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いずれ光になる者、シャイニング

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 こいつ……強いな……。俺たちの攻撃を全部吸収してどんどん強くなってる……。しかも全身コアだから細胞が一つでもあれば再生できるから厄介だ。というか、こいつの見た目全身真っ黒なジュ○ルドンにツノを二本生やしたような感じだな。うーん、まあ、いいか。

「ねえ、こーちゃん」

 俺が火の檻を何個も作ってやつの動きを封じている間に他の三人はやつに石を投げている。今のところ有効打はそれくらいしかない。

「ん? なんだ?」

「こいつ、強いよ。双子姉妹の妹の方を呼んだ方がいいんじゃない?」

「あいつを呼んだら町が一つなくなるからダメだ」

「でも、このままじゃ全滅しちゃうよ」

「それはまあ、そうだが……。なあ、ここにいる四人でどうにかできないのか?」

「無理。火力不足」

「命を燃やせばなんとかなるんじゃないか?」

「そんなことしたら全員死んじゃうよ。私みたいに」

「そうだったな……。よし、じゃあ、呼ぶか。まぶしすぎるアイドル『シャイニング』こと『光耀こうよう』を」

 俺は彼女を呼ぶ時に使う火炎弾を空に向かって放った。この合図をして彼女が来なかった時はない。ライブ中だろうと撮影中だろうと必ず来る。しかし、必ず町が一つなくなる。だから、正直彼女には来てほしくない。

「はっ! こーちゃんが私を呼んでる! みんな、ごめーん!! ちょっと世界救ってくるー!!」

『いってらっしゃーい!!』

「みんな、ありがとう! じゃあ、いっくよー!! 万事解決! Mシステム⭐︎」

 遊園地でライブをしていた『光耀』はいつも通りステージ衣装のまま戦場にやってきた。

「光の速さでやってきました! みんなのアイドル、シャイニングだよー!!」

「はぁ……」

「うわあ……」

「おいおい、マジかよ……」

「オラ、もう帰りたい……」

「うんうん、相変わらずまぶしすぎるねー」

 死人は気楽でいいな。町直さなくていいんだから。

「あ、あいつは! おい! ウッシー! 今すぐ逃げろ! お前では無理だ!!」

「ブモォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

「バカ牛! 早く戻れ! あの女に突進するなー!!」

「黒い牛さん! 今日は私のライブに来てくれてありがとう! 私の歌とダンスであなたを昇天させてあげるからそれまで帰っちゃダメだよ!! それじゃあ、ミュージックスタート!!」

彼女のMシステムは少し変わっている。自分が光り耀くのに必要なものは全て自分の思い通りにできる。故にこの世の全ては彼女を光り輝かせるためにあるのだ。

「ど・こにいてもっ! 私はー! すーべて照らすよー、絶対!!」

『はいっ! はいっ! 光り耀く! はいっ! はいっ! 最強無敵の! はいっ! はいっ! いつもまぶしい! はいっ! はいっ! シャイニング!!』

マイク、ステージ、音楽、スポットライト、CG、スタッフ、彼女の新曲になぜかあいの手を入れられるファン、サイリウム、その他諸々全て彼女がこの場に集めたものだ。なんというかもうこいつ一人でいいんじゃないかな? 歌終わるまであいつにダメージ入らないし、ずっとあいつの歌聞かされるし、歌終わると確実に敵と町一つ終わるから。

「黒い牛さん!」

『牛さーん!!』

「ここは私のステージ!」

『ステージ!!』

「ここにいるのは!」

『いるのは!!』

「みんな私の大ファン!」

『大ファーン!!』

「でーも、あなたはそうじゃないのね、そーれはきっと怖がりだから。だとしても!」

『だとしても!!』

「あなたはきっとー、私のファンになれるー!」

『……そうかな?』

「だってー、私は! こーんなにまぶしいアイドル!」

『アイドルー!!』

「みんなの心を!」

『心を!!』

「照ーらして昇天させちゃうー!」

『させちゃう!!』

「さぁ、さぁ、あなたも!」

『あなたも!!』

「みーんなと一緒に歌おう!」

『歌おう!!』

「私とみんなで!」

『みんなで!!』

「あーなたを救ってみせるよー!」

『みせるよー!!』

あー、牛困惑してるなー。

「牛さん! カモン! こっちにおいでー! 怖くないよー!」

『大歓迎!』

「あなたがどんなに残酷でーも、私だけはー」

『あなたの味方!!』

「牛さん、私の手を取って。そしたらあなたは」

『一生安泰!!』

「おいでー、おいでー、怖くないよー、ここはあなたのパラダイス」

『はいっ!!』

「とってもつらーいことがあっても、私がぜーんぶカタルシス!」

『はいっ!!』

来るぞ……敵の心を鷲掴みにする彼女の必殺技が!!

「牛さん!」

『牛さん!!』

「自分のことは!」

『自分のことは!!』

「自分で決めた方がいいよー」

『いいよー』

「だってー、そうした方がさー」

『方がさー』

「絶対! あなたは! 成長できる!!」

「ブモォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

「さぁ、さぁ、みんなで!」

『みんなで!!』

「今日も! 全てを照らそう!」

『照らそう!!』

「そしたら世界は!」

『世界は!!』

「ぜーったい! シャイニングハッピー!!」

『ハッピー!!』

ここから全員でラーだな。

『ラーラー、ララララ、ラララララララ!』

『ラーラー、ララララ、ラララララララ!』

『ラーラー、ララララ、ラララララララ!』

『ラーラー、ララララ、ラララララララ!』

「最後にみんなで一緒に叫ぼう! 私は死ぬまで光り耀く! この約束はー、必ず守る! だってー、私はみんなを照らす! 最強無敵の生涯アイドル! だーから、私は今日も進むよ、あしたに向かって日進月歩! そーんな、私の名前はなあに?」

『まぶしすぎるアイドル! シャイニング!!』

「その! 通りー!! ということでー! 今日はー! これでー! おしまーい!! はい! みんな一緒にー!!」

『ちゃん、ちゃん♪』

「ブモォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

「討伐完了。Mシステムを停止します。お疲れ様でした」

黒い牛は浄化後、昇天した。それと同時に町が一つなくなった。彼女の強すぎる力の反動というか副作用みたいなものだ。

「くっそー! 今回はいけると思ったのにー!!」

「んー? もしかしてあなたも私の歌で昇天したいのかなー?」

「違う! では、さらばだ!!」

「あっ! 逃げた! はぁ……こういう時、お姉ちゃんがいてくれたらなー」

「ありがとう、光耀。だが、しばらくアイドル活動に専念してくれ」

「はーい⭐︎」

その後、町は俺たち四人で直した。
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