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山の神の化身

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 猿の部屋には猿の腰かけに座っている少女がいた。

「な、何なんですか! あなたたちは! というか、馬さんと羊さんがどうしてそっちの味方なんですか!」

「理想の主が見つかったからだ」

「私を攻撃しなかったからです」

「そ、そうですか。で、ですが! あなたたちはここで私に倒されます!! なぜなら私は山の神の化身だからです!!」

「そうなのか? 羊」

「はい、そうです。それと彼女の体には火事、大雨、台風、土砂崩れなどこの世にある全ての山の経験がインプットされているのでどんな攻撃も彼女にとってはそよ風未満です」

「それがどうした?」

天狗風てんぐかぜ、お前まさか一人でやるつもりか?」

「ああ」

「でも、相手は山の神の化身だぞ?」

「神だろうが悪魔だろうが俺は自由に戦う。まあ、今回は少し卑怯な手を使うがな」

「そうか。分かった。じゃあ、頼んだぞ、天狗風」

「ああ、任せとけ!!」

「あ、あなたなんか怖くありません!」

「お嬢ちゃん、先に謝っておく。すまない」

「ど、どうして謝るんですか!!」

「それはな、今からお嬢ちゃんを一瞬で倒しちゃうからだよ」

「あなたは絶対勝てません! 柿爆弾さんたち! あの人をやっつけちゃってください!!」

『わー』

「万事解決、Mシステム」

 Mシステム起動時に流れる音声。それが流れなくなると。

「天狗風、お前……」

「とうとう無音になっちまったな。まあ、いつかはみんなこうなるからな。じゃあ、いってくる」

「当たれー! 当たれー! あっ! そこです! 柿爆弾さんたち! あー! 惜しい!!」

「そんなもの当たらないよ。それじゃあ、そろそろ終わらせるか」

「私にあなたの風は効きません!!」

「お嬢ちゃん、俺が操れるのは風だけじゃないんだよ。ロックオン……吹っ飛ばし!!」

「な、何も!? うっ……!」

 何? これ……。

「ふぅ……ギリギリだったな」

 天狗風は彼女の周囲にある空気中の酸素だけを吹っ飛ばして一時的に酸欠にした。

「お前、もうMシステム使うな」

「俺がいないとチームの機動力落ちるぞ」

「落ちてもいい! だからお前はもうMシステムを使うな!!」

「そんな怖い顔するなよ。ほら、早く次の部屋行こうぜ、こーちゃん」

「……分かった。みんな……次の部屋行くぞ」

 一行は黙って次の部屋に向かって歩き始める。次は鳥の部屋。天狗風の力を借りずに勝利するのは難しいかもしれない。
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