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本編
17日目
しおりを挟むまた目が覚めたとき、隣にいたのは大好きな人の顔。
泣いたのか、目の下が黒い。
「…俺って、そんなに頼りなかった?」
彼が言った言葉に、理解した。
彼は、全て知ったのだ。
「……せめて、お前の口から聞きたかった」
立ち上がった彼に、引き留める言葉なんて見つからなかった。ただ、傷付けたくないという思いが余計に煌夜を傷付けてしまった。
「ごめんなさい…」
泣く権利なんてないのに、涙があふれた。
***
咲良が死ぬとか、そんなことは一度も考えたことはない。だって隣にいるのが当たり前だったから。
「…くそっ…」
一番辛いのは咲良だと分かっているのに、どうしてこんなに苦しいんだろう。
それはきっと、彼女のことを全て知っているつもりでいたからだ。そんな自分が本当に恥ずかしい。不甲斐なくて泣くどころか、いっそ笑えてしまう。
(…好きだから、一番知っていたかったのに)
医者でも親でもない、全く関係ない、彼女を好きだという男から聞いたこと。
どうして、急に俺に浮気をやめてと言ったのか。どうして急に、優しくなったのか。どうして急に、甘えたりしてきたのか。
それは俺に伝えず知らせず、最後まで俺の側にいようとしてくれたからじゃないのか。
どうして俺は、こんなにも頼りない彼氏なんだろう?
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