69 / 80
後編
何を知っている?
しおりを挟む
「エーレンフリートがおかしいと、最初は気付きもしなかった。信用等といった不安定なものではない。単純に違和感すらなかった」
宿のベッドがギシリと軋む音を立てる。ローデリヒ様が浅く腰掛けているからだ。
私は流石にちょっと疲れて横になっている。寝るつもりはあんまりない。けど、ベッドに横になるとその前まで特に眠くはなかったのに、いつの間にか寝落ちしてる事ってあるよね。
私が眠る気がないと分かったのか、ローデリヒ様は私の隣に寝転んだアーベルを撫でながら、ゆっくりと口を開いた。
ちなみにローデリヒ様も私もお金を持っていなかったので、急いで上着を売ってきたらしい。上着って売れるんだ……と思いながら、金額を聞いてみたらかなり良い値段でびっくりした。それでも足元をかなり見られたらしい。世間知らずは私です。
ローデリヒ様の上着ってどんだけ高いの……。王太子だからか?
ちなみにローデリヒ様も自分でお金を持ち歩く事がほぼなかったから、盲点だった……と頭を抱えていた。
「エーレンフリートに不自然な点を見つけたのは、未来のアーベルが来たからだ。アーベルが父上に言ったんだと、
――鍵はちゃんと、閉めていたんです、と」
「鍵はちゃんと閉めていた?」
意味が分からない。
「アーベルが来た日、エーレンフリートが私の私室で父上に馬乗りにされていたんだ」
「待って、そこからもう追いつけないんですけど」
ちょっと絵面がよく分かんない事になってるんだけど、国王様って側室いっぱいいるから女の人好きだと思い込んでた。どちらも好きなんだね。
なんでローデリヒ様の私室なのかが分からないんだけどさ……。
「アーベルが来た日、16歳のアーベルとエーレンフリートも遭遇していたらしい。私の執務室で。どうやらエーレンフリートは父上の隠し子だと疑っていたようだが……、アーベルとエーレンフリートは戦っていたらしい。父上が来るまで」
戦っていた?
思わずベッドに寝転がっているアーベルに視線を落とす。ちょっとなんでそんな危ないことになっているの……?
「父上が来ると同時に、アーベルはその場を離脱した。エーレンフリートと父上が私の私室に残った形になる。そのすぐ後に私が私室に訪れた。ほぼ同時刻、ヴァーレリーが走り去るアーベルとすれ違っていたようだ。ヴァーレリーは私だと思っていたらしいが」
だからローデリヒ様の私室にエーレンフリートさんと国王様が居たのね……。馬乗りになってるのはどうかと思うけど。
「前提として、王太子の私室の鍵は、何人も持てるものではない。私自身1本。父上が1本。侍従達が2本ローテーションしている。1本は予備で厳重に保管されていて、利用するのには記録と私の許可を取らなければ使用できない事になっている。エーレンフリートは合鍵なんて持ってはいないし、許可も取っていないし、記録上も予備の鍵を使用していない。
そして、王太子の私室だ。基本的に施錠しないという事は無い」
私もローデリヒ様の私室の鍵持ってないけど、特に欲しいとも言ったことはないし、使わないな……。予備使うなんて、鍵失くしたとかよっぽどの事しかない。
「ローデリヒの部屋の鍵を持っていないだろう?と父上はエーレンフリートに問い掛けたんだ。私もその場にいた。だからはっきり覚えている。
――開いてたんですよ、とエーレンフリートは確かに言った」
開けっ放しになっていたのか?なんて思ったけど、次のローデリヒ様の言葉で、違和感を持った。
「アーベルはおそらく10年後の私の鍵を持っているようだった。
父上が来た当時、私の部屋にはアーベルとエーレンフリートがいた。部屋の前の近衛騎士達は二人共倒れ伏していた。
エーレンフリートは鍵が開けっ放しだった、
アーベルは鍵はちゃんと閉めていた、と話している」
じゃあ、鍵はアーベルしか開けられなかったということ?
