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1章 地の試験
2話 初めての戦い
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僕は目が覚めると森の中で眠っていた。
随分長いこと眠っていたような気がする。
たしか、レンってやつに会って、転生のための試験を受けろって言われて……。
混乱した頭で今の状況を整理する。
僕は死んだ。転生するためには試験を受けなければいけない。おそらくここがその私見を受けるための舞台。僕は試験を受けるためここに連れてこられた。
だいぶ状況が整理できてきたと思う。
僕は身体を起し、周りの状況を確認してみる。
周りには木や草しかない。どうやら森の奥にでも飛ばされたらしい。
レンとかいう奴。天使とか言ってたっけ?何もこんなところに飛ばさなくていいのに。これも試験ってやつの一環なのか。
「レン!いないの?」
あたりにレンが見当たらなかったため叫んでみるが出てくるはずもない。
とりあえずこの森を歩いてみよう。そう思い、足を踏み出した時だった。
草陰から気配がした。僕はウサギか何かかと思い手を伸ばした。
その瞬間、手に強烈な痛みが走った。見てみると手から血がしたたり落ちていた。
僕は慌てて目の前の何かを見る。目の前に立っていたのはうさぎのような可愛いものではなかった。
よだれを垂らしたオオカミ。それが獲物を見る目で僕を見ていた。
おそらくこいつに引掻かれた。
蛇に睨まれた蛙とはまさにこのことをいうんだろう。ぼくは身体が動かなかった。
この状態で死んだらどうなるんだろう。僕が2度目の死を覚悟した時、頭の中に声が響いた。
「大丈夫。君には力を与えたからね。君が背負っている剣を使ってみて。君なら勝てるよ。」
頭の中で声が反芻する。レンの声だった。
僕は背中に手を当てた。そこには大きな剣があった。
剣を思い切り引き抜く。それは思ったよりも軽く簡単に引き抜かれた。
剣を持ってオオカミの化け物と対峙する。
オオカミは鋭い眼光で今にも飲み込まれそうだ。でも不思議と恐怖は感じない。
オオカミは狙いを定め、僕に飛びかかってきた。
追い込まれた人間は強い。本当にそう思う。
僕は飛びかかってきたオオカミに対し剣で引き裂く。
オオカミの返り血が僕の服にはねる。その時確信した。
僕は勝ったのだと。
勝利の確信を持ちつつ、オオカミの方を見ると真っ二つになり絶命していた。
頭の中でレンの声が響く。
「やるねえ。リック。君ならできると信じていたよ。最初だからサービスね。」
リックの前にカラフルな石が現れた。
「この石には特別な力があってね。石をケガした場所に当てるとたちまち傷が治るのさ。まあ治せる傷にも限度があるけどねー。」
リックはレンに言われた通り石を引搔かれた手に当てる。すると光が出てたちまち傷がふさがった。
「さっきの化け物はいったい何なの?ここはどういう場所なの?さっきの力は何?」
リックの頭に浮かんだ疑問をレンにぶつける。
「僕はこの森の出口で待ってるよ。知りたかったら出口を目指すといいよ。でもさっきみたいなのがこの森にはうようよいるから気を付けてね。」
しかしレンはそう言ったきり声が聞こえなくなった。
「とりあえずこの森を出よう。レンってやつもいるみたいだしね。」
僕は決意を新たに森を歩き始めた。
随分長いこと眠っていたような気がする。
たしか、レンってやつに会って、転生のための試験を受けろって言われて……。
混乱した頭で今の状況を整理する。
僕は死んだ。転生するためには試験を受けなければいけない。おそらくここがその私見を受けるための舞台。僕は試験を受けるためここに連れてこられた。
だいぶ状況が整理できてきたと思う。
僕は身体を起し、周りの状況を確認してみる。
周りには木や草しかない。どうやら森の奥にでも飛ばされたらしい。
レンとかいう奴。天使とか言ってたっけ?何もこんなところに飛ばさなくていいのに。これも試験ってやつの一環なのか。
「レン!いないの?」
あたりにレンが見当たらなかったため叫んでみるが出てくるはずもない。
とりあえずこの森を歩いてみよう。そう思い、足を踏み出した時だった。
草陰から気配がした。僕はウサギか何かかと思い手を伸ばした。
その瞬間、手に強烈な痛みが走った。見てみると手から血がしたたり落ちていた。
僕は慌てて目の前の何かを見る。目の前に立っていたのはうさぎのような可愛いものではなかった。
よだれを垂らしたオオカミ。それが獲物を見る目で僕を見ていた。
おそらくこいつに引掻かれた。
蛇に睨まれた蛙とはまさにこのことをいうんだろう。ぼくは身体が動かなかった。
この状態で死んだらどうなるんだろう。僕が2度目の死を覚悟した時、頭の中に声が響いた。
「大丈夫。君には力を与えたからね。君が背負っている剣を使ってみて。君なら勝てるよ。」
頭の中で声が反芻する。レンの声だった。
僕は背中に手を当てた。そこには大きな剣があった。
剣を思い切り引き抜く。それは思ったよりも軽く簡単に引き抜かれた。
剣を持ってオオカミの化け物と対峙する。
オオカミは鋭い眼光で今にも飲み込まれそうだ。でも不思議と恐怖は感じない。
オオカミは狙いを定め、僕に飛びかかってきた。
追い込まれた人間は強い。本当にそう思う。
僕は飛びかかってきたオオカミに対し剣で引き裂く。
オオカミの返り血が僕の服にはねる。その時確信した。
僕は勝ったのだと。
勝利の確信を持ちつつ、オオカミの方を見ると真っ二つになり絶命していた。
頭の中でレンの声が響く。
「やるねえ。リック。君ならできると信じていたよ。最初だからサービスね。」
リックの前にカラフルな石が現れた。
「この石には特別な力があってね。石をケガした場所に当てるとたちまち傷が治るのさ。まあ治せる傷にも限度があるけどねー。」
リックはレンに言われた通り石を引搔かれた手に当てる。すると光が出てたちまち傷がふさがった。
「さっきの化け物はいったい何なの?ここはどういう場所なの?さっきの力は何?」
リックの頭に浮かんだ疑問をレンにぶつける。
「僕はこの森の出口で待ってるよ。知りたかったら出口を目指すといいよ。でもさっきみたいなのがこの森にはうようよいるから気を付けてね。」
しかしレンはそう言ったきり声が聞こえなくなった。
「とりあえずこの森を出よう。レンってやつもいるみたいだしね。」
僕は決意を新たに森を歩き始めた。
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