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33,心のうちを
しおりを挟む「カイン兄上の部屋に行ったとか聞いたけど。…なんで?」
「ルイス、勘違いしないで。リーザさんの話をしただけよ」
「…リーザがどうかしたのか。兄上とは別れて、ブラウンと結婚すると聞いたが」
「なさいませんよ。…私はただ、カイン様の…義兄様の本当の気持ちをはっきりさせに行っただけよ」
そう言ってふふっと笑うヒューリアに、ルイスはやれやれとため息をついた。
「君に敵う日などくるのかな」
「あら、賭けでもなさいますか?」
「なにを?」
「私が貴方との口論で負ける日がくれば、貴方の望むものを何でも」
「口論などないことを願うけれど」
「喧嘩もない夫婦なんて、面白くないではありませんの」
「喧嘩するほど仲がいい、だっけ」
「…そうですわね」
ほうっとまたため息をついて、ヒューリアが窓の外へ見る。
「皆、もう少し心のうちをお話するべきですもの」
「…相手を傷付けることになっても?」
「話そうと思うくらいなら、受け止めてもらえる自信があるのでしょう」
「……君の言う通りだな」
「貴方のことも言っているのよ」
「僕?」
「もう少し、義兄様と話した方がよろしくてよ」
「…そうだな。もう何年も、ろくに話してなどいない。僕は嫌われているから」
「義兄様は貴方を嫌ってなどいないわ」
ただ。ただ、あの人は寂しかっただけ。居場所のない日々が、暗い世界が、あの人を押し潰そうとしていただけ。
「ただ、貴方が羨ましかっただけだわ」
「ーー君がそう言うなら、…一度くらい、茶を飲むのも悪くないかもしれない」
そこでようやく、ルイスも笑った。
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