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しおりを挟む眠る前に睡眠導入効果のある紅茶を飲むようになった。それを飲まなければ眠れなくなっていた。
今はアリシアがいるけれど、一人だった時間が長すぎて、中々不安というものは消えない。
「アリシア、もう寝るわ」
「承知しました。では、私は外におりますので」
「…ねぇ、アリシアっていつ寝てるの?」
四六時中側に居てくれるのは有難いけれど、そろそろアリシアの身体が心配だ。
「仮眠を取ることが増えましたので、ご心配なさらないで下さい」
「仮眠って、社畜じゃあるまいし」
「は?シャチク?」
「……何でもない」
さて、寝よう。そう思ってベッドの上にダイブしようとした瞬間。
部屋を出て行ったアリシアの焦る声が聞こえる。
「ミ、ミリア様、殿下がお見えになっておりますが」
「………」
幻聴が聞こえた気がする。そう、これは幻聴に違いない。私はもう寝るのだ。灯りも消したし。
もしも本当に来ていたとしても、寝ていると分かったら帰ってくれるだろう。
「ミリア様、あの…失礼します」
恐る恐る入ってきたのがアリシアだと分かったから起き上がったのに。バッチリ殿下と目を合わせてしまった。
「……起きていたのか」
起きていたのか、じゃない!勝手に部屋に入ってくるとは何事か!!
…あ。私まだこの人の奧さんなのか。うん、でも夫婦にもプライバシーってものか……日本で夫婦というものは一緒に寝るイメージしかないのだけれど。どうなんだろう。でも私、側室だし。一緒に寝るものなのか?
っていうか気まぐれで来るなって思うのは私だけ?女をただの暇潰しと思っているのか?
「…これは殿下。このような夜更けに何の御用ですか?」
若干冷たい言葉になってしまったのも仕方ない。眠ろうと目を閉じたのに起こされたのだから。
「…用がなければ来るなと言いたいのか?」
怒りを孕んだ声。…いや、ね?怒りたいのはこっちなんだけど?なんでアンタが怒ってるの?
「……申し訳ございません。体調が優れませんもので」
「…医師を呼ぼう」
「いえ、結構です」
貴方の顔を見てから体調が悪くなったので、とは言わない方がいいかな。いいよね。
「…今日はここで寝ようと思ったのだが」
断固拒否する!!!
「申し訳ございません。もしも殿下に不調を移してしまってはいけませんので、どうぞお帰り下さい」
にっこりと笑いかけると、そうか、と呟いてウィリアムが部屋を後にした。
よし、やっと眠れる。そう思った瞬間、また。
「ミリア様、殿下が医師を呼ばれたようですが」
…もう眠たいのですが、寝ちゃダメですか?
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