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 嫌です、やめてください。その言葉を何度吐かれようと、私は気にせず、無理矢理ミリアを襲った。自分の行為を最低かもしれないとは思ったが、間違っていたとは言えない。
 ミリアと私は夫婦なのだ。未婚の女を襲ったわけでもない。むしろ無理矢理するハメになったのは、ミリアが悪い。他の男の名前を出し、その男を好きだと言い出した。挙句私とは離縁すると言い出すのだから。
 何年も恋をしていた。
 たった一人で。


***


 ミリアが迎えられる頃には正妃を迎えており、ミリアは側室として王城に入ることとなった。
「愛しているよ、ミリア。ずっと一緒にいよう」
「私もですわ、ウィリアム殿下」
 確かに愛し合っていた。それこそ夫婦になれなことが嬉しくて、初夜はミリアが気を失ってもどうでも良くなるくらい抱き潰した。もう永遠に離す気はないと思っていたのだ。

 問題が発覚したのは次の日のことだった。

「気分が優れないのでお帰り頂けますか」
 そう言われた時は信じられないと思った。もう少し色んな話をして、抱き締めたいと思ったのに。まさか追い返されるなんて。
 それでも本当に体調が悪かったのだろうと、日を改める事にした。
 けれど明らかにミリアは冷たくなり、いつしか自分の気持ちが一方通行になっていることに気が付いた。
 何故ミリアが自分への気持ちに冷めてしまったのか、それは分からない。けれどミリアが他の男を見るたびに苛立ちが込み上げてきて。その頃、一つの夢を見た。夢の中のミリアが笑ってこう言うのだ。
『私、この方と結婚します。貴方とのことは過去のこと。離縁して、私を解放してください』
 悪夢だった。けれど段々と怖くなってしまったのだ。もしも本当にミリアから離縁しろと言われたら耐えられないとおもった。だから、ミリアから距離を置いた。ミリアから会いに来てくれる日を待った。ずっと、待ち続けた。
 けれど彼女が私に会いに来ることなど無く、私の近況を聞く様子もない。そればかりか、武官の男を格好良いと言っているところまで見てしまった。
 あの夢がフラッシュバックした。ミリアの連れて来た男が、その武官に当てはまる気がした。
 だから彼女に部屋へこもるように通達を出した。もしかしたら文句を言いにでも、会いに来てくれるかもしれない。
 そんな淡い期待は叶うこと無く、ミリアは私の存在など、忘れているようだったのだ。
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