えたいのかなと思いながら読んだ。実に刺激的な本で、私も永井均や中島義道の本にハマって哲学者を気取って生きていたことを思い出した。あるいはウィトゲンシュタインのように生きたいと憧れていた頃のことを。現実を捉えるこの脳が見せるヴィジョンの豊かさ!
昼に弁当を食べ、読書も一段落したので音楽を聴く。ルイ・アームストロングの音楽だ。昼下がりのムードに合った極上の音楽として響いた。英会話教室で提出する宿題を済ませながら、私はその音楽を楽しんだ。あまりにもその体験が素晴らしかったので、そのことをプリントに書いてしまった。新しい音楽、新しい人々との出会いも大事なのだけれど私の感性はもう古くなってしまったのかこうした古い音楽に惹かれてしまう。今日は節分。それが終わると立春。暦の上では春が来たという区切りがつく。世界はどんどん前に進む。ルイ・アームストロングが歌うように、確かに「世界はなんと素晴らしい」……。
そのプリントの内容をWhatsAppの英語学習のグループにシェアした。グループのリーダーのPiliさんが喜んで下さった。私もそのことに嬉しくなる。こうした共感を楽しみたくて自分は英語を勉強しているのだな、と思う。日本に住んでいる自分と、海外に住む文化も言語も違う人たちの間で共感が成り立つ。その共感こそがこの世界、この社会の要なのだろうなと思う。そして、こうした英語学習を可能なものとさせてくれたあの日の出会いに思いを馳せる。ああ、あの日「あなたの英語はわかりやすいですね」「英語で表現している時のあなたは素晴らしい」と言われたこと……あの言葉がなければ、私はしょせん留学経験もないのだからと尻込みして今なお後ろ向きに生きていただろう。そう思うと自分が置かれている奇跡のような境遇に改めて感謝する。
茂木健一郎は、私たちがリアルだと感じるもの、現実と受け取るものについて私たちの脳が本来そのように感じ取っているのであって、その意味で想像力の産物(「仮想」や「クオリア」)と等価であると議論を進めている。彼はもちろん、現実の意義を否定するわけではないだろう。現実はここにあり、私たちはその現実をシェアして生きている。だが、その現実の中に豊富な想像力を働かせて生きている、そんな私たちの生の実相を捉えたいのかなと思いながら読んだ。実に刺激的な本で、私も永井均や中島義道の本にハマって哲学者を気取って生きていたことを思い出した。あるいはウィトゲンシュタインのように生きたいと憧れていた頃のことを。現実を捉えるこの脳が見せるヴィジョンの豊かさ!
昼に弁当を食べ、読書も一段落したので音楽を聴く。ルイ・アームストロングの音楽だ。昼下がりのムードに合った極上の音楽として響いた。英会話教室で提出する宿題を済ませながら、私はその音楽を楽しんだ。あまりにもその体験が素晴らしかったので、そのことをプリントに書いてしまった。新しい音楽、新しい人々との出会いも大事なのだけれど私の感性はもう古くなってしまったのかこうした古い音楽に惹かれてしまう。今日は節分。それが終わると立春。暦の上では春が来たという区切りがつく。世界はどんどん前に進む。ルイ・アームストロングが歌うように、確かに「世界はなんと素晴らしい」……。
そのプリントの内容をWhatsAppの英語学習のグループにシェアした。グループのリーダーのPiliさんが喜んで下さった。私もそのことに嬉しくなる。こうした共感を楽しみたくて自分は英語を勉強しているのだな、と思う。日本に住んでいる自分と、海外に住む文化も言語も違う人たちの間で共感が成り立つ。その共感こそがこの世界、この社会の要なのだろうなと思う。そして、こうした英語学習を可能なものとさせてくれたあの日の出会いに思いを馳せる。ああ、あの日「あなたの英語はわかりやすいですね」「英語で表現している時のあなたは素晴らしい」と言われたこと……あの言葉がなければ、私はしょせん留学経験もないのだからと尻込みして今なお後ろ向きに生きていただろう。そう思うと自分が置かれている奇跡のような境遇に改めて感謝する。
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