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いずれ風になる者、リバレイティング

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 自由はいいぞー。人と話さなくていいし、学校行かなくていいし、仕事しなくていいし、お金の心配をする必要もない。まあ、その代わり自分に関する情報を全部消さないといけないんだけどな。

「おーい! 天狗風てんぐかぜー!! 力を貸してくれー!! お前の力が必要なんだー!!」

 うるさいなー。お前一人でどうにかなるだろ。

「今回の討伐対象、水属性だから俺との相性最悪なんだよ!!」

 そうだな、お前は火だもんな。

「天狗風! 暇なら手伝え! 今日はお前以外みんな忙しいんだよ!!」

 みんな忙しい、か。よし、なら、俺の出番だな。
 民家の屋根の上で昼寝をしていた俺は久しぶりに誰かのために動こうと決めた。

「よし、じゃあ、行こうか。万事解決! Mシステム!!」

「Mシステムを起動します。長時間の使用や大技の連発はお控えください」

「オッケー!」

 俺は屋根からジャンプしながら風になる。よおし、そんじゃあ、風向き変えてやるか!!

「おーい! そいつをやればいいのかー!!」

「おお! 天狗風! 来てくれたのか!!」

「まあなー。で? その、イモムシが今回の討伐対象か?」

「ああ! そうだ! こいつが羽化する前に倒してくれ!!」

「羽化する前に倒す? それは変身前のヒーローを倒すのと同じじゃないか」

「そ、それはまあ、そうだな。でも、早めに倒しておかないと被害が」

「被害? そんなの俺がなんとかしてやるから早くそいつを羽化させようぜ!!」

「バカ! そんなことしたら俺の火が完全に無効化されるぞ!」

「その時は俺がなんとかしてやるよ。それー! 海に落ちろー!!」

天狗風は水イモムシを海まで吹き飛ばした。

「バカー! アホー! ニートー!!」

「残念! 俺はたまーに台風を消滅させてるからニートじゃありませーん!!」

「そうかよ! というか、さっさとあいつを倒してくれ!!」

「あっ、サナギになった。早く羽化しないかなー」

「俺の話を聞けー!!」

 水イモムシは水サナギになった後、水アゲハになった。

「かっこいい! かわいい! そしてでかい! いいね! いいねー! 俺はこういうのと戦いたかったんだよ!!」

「もういい! お前の好きにしろ! あっ! でも、助けてほしい時は言えよ! 援護くらいはするから!!」

「オッケー! いけ! 風の大旋風!!」

「ヤー!!」

幼女型の風が水アゲハに襲いかかる。

「フリュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!」

水アゲハは風の娘めがけて勢いよく海水を解き放つ。

「負けるな! 風の娘! 頑張れー!!」

「ヤー! ヤァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

風の娘が少し大きくなる。彼女は水アゲハが水の勢いを強める前に水アゲハめがけて突撃した。

「フリャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

風の娘が水アゲハを貫くとやつの断末魔が港中に響いた。

「よっしゃー! 大! 大! 大勝利!! 自由は必ず勝ーつ!!」

「討伐完了。Mシステムを停止します。お疲れ様でした」

「あっ、やべ。俺まだ空中にいるんだった。あーれー」

俺は落下する天狗風を受け止める。

「大丈夫か? 天狗風」

「あ、ああ。ん? というか、なんでお前のMシステムだけまだ停止してないんだ?」

「そんなこと俺が知るか」

「そっかー。というか、なんでお姫様抱っこしてるんだ?」

「ただのリハーサルだ」

「リハーサルねー。それよりなんか食べに行こうぜ!!」

「金は持ってるのか?」

「ない。Mシステムしかない」

「そうか。じゃあ、Mシステムで払える店に行くか」

「ああ!!」

 うーむ、火をなんとかするためにイモムシと水を親にしたら風が来てしまったと……。よし! じゃあ、次は〇〇を親にしよう!!
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