「父上が言うには、アーベルの目的の1つは、離宮行きの行程の草案を盗むこと」
「盗むって……」
私はそんな悪い子に育てた覚えはありません。
「盗む……というより、別の者の手に渡るのを阻止したと言うべきか。離宮行きの日は近付いていた。私室に置いていたのは、ほぼ確定に近い草案だったんだ」
離宮行きの話自体は、今まで住んでいたところの工事が出産予定日までに間に合わない、またはギリギリになりそうだという事を知ってすぐだったので、比較的早い段階で決まっていた。人の心の声が聞こえないように魔法を使っていたが、どうにも人の出入り自体多い王城が落ち着かなくて、私がお願いしたのだ。
「それでも確定させて近衛に渡すまでは数日は要する予定だったが、数日あればある程度の反乱の準備は出来る。草案の所在地を直接的でないにしろ教えたのは、父上だったらしい。アーベルがわざわざ過去に来てまで間違えたなんてことは思えない、と父上は仮説立てていたようだ」
国王様……一体何を考えてたんだ……。
「話を少し戻すが、部屋の前には見張りの近衛騎士が2人共倒れ伏していた。1人は2年目の新人。1人は20年のベテランだった。だが、ベテランの方は倒れる寸前、異変を察知していたそうだ」
ローデリヒ様が眉間に皺を寄せる。
「その者が言うには、エーレンフリートならばもっと完璧に隠し通すらしい。つまり、エーレンフリートよりも魔法に未熟な者――、アーベルが犯人に名前が挙がる。父上とアリサがアーベルと別れた時刻と、真っ直ぐに私の私室に向かった時間を考慮に入れると、アーベルの可能性が非常に高い」
かなり軟派でチャラそうなイメージしかないエーレンフリート様。やっぱり実力は近衛騎士団長を務めるだけあるということなんだ……。
「アーベルが草案目当てに私の私室へと入り、鍵を施錠。施錠後にエーレンフリートが入ってきた、という筋書きであれば、エーレンフリートが嘘を付いているという事になる。
逆に、アーベルが施錠をせずにエーレンフリートが開けっ放しだったから入って来たのだとすると、アーベルが嘘を付いている事になる」
証拠がないと、どちらが本当のことを言っているのか分からない。でも、どちらかが間違ったり、嘘を言っていなければ辻褄が合わない。
「エーレンフリートが部屋の見張りの騎士を完全に欺いて、アーベルより先に室内に居たと仮定する。まず最初に鍵の問題が発生するが、エーレンフリートの言う通り、開けっ放しだったとしよう。
だが、後から来たアーベルに草案を盗まれるとは思えない。エーレンフリートとアーベルは、魔法の力量で言えばエーレンフリートの方が優れているからだ。例え、アーベルの魔法が特殊でエーレンフリートが遅れをとったとしても、疑問が残る。
何故、近衛騎士を欺いてまで私室に入ったのか?、と」
ローデリヒ様とエーレンフリート様の仲はそれなりに良い。ただ、寝室でないにしろ、王太子の私室に1人で立ち入ることは侍従以外居ないのが普通だ。
「ここまでは状況証拠を幾つか繋ぎ合わせたに過ぎない。明確な動機も、片方からは事情すらまともに聞けていない。未来へ帰ってしまっているし、帰っていなくとも聞けなかっただろう。だから、確証なんてなかったんだ。疑い、だけで」
ローデリヒ様は視線を寝転がっているアーベルに向けた。アーベルはローデリヒ様の指を楽しそうにニギニギしている。
「結局のところ、危険を冒して過去に来てまで、何を伝えようとしていたのか?、という疑問に収束する。客観的に見て、息子贔屓だと言われてしまえばそれまでだが、未来の私が過去に来る事を許しているんだ。アーベルの所持していた鍵束は、現在の私の持っているものと同じ物。未来の私は、このタイミングで16歳のアーベルが来ることを分かっているのだろう。未来の私が息子を危険にさせてまで無駄な事はしないはずだ」
それは私も同意見。アーベルを危ない目に合わせてまで、過去に行かせるなんて事をしない。自分の中でそれだけは揺らがないって分かっている。分かっているからこそ、アーベルが来た理由を優先させてしまう。
客観的に見たら確たる証拠なんて無い。無いけれど、私自身が子供にそんな事をさせないと信じているから。
「アーベルが来たから、最悪の未来は回避出来ている……。いや……、未来のアーベルが来なければ、この先の未来を変えられないのだろう」
私の普段の思考からすると、そう考えるのが自然だ、とローデリヒ様は続けた。ローデリヒ様も同じことを思っていたようで、ちょっとホッとする。
ローデリヒ様はアーベルの額に手を当て、キラキラと輝く海色の瞳を覗き込んだ。
「なあ、アーベル。何を知っているんだ?」
宿のベッドがギシリと軋む音を立てる。ローデリヒ様が浅く腰掛けているからだ。
私は流石にちょっと疲れて横になっている。寝るつもりはあんまりない。けど、ベッドに横になるとその前まで特に眠くはなかったのに、いつの間にか寝落ちしてる事ってあるよね。
私が眠る気がないと分かったのか、ローデリヒ様は私の隣に寝転んだアーベルを撫でながら、ゆっくりと口を開いた。
ちなみにローデリヒ様も私もお金を持っていなかったので、急いで上着を売ってきたらしい。上着って売れるんだ……と思いながら、金額を聞いてみたらかなり良い値段でびっくりした。それでも足元をかなり見られたらしい。世間知らずは私です。
ローデリヒ様の上着ってどんだけ高いの……。王太子だからか?
