40 / 58
2023/02/02 BGM: キセル - ハナレバナレ
しおりを挟む
病的な発想だとは思うのだけれど、いつもどこかで「今日こそ人生最後の日なのかもしれないな」と思って生きている。今日、自分の人生は終わる……そんなことを考え続けて生きてこの歳になってしまった。死ぬ時はどんなことを考えるのだろう。生きている間、脳が働く間はずっと考え続けて書けるなら書き続けたいという思いがある。その昔オードリー・タンが「私の人生には長期計画はなく、ただ今日一日の計画があるだけです」「将来何がどうなるかは私には本当にわからないからです。私がそれまで生きていられるかどうかもわかりません」と語っていたのを読み(『何もない空間が価値を生む』p.185)、同じことを考える人もいるのだなあと思った。私の人生も常にその日その日できること、やるべきことをやるだけ。1日断酒、凡事徹底の心意気で。
今日は早番だった。仕事がはねた後、図書館に行き茂木健一郎『脳と仮想』を借りる。こうして徒手空拳で脳科学の本を読むようになってずいぶん経つ。考えるのは……というより私のスットコドッコイな脳では考えが及ばなくてせいぜい「感じる」だけで終わることになるのだけれど、なぜ自分というパーソナリティがこの脳という物質の中に宿るのか、どうしてこんなアイデアが次から次へと湧いて出てくるのかといった驚きの数々だ。その謎だけは誰にも解けない……というのは言い過ぎかもしれないけれど、少なくともこの私には「私」という謎は解けない。そして、私自身が謎であるのと同じように私にとっては他人もまた謎であり、ゆえにかけがえのない大事な存在である。中井久夫の言葉を借りれば他人とはその中に「一個の宇宙」を内包している存在である。それがこの世界を神秘的なものとして成り立たせている。
今日も昼休み、キセルやサニーデイ・サービス、東京少年を聴きながらぼんやり考え事をした。兼本浩祐『普通という異常』によれば定型発達者は(いや、人間すべからくと言うべきか?)「色、金、名誉」を重んじて生きるという。私の人生にはこの3つの要素が欠けているな、と思った。女性にも縁がなく、金もなく地位も低い。そうしたものをガツガツ追いかけて生きてきたわけではないが、それでいて「いつかこの日記が書籍化されないかなあ。そしてドカーンと百万部くらい売れないかなあ……」とアホみたいなことを考えている。つまり、私の中にだって「色、金、名誉」を求める心理はある。それが(私はスットコドッコイな発達障害者なので)まったくヘンテコリンな形で夢想や願望として私の中に宿っているということかもしれないな、と思う。永遠に覚めることのない夢を見て生きているような、そんな人生だ。
「色、金、名誉」を求める気持ちを、私は無碍に「くだらない」「バカみたいだ」と切り捨てられない。私だって金は欲しいし、こんなことを言うとドン引きされるとも思うが「色(つまり女性)」だって欲しい。その意味で私は立派に強欲かつ貪欲な、煩悩に満ちた人間なのである。だが、そうした要素を丸出しにして生きることにもどこかためらいがある。昔はこうじゃなかったのだけれど、大事な友だちができて私自身が変わったということなのかもしれないな、と思う。きれいごとに響くとも思うが、今は「一流大学から一流企業へ」といった絵に描いた成功の街道に興味はない。そもそも私のようなへなちょこな人間にそんなタフな人生を生きられるわけがない。私は自分の興味のある分野を掘り下げて生きて、そして死ぬ。それが「向いている」のだと思う。今日も英語を学び、そして酒を断ってクリーンかつ無難に生き、明日につなげていく。そして人生はつづく。
今日は早番だった。仕事がはねた後、図書館に行き茂木健一郎『脳と仮想』を借りる。こうして徒手空拳で脳科学の本を読むようになってずいぶん経つ。考えるのは……というより私のスットコドッコイな脳では考えが及ばなくてせいぜい「感じる」だけで終わることになるのだけれど、なぜ自分というパーソナリティがこの脳という物質の中に宿るのか、どうしてこんなアイデアが次から次へと湧いて出てくるのかといった驚きの数々だ。その謎だけは誰にも解けない……というのは言い過ぎかもしれないけれど、少なくともこの私には「私」という謎は解けない。そして、私自身が謎であるのと同じように私にとっては他人もまた謎であり、ゆえにかけがえのない大事な存在である。中井久夫の言葉を借りれば他人とはその中に「一個の宇宙」を内包している存在である。それがこの世界を神秘的なものとして成り立たせている。
今日も昼休み、キセルやサニーデイ・サービス、東京少年を聴きながらぼんやり考え事をした。兼本浩祐『普通という異常』によれば定型発達者は(いや、人間すべからくと言うべきか?)「色、金、名誉」を重んじて生きるという。私の人生にはこの3つの要素が欠けているな、と思った。女性にも縁がなく、金もなく地位も低い。そうしたものをガツガツ追いかけて生きてきたわけではないが、それでいて「いつかこの日記が書籍化されないかなあ。そしてドカーンと百万部くらい売れないかなあ……」とアホみたいなことを考えている。つまり、私の中にだって「色、金、名誉」を求める心理はある。それが(私はスットコドッコイな発達障害者なので)まったくヘンテコリンな形で夢想や願望として私の中に宿っているということかもしれないな、と思う。永遠に覚めることのない夢を見て生きているような、そんな人生だ。
「色、金、名誉」を求める気持ちを、私は無碍に「くだらない」「バカみたいだ」と切り捨てられない。私だって金は欲しいし、こんなことを言うとドン引きされるとも思うが「色(つまり女性)」だって欲しい。その意味で私は立派に強欲かつ貪欲な、煩悩に満ちた人間なのである。だが、そうした要素を丸出しにして生きることにもどこかためらいがある。昔はこうじゃなかったのだけれど、大事な友だちができて私自身が変わったということなのかもしれないな、と思う。きれいごとに響くとも思うが、今は「一流大学から一流企業へ」といった絵に描いた成功の街道に興味はない。そもそも私のようなへなちょこな人間にそんなタフな人生を生きられるわけがない。私は自分の興味のある分野を掘り下げて生きて、そして死ぬ。それが「向いている」のだと思う。今日も英語を学び、そして酒を断ってクリーンかつ無難に生き、明日につなげていく。そして人生はつづく。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
半笑いの情熱
sandalwood
現代文学
池原悦弥は、小学時代に担任教師から受けた度重なる体罰により、それまでの気勢を失った。
大学生となった今では起伏に乏しい生活を送っており、せっかく入った第一志望の大学でこれといった手ごたえなく一年目を終える。
そんな中、二年目に入ってフランス語の授業で出会った光蟲冬茂は、巷の爽やかな学生たちとは一線を画する独特な性格の男だった。
光蟲との交流や、囲碁部および茶道部の活動を通じて、悦弥の生活は徐々に色付いていく。
作者の実体験を脚色して描いた、リアリティの強い長編小説。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
これも何かの縁(短編連作)
ハヤシ
現代文学
児童養護施設育ちの若夫婦を中心に、日本文化や風習を話題にしながら四季を巡っていく短編連作集。基本コメディ、たまにシリアス。前半はほのぼのハートフルな話が続きますが、所々『人間の悪意』が混ざってます。
テーマは生き方――差別と偏見、家族、夫婦、子育て、恋愛・婚活、イジメ、ぼっち、オタク、コンプレックス、コミュ障――それぞれのキャラが自ら抱えるコンプレックス・呪いからの解放が物語の軸となります。でも、きれいごとはなし。
プロローグ的番外編5編、本編第一部24編、第二部28編の構成で、第二部よりキャラたちの縁が関連し合い、どんどんつながっていきます。
10秒で読めるちょっと怖い話。
絢郷水沙
ホラー
ほんのりと不条理なギャグが香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)
物語を(あるいは、その本質としての哲学的見解)
船越伸二
現代文学
世界の中で、いわゆる真実とは何か?人が見るものこそ真実であり、人の意識は全体を見るのではなく、部分を見る。当たり前だが、人間の意識は宇宙と同化できない。もし、できたとするならば、それは神というのだろう。基本的に人間は人間を超えるために、すなわち超人となるために。超人への意識は人間をおそるべき位置にいさせる。一体、何をもって、超人とするか?人間的なものからの脱却。人間をやめること。人間的な本質とは協力である。協力は強力である。私は知っている。人間が世界中に広がった理由は協力であると。一体、協力を阻むものは何か?私は考え続けた。結果として、答えはないことに気づくが、そこには個人という意識だ。個人は大事。そうだ!だが、個人が世界と切り離されて、個人のみの生命に重点を置くと?人間は知っている。個人あり、また、他者を思う気持ちがあり、そして、その先には合体がある。
mk-2の毎日がBLACK HISTORY
mk-2
エッセイ・ノンフィクション
徒然なるままに 日常について思ったことを書いていこうと思います。一人の木っ端作家の戯言エッセイです。
以下、自分なりの執筆ルール
★無理に書かない、長文を書くことに執着しない
★著名人、有名企業の関係者以外のいち個人が特定されるような書き方は極力避ける
★鬱状態の時に書かない
★過去に別サイトでエッセイを書いたことがあるが、極力そのままコピペなどはしない。『過去にこんなことがあって……』という引用ぐらいはするかも
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる