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しおりを挟む「うっ、わー…」
一人で街へ出るのは初めてだけれど、ここもだいぶ変わったなぁ。異国の物で溢れている。
「…お」
香ばしい匂いに釣られて来てみれば。
「スーシーさんの焼きたてパンはいかが~!?」
いい感じのパンを見つけましたよ。
屋台ってところにロマンを感じるね。何ていうか、古き良きっていうの?前世でも私は屋台もの好きだったんだよね。石焼イモとか聞こえたら走って買いに行ったし、銭湯帰りのラーメンとかもよかったよねぇ。
「すみません」
「あら、いらっしゃい」
「この木の実パンっていうの、何日くらい保ちますかね?」
私がここですべきことは一つ。数日分の食料を確保しておくことだ。
「そうねぇ。涼しいところに保存したら、四日くらいかしら」
「買った!!このパン、十個包んでくださいな!!」
「まいどありー」
ふふふふふ、侍女や正妃様よ。私はお前たちの思惑には引っかからないぜ。
それにしてもミリアはどうして、あんな顔だけの殿下に惹かれたのかしら。思い出せないけど、多分甘い言葉の一つでも囁かれて浮かれてたんでしょうよ。
「それにしてもアンタ、変わってるね」
「へ?」
屋台パンのスーシーさんが変な顔をして尋ねてくる。
「見た限り、いいとこの嬢ちゃんでしょうに」
「……分かるもんなんですね」
さっきからジロジロ見られてたけど、それが原因かな?
「そりゃあね。その服、貴族様にしちゃ粗末だけど、いい布使ってるじゃないの」
「え、これが?」
いつも着ていたのよりゴワゴワしてるけど。貴族様の服に慣れてしまった私ですが、これでも頑張って着てるんです。
あ、でも。平民の男と駆け落ちするなら、それなりに慣れておいたほうがいいかも。
「あのぅ。お手数なんですが…」
ということで行って参りました。服屋さん。スーシーさんオススメの服屋で買って来ましたよ。
着替えてからは見られることも減ったけれど、やはり見られるのはこの顔ね!!今世は可愛らしく生まれてよかったよ!
まぁ、その結果が孤独で無力な側室だったわけだけどさ。
「パンは買った、飲料も確保した。それから…」
ふふふのふ。私の駆け落ち計画を甘く見るでない。いやまぁ、相手の男は見つかってないけど。見つかるであろうことを想定して、街のギルドで銀行口座を作って参りました!
名前はそのまま、ミリア。さすがの額に受付員は変な顔をしていたけどノープロブレム!
さて、とりあえず今日は帰りましょう。
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