ちなみにローデリヒ様も自分でお金を持ち歩く事がほぼなかったから、盲点だった……と頭を抱えていた。
「エーレンフリートに不自然な点を見つけたのは、未来のアーベルが来たからだ。アーベルが父上に言ったんだと、
――鍵はちゃんと、閉めていたんです、と」
「鍵はちゃんと閉めていた?」
意味が分からない。
「アーベルが来た日、エーレンフリートが私の私室で父上に馬乗りにされていたんだ」
「待って、そこからもう追いつけないんですけど」
ちょっと絵面がよく分かんない事になってるんだけど、国王様って側室いっぱいいるから女の人好きだと思い込んでた。どちらも好きなんだね。
なんでローデリヒ様の私室なのかが分からないんだけどさ……。
「アーベルが来た日、16歳のアーベルとエーレンフリートも遭遇していたらしい。私の執務室で。どうやらエーレンフリートは父上の隠し子だと疑っていたようだが……、アーベルとエーレンフリートは戦っていたらしい。父上が来るまで」
戦っていた?
思わずベッドに寝転がっているアーベルに視線を落とす。ちょっとなんでそんな危ないことになっているの……?
「父上が来ると同時に、アーベルはその場を離脱した。エーレンフリートと父上が私の私室に残った形になる。そのすぐ後に私が私室に訪れた。ほぼ同時刻、ヴァーレリーが走り去るアーベルとすれ違っていたようだ。ヴァーレリーは私だと思っていたらしいが」
だからローデリヒ様の私室にエーレンフリートさんと国王様が居たのね……。馬乗りになってるのはどうかと思うけど。
「前提として、王太子の私室の鍵は、何人も持てるものではない。私自身1本。父上が1本。侍従達が2本ローテーションしている。1本は予備で厳重に保管されていて、利用するのには記録と私の許可を取らなければ使用できない事になっている。エーレンフリートは合鍵なんて持ってはいないし、許可も取っていないし、記録上も予備の鍵を使用していない。
そして、王太子の私室だ。基本的に施錠しないという事は無い」
私もローデリヒ様の私室の鍵持ってないけど、特に欲しいとも言ったことはないし、使わないな……。予備使うなんて、鍵失くしたとかよっぽどの事しかない。
「ローデリヒの部屋の鍵を持っていないだろう?と父上はエーレンフリートに問い掛けたんだ。私もその場にいた。だからはっきり覚えている。
――開いてたんですよ、とエーレンフリートは確かに言った」
開けっ放しになっていたのか?なんて思ったけど、次のローデリヒ様の言葉で、違和感を持った。
「アーベルはおそらく10年後の私の鍵を持っているようだった。
父上が来た当時、私の部屋にはアーベルとエーレンフリートがいた。部屋の前の近衛騎士達は二人共倒れ伏していた。
エーレンフリートは鍵が開けっ放しだった、
アーベルは鍵はちゃんと閉めていた、と話している」
じゃあ、鍵はアーベルしか開けられなかったということ?
「父上が言うには、アーベルの目的の1つは、離宮行きの行程の草案を盗むこと」
「盗むって……」
私はそんな悪い子に育てた覚えはありません。
「盗む……というより、別の者の手に渡るのを阻止したと言うべきか。離宮行きの日は近付いていた。私室に置いていたのは、ほぼ確定に近い草案だったんだ」
離宮行きの話自体は、今まで住んでいたところの工事が出産予定日までに間に合わない、またはギリギリになりそうだという事を知ってすぐだったので、比較的早い段階で決まっていた。人の心の声が聞こえないように魔法を使っていたが、どうにも人の出入り自体多い王城が落ち着かなくて、私がお願いしたのだ。
「それでも確定させて近衛に渡すまでは数日は要する予定だったが、数日あればある程度の反乱の準備は出来る。草案の所在地を直接的でないにしろ教えたのは、父上だったらしい。アーベルがわざわざ過去に来てまで間違えたなんてことは思えない、と父上は仮説立てていたようだ」
国王様……一体何を考えてたんだ……。
「話を少し戻すが、部屋の前には見張りの近衛騎士が2人共倒れ伏していた。1人は2年目の新人。1人は20年のベテランだった。だが、ベテランの方は倒れる寸前、異変を察知していたそうだ」
ローデリヒ様が眉間に皺を寄せる。
「その者が言うには、エーレンフリートならばもっと完璧に隠し通すらしい。つまり、エーレンフリートよりも魔法に未熟な者――、アーベルが犯人に名前が挙がる。父上とアリサがアーベルと別れた時刻と、真っ直ぐに私の私室に向かった時間を考慮に入れると、アーベルの可能性が非常に高い」
かなり軟派でチャラそうなイメージしかないエーレンフリート様。やっぱり実力は近衛騎士団長を務めるだけあるということなんだ……。
「アーベルが草案目当てに私の私室へと入り、鍵を施錠。施錠後にエーレンフリートが入ってきた、という筋書きであれば、エーレンフリートが嘘を付いているという事になる。
逆に、アーベルが施錠をせずにエーレンフリートが開けっ放しだったから入って来たのだとすると、アーベルが嘘を付いている事になる」
証拠がないと、どちらが本当のことを言っているのか分からない。でも、どちらかが間違ったり、嘘を言っていなければ辻褄が合わない。
「エーレンフリートが部屋の見張りの騎士を完全に欺いて、アーベルより先に室内に居たと仮定する。まず最初に鍵の問題が発生するが、エーレンフリートの言う通り、開けっ放しだったとしよう。
だが、後から来たアーベルに草案を盗まれるとは思えない。エーレンフリートとアーベルは、魔法の力量で言えばエーレンフリートの方が優れているからだ。例え、アーベルの魔法が特殊でエーレンフリートが遅れをとったとしても、疑問が残る。
何故、近衛騎士を欺いてまで私室に入ったのか?、と」
ローデリヒ様とエーレンフリート様の仲はそれなりに良い。ただ、寝室でないにしろ、王太子の私室に1人で立ち入ることは侍従以外居ないのが普通だ。
「ここまでは状況証拠を幾つか繋ぎ合わせたに過ぎない。明確な動機も、片方からは事情すらまともに聞けていない。未来へ帰ってしまっているし、帰っていなくとも聞けなかっただろう。だから、確証なんてなかったんだ。疑い、だけで」
ローデリヒ様は視線を寝転がっているアーベルに向けた。アーベルはローデリヒ様の指を楽しそうにニギニギしている。
「結局のところ、危険を冒して過去に来てまで、何を伝えようとしていたのか?、という疑問に収束する。客観的に見て、息子贔屓だと言われてしまえばそれまでだが、未来の私が過去に来る事を許しているんだ。アーベルの所持していた鍵束は、現在の私の持っているものと同じ物。未来の私は、このタイミングで16歳のアーベルが来ることを分かっているのだろう。未来の私が息子を危険にさせてまで無駄な事はしないはずだ」
それは私も同意見。アーベルを危ない目に合わせてまで、過去に行かせるなんて事をしない。自分の中でそれだけは揺らがないって分かっている。分かっているからこそ、アーベルが来た理由を優先させてしまう。
客観的に見たら確たる証拠なんて無い。無いけれど、私自身が子供にそんな事をさせないと信じているから。
「アーベルが来たから、最悪の未来は回避出来ている……。いや……、未来のアーベルが来なければ、この先の未来を変えられないのだろう」
私の普段の思考からすると、そう考えるのが自然だ、とローデリヒ様は続けた。ローデリヒ様も同じことを思っていたようで、ちょっとホッとする。
ローデリヒ様はアーベルの額に手を当て、キラキラと輝く海色の瞳を覗き込んだ。
「なあ、アーベル。何を知っているんだ?」
18
お気に入りに追加
3,806
あなたにおすすめの小説
結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください
シンさん
ファンタジー
サナス伯爵の娘、ニーナは隣国のアルデーテ王国の王太子との婚約が決まる。
国に行ったはいいけど、王都から程遠い別邸に放置され、1度も会いに来る事はない。
溺愛する女性がいるとの噂も!
それって最高!好きでもない男の子供をつくらなくていいかもしれないし。
それに私は、最初から別居して楽しく暮らしたかったんだから!
そんな別居願望たっぷりの伯爵令嬢と王子の恋愛ストーリー
最後まで書きあがっていますので、随時更新します。
表紙はエブリスタでBeeさんに描いて頂きました!綺麗なイラストが沢山ございます。リンク貼らせていただきました。
不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。
桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。
戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。
『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。
※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。
時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。
一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。
番外編の方が本編よりも長いです。
気がついたら10万文字を超えていました。
随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!
悪女役らしく離婚を迫ろうとしたのに、夫の反応がおかしい
廻り
恋愛
王太子妃シャルロット20歳は、前世の記憶が蘇る。
ここは小説の世界で、シャルロットは王太子とヒロインの恋路を邪魔する『悪女役』。
『断罪される運命』から逃れたいが、夫は離婚に応じる気がない。
ならばと、シャルロットは別居を始める。
『夫が離婚に応じたくなる計画』を思いついたシャルロットは、それを実行することに。
夫がヒロインと出会うまで、タイムリミットは一年。
それまでに離婚に応じさせたいシャルロットと、なぜか様子がおかしい夫の話。
侯爵家のお飾り妻をやめたら、王太子様からの溺愛が始まりました。
二位関りをん
恋愛
子爵令嬢メアリーが侯爵家当主ウィルソンに嫁いで、はや1年。その間挨拶くらいしか会話は無く、夜の営みも無かった。
そんな中ウィルソンから子供が出来たと語る男爵令嬢アンナを愛人として迎えたいと言われたメアリーはショックを受ける。しかもアンナはウィルソンにメアリーを陥れる嘘を付き、ウィルソンはそれを信じていたのだった。
ある日、色々あって職業案内所へ訪れたメアリーは秒速で王宮の女官に合格。結婚生活は1年を過ぎ、離婚成立の条件も整っていたため、メアリーは思い切ってウィルソンに離婚届をつきつけた。
そして王宮の女官になったメアリーは、王太子レアードからある提案を受けて……?
※世界観などゆるゆるです。温かい目で見てください
敗戦して嫁ぎましたが、存在を忘れ去られてしまったので自給自足で頑張ります!
桗梛葉 (たなは)
恋愛
タイトルを変更しました。
※※※※※※※※※※※※※
魔族 vs 人間。
冷戦を経ながらくすぶり続けた長い戦いは、人間側の敗戦に近い状況で、ついに終止符が打たれた。
名ばかりの王族リュシェラは、和平の証として、魔王イヴァシグスに第7王妃として嫁ぐ事になる。だけど、嫁いだ夫には魔人の妻との間に、すでに皇子も皇女も何人も居るのだ。
人間のリュシェラが、ここで王妃として求められる事は何もない。和平とは名ばかりの、敗戦国の隷妃として、リュシェラはただ静かに命が潰えていくのを待つばかり……なんて、殊勝な性格でもなく、与えられた宮でのんびり自給自足の生活を楽しんでいく。
そんなリュシェラには、実は誰にも言えない秘密があった。
※※※※※※※※※※※※※
短編は難しいな…と痛感したので、慣れた文字数、文体で書いてみました。
お付き合い頂けたら嬉しいです!
愛など初めからありませんが。
ましろ
恋愛
お金で売られるように嫁がされた。
お相手はバツイチ子持ちの伯爵32歳。
「君は子供の面倒だけ見てくれればいい」
「要するに貴方様は幸せ家族の演技をしろと仰るのですよね?ですが、子供達にその様な演技力はありますでしょうか?」
「……何を言っている?」
仕事一筋の鈍感不器用夫に嫁いだミッシェルの未来はいかに?
✻基本ゆるふわ設定。箸休め程度に楽しんでいただけると幸いです。
職業『お飾りの妻』は自由に過ごしたい
LinK.
恋愛
勝手に決められた婚約者との初めての顔合わせ。
相手に契約だと言われ、もう後がないサマンサは愛のない形だけの契約結婚に同意した。
何事にも従順に従って生きてきたサマンサ。
相手の求める通りに動く彼女は、都合のいいお飾りの妻だった。
契約中は立派な妻を演じましょう。必要ない時は自由に過ごしても良いですよね?
契約結婚の終わりの花が咲きます、旦那様
日室千種・ちぐ
恋愛
エブリスタ新星ファンタジーコンテストで佳作をいただいた作品を、講評を参考に全体的に手直ししました。
春を告げるラクサの花が咲いたら、この契約結婚は終わり。
夫は他の女性を追いかけて家に帰らない。私はそれに傷つきながらも、夫の弱みにつけ込んで結婚した罪悪感から、なかば諦めていた。体を弱らせながらも、寄り添ってくれる老医師に夫への想いを語り聞かせて、前を向こうとしていたのに。繰り返す女の悪夢に少しずつ壊れた私は、ついにある時、ラクサの花を咲かせてしまう――。
真実とは。老医師の決断とは。
愛する人に別れを告げられることを恐れる妻と、妻を愛していたのに契約結婚を申し出てしまった夫。悪しき魔女に掻き回された夫婦が絆を見つめ直すお話。
全十二話。完結しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる