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2023/01/14 BGM: 新居昭乃 - 覚醒都市
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今日は早番だった。今朝、ふと「自分は何者なんだろう」と考えてしまった。会社に行けば私は従業員として扱われる。会社と契約を交わして、会社のデータベース(?)に1人の構成員として登録され、私の働きに応じて給与が支払われる。周囲も私のことを1人の従業員として扱う。おそらくは変わり者の人間、よくわからない人間として……だが、会社を離れた付き合いの中では私はまた別の人間として扱われる。そうした付き合いの温度差があまりにも激しいので、私は本当に同じ国の同じ文化圏に住んでいると言えるのだろうかと眩暈すら感じる。同じ言葉をしゃべっているが違う価値基準、違うオペレーションシステムに則って動いているのではないか……いや、その通りなのかもしれない。
私は誰なのだろう? 私とは(かなり極論を書くと)この世の中に数多といる人間たちが織り成すネットワークの中の、1つの結節点である。ちょうど私が持っているパソコンやスマートフォンがインターネットというネットワークの中での結節点であるのと同じだ。私はここにいる。自分の意志で、自分の思考回路から生み出される考えをこうして書き記している。だが、その私の考えは他人抜きには考えられない。他人から為された意地悪なことや親切なことが私の考えの中に織り込まれ、それがこうした意見となって実を結ぶ。私とはかくも流動的なものだ。そこに「私」なる固定的なものは存在しないのかもしれない?
私はずっといじめに遭ったりして、他人を否定して生きていた時期が長かった。人とベタベタ仲良くするのは「つるむ」ことだと信じてさえいた。いや、もちろんこれは今になってみれば「アホだなぁ」「ガキだ」で終わる話である。モリッシーがジョニー・マーと出会って才能を開花させたように、あるいはジョンとポールの関係のように他人が触媒となって花開く才能というのがありうるのかもしれないとも思う。私の場合、今のつながりがなければ英語で何かを書くということもしないで終わっていただろう。一生世の中に絶望して、そのくせ「自分には絶対に才能があるのだから、認めない世の中がおかしい」と信じ込んで生きてそして終わったはずだ。そして容易に知られるように、この考え方は「世の中がおかしいということは、私がそれだけ正常だということだ」という短絡的な思考をもたらすのである……。
夜、オリヴァー・サックス『意識の川をゆく』を読む。温かい人柄が伝わってくるような、息遣いまで聞こえてくるようなヒューマン・タッチのエッセイだと思った。特に興味を惹かれたのは、私たちの記憶がしばしば現実にあったことから遊離して私たちの中にしまわれ、事務的に言えば「嘘をつく」ことさえあるというエピソードだ。だが、そうした事実があるとしても「事実ではなく、認識された世界こそ真実だ」「人の数だけ真実がある」と考えるのも抵抗がある。そうして居直ってしまうと失われるものというのもあるのだろう、と。今、この瞬間を精一杯生きてそのナマの経験を私の中に取り入れること。そうすると過去は意味あるものに書き直される。そうした生き方を目指したいと思った。
私は誰なのだろう? 私とは(かなり極論を書くと)この世の中に数多といる人間たちが織り成すネットワークの中の、1つの結節点である。ちょうど私が持っているパソコンやスマートフォンがインターネットというネットワークの中での結節点であるのと同じだ。私はここにいる。自分の意志で、自分の思考回路から生み出される考えをこうして書き記している。だが、その私の考えは他人抜きには考えられない。他人から為された意地悪なことや親切なことが私の考えの中に織り込まれ、それがこうした意見となって実を結ぶ。私とはかくも流動的なものだ。そこに「私」なる固定的なものは存在しないのかもしれない?
私はずっといじめに遭ったりして、他人を否定して生きていた時期が長かった。人とベタベタ仲良くするのは「つるむ」ことだと信じてさえいた。いや、もちろんこれは今になってみれば「アホだなぁ」「ガキだ」で終わる話である。モリッシーがジョニー・マーと出会って才能を開花させたように、あるいはジョンとポールの関係のように他人が触媒となって花開く才能というのがありうるのかもしれないとも思う。私の場合、今のつながりがなければ英語で何かを書くということもしないで終わっていただろう。一生世の中に絶望して、そのくせ「自分には絶対に才能があるのだから、認めない世の中がおかしい」と信じ込んで生きてそして終わったはずだ。そして容易に知られるように、この考え方は「世の中がおかしいということは、私がそれだけ正常だということだ」という短絡的な思考をもたらすのである……。
夜、オリヴァー・サックス『意識の川をゆく』を読む。温かい人柄が伝わってくるような、息遣いまで聞こえてくるようなヒューマン・タッチのエッセイだと思った。特に興味を惹かれたのは、私たちの記憶がしばしば現実にあったことから遊離して私たちの中にしまわれ、事務的に言えば「嘘をつく」ことさえあるというエピソードだ。だが、そうした事実があるとしても「事実ではなく、認識された世界こそ真実だ」「人の数だけ真実がある」と考えるのも抵抗がある。そうして居直ってしまうと失われるものというのもあるのだろう、と。今、この瞬間を精一杯生きてそのナマの経験を私の中に取り入れること。そうすると過去は意味あるものに書き直される。そうした生き方を目指したいと思った。
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