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第1章 華麗なる冒険者ライフ
【4ー1】危ない奴はいつも突然やってくる
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僕はパーティー追放にあったばかりのヴァンさんをどうにかこうにか仲間にすることができた。もうこれは僕の話術が光ったね!
でも、ヴァンさんはなんだか疲れたような顔をしていた。ヴァンさんをパーティーから追放した人達はなんだか妙な顔をしてヒソヒソ話していたけど、別に気にしなくてもいいかな。
さて、これで僕のパーティーは三人になった。
これでやっと【大量発生しているスライム討伐】ができるようになるぞ。
「スライム、ですか。一体一体はたいして強くは、いえぶっちゃけとっても弱いモンスターですけど大量発生しているとなると話は変わってきますね」
「正直、二つ星が二人いれば簡単にこなせるクエストだな。リーダーはまだ駆け出しだから一つ星なのはわかるが、そっちの姉さんはどうなんだ?」
「え? 五つ星ですけど?」
「最高ランクじゃねーかよ! ぶっちゃけ姉さん一人でできるクエストだぞ!」
「そうだけど、アリサには見ていてほしいなって思っているよ。アリサが頑張っちゃうと僕が成長できないし」
「まあ、なんて志しが高いお考えを! アリサ、感激しております。もう全力で見ておりますよ!」
「あーっと、いろいろとツッコみたいことがあるんだが、まあいいや。つまりのところ、自分自身の成長のためにこのクエストを受けたいってことか?」
「はい。僕、まだまだ弱いですし。それに、やりたいことをするにはもっと強くなりたいんです!」
そう、アリサよりも強くなっていっぱい悪いことをするんだ。そのためには今のままじゃいけない。弱いと弱いで強い人に対抗できないし、逆に搾取されてしまう可能性もある。
だから僕は強くなりたい。みんなが逆らえないほど、強くなって悪いことをするために。
「なるほど、たいした心意気だな。わかった、お前の修行を手伝ってやるよ」
「本当ですか!?」
「ああ。本当にヤバくなるまで見守っててやるよ。そうだな、スキルを使っていい感じに負荷もかけてやる」
「ありがとうございます! あ、そういえばスキルってみんなに影響するんですよね? それって僕の生命力も削っちゃうんですか?」
「そんなことはない。ただまあ、面倒な制約がある。その制約があって詳しく話せないってことだけは伝えておこうか」
「そうなんですか。よくわかりませんが、お付き合いしていただきありがとうございます」
ヴァンさんは笑っていた。どうやら彼が抱いている警戒心をちょっとだけ解くことができたかも。
あ、でもアリサは違っていた。というかすごい殺気をヴァンさんに向けている。
なんでそんなに敵視をしているのだろう。よくわからないけど、あとで注意をしておこうかな。
「それじゃあ、張り切っていこう!」
「「おー」」
こうしてなんやかんやを経て、僕達はスライムが大量発生している【ボルル平原】へ向かうことになる。
どんなことが起きるのか。無事に終わるのか、大きなトラブルが起きるのか。
いろんなことを想像し、胸が膨らませながらギルドを後にしようとした、その時だった。
「気をつけて」
誰かとすれ違う瞬間、そんな言葉がかけられた。振り返るとそこには長くキレイな黒髪を揺らし、去っていく少女の後ろ姿がある。
誰だろう、と僕は感じる。だけど、去っていく彼女に声をかける前にアリサに呼ばれてしまった。
「レイン様、早く早くー」
「うん、今行くよー」
僕はみんなの元へ走っていく。名の知らない彼女の言葉が気になりながらも、ボルル平原へ出発したのだった。
★★★★★
ボルル平原――そこは僕が現在、拠点にしている目の前に広がっている平原の名前だ。様々なモンスターが生息しており、それは他と比べて比較的弱いモンスターが群生している場所でもある。
といっても、中にはとんでもなく強い特殊個体がいたり、名前を持っているモンスターも存在するから一概に安全とは言えないらしいけどね。
そんな場所には当然ながらスライムもいる。他のモンスターよりは弱いけど、それでも大量発生したら脅威が生まれちゃうそうだ。
その脅威というものが、スライム達が合体して誕生する【キングスライム】というモンスターだ。名前の通り、スライムの王様でその強さはスライムとは比べ物にならないほど強い。だからそうならないためにスライムを倒して数を減らさなきゃいけないみたいなんだ。
だから今回のクエストが出された。どれぐらいスライムを倒せばいいかわからないけど、ヴァンさんいわくライセンスが教えてくれるらしい。
ということで、ライセンスが知らせてくれるまで僕はスライムを追いかけ回すことになる。
「待てぇー!」
「プルルゥッ」
「待て待てぇー!」
「プルプルゥッ」
「攻撃が全然当たってないぞ、レイン」
「レイン様、みぎみぎー」
「何やってんだ。もう反対側に逃げたぞ」
「ああん、かわいい。今すぐ食べちゃいたいですー」
「レイン、頑張らないとブラコンに食われるぞ」
「もぉ、集中できないよ! ちょっと静かにしてて!」
くぅ、いっぱい追いかけ回しているのに倒せたスライムは二体だけ。これじゃあ日が暮れてもクエストが終わらないよ。
このままじゃあ晩ご飯が食べられないどころか、宿でゆっくり寝ることもできない。
「レイン、後ろに行ったぞー」
「わっ」
「ああん、レイン様がスライムに捕まった。このままじゃ服が溶かされちゃうわ。ハァハァッ」
「レイン、本格的にどうにかしろ。じゃないとブラコンにマジで食われちゃうぞー」
「そんなのヤだぁー!」
僕はもがく。もがいてもがいて、どうにか絡みついていたスライムから脱出した。
うぅ、身体がベトベトだ。お金がないからあんまりお風呂に入れないんだぞ、くそー。
「だいぶ苦戦しているな。そろそろ加勢するか」
「いえ、まだ大丈夫です。レイン様は強いですから」
「見た限りはスライムの動きを予測できてないからな。まあ、慣れてなさそうだから仕方ないことだが」
「ですから必要ありません。レイン様はこの試練を必ず乗り越えてくれますから」
「ここで手を出したら今後に関わるか。ま、それなら仕方ないか。ギリギリまで見守らせてもらうよ」
くそー、スライムが全然捕まらない。そんなに素早く動いているように見えないのに、どうしてなんだ?
ずっとぴょんぴょん跳び回っているだけにしか見えないけどなぁー。
うーん、何かあるのかな。その、スライムの癖とか。
「あっ」
あのスライム、ちょっとだけ跳ぶ高さが変わったぞ。若干低くなった瞬間に右に曲がった。あのスライムは高く飛んだ瞬間に左に曲がったよ。あ、あれは笑顔になった瞬間に転がり始めた。
他のスライムも同じ感じで行動している。これは、もしかして――
「よぉーし」
試してみよう、と思って僕は体勢を立て直す。まずは近くにいるスライムからだ。
ぴょんぴょんと跳び回っている。僕が追いかけ始めると、そのスライムは若干低くジャンプした。
それを確認した僕は先回りするように右へ曲がる。するとスライムは驚いたのか、慌てて後ろを振り向き逃げようとしたんだ。
「お? レインが先回りした」
「ふふ、言った通りでしょう。レイン様なら乗り越えられるって」
完全にわかったぞ。
スライム、いやモンスターの動きにはちょっとした特徴があるんだ。それさえ見抜けば、簡単にどう動くのかわかる。
「やぁっ」
「ピギャー」
スライムの行動を把握した僕は攻撃した。するとそれは見事に炸裂し、倒すことに成功する。
これで三体目。スライムの行動の癖を把握できたし、これからはサクサク倒せるぞ。
「待てぇー」
「ピギィーッ」
僕はスライムを追いかけ回す。その間に四体、五体と討伐数を増やしていった。
完全にスライムの行動を把握したから、もうサクサクと倒せるようになる。その姿を見ていたヴァンさんは驚いた顔を浮かべ、同時に感心しているようにも見えた。
ふふ、どうだ。これが僕の力だ。
そう心の中で自慢しつつ、スライムを倒していく。気がつけばたくさんのスライムを倒しており、その数はざっと五十体を超えていた。
『クエスト完了です。お疲れ様でした』
僕が倒したスライムを見つめているとライセンスからそんな音声が放たれる。どうやらスライム討伐はこれで終わりらしい。
やったね、なんだか強くなった気もするよ。
僕は見守ってくれていた二人に手を振り、そのまま合流しようとした時だった。
『警告、警告、警告! 強個体が接近。ただちにこの場から離脱してください!』
ライセンスが突然騒ぎ始める。
警告って、なんだ?
そんなことを思っていると大きな影が僕の身体を飲み込むように差した。
後半に続く!
でも、ヴァンさんはなんだか疲れたような顔をしていた。ヴァンさんをパーティーから追放した人達はなんだか妙な顔をしてヒソヒソ話していたけど、別に気にしなくてもいいかな。
さて、これで僕のパーティーは三人になった。
これでやっと【大量発生しているスライム討伐】ができるようになるぞ。
「スライム、ですか。一体一体はたいして強くは、いえぶっちゃけとっても弱いモンスターですけど大量発生しているとなると話は変わってきますね」
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「あーっと、いろいろとツッコみたいことがあるんだが、まあいいや。つまりのところ、自分自身の成長のためにこのクエストを受けたいってことか?」
「はい。僕、まだまだ弱いですし。それに、やりたいことをするにはもっと強くなりたいんです!」
そう、アリサよりも強くなっていっぱい悪いことをするんだ。そのためには今のままじゃいけない。弱いと弱いで強い人に対抗できないし、逆に搾取されてしまう可能性もある。
だから僕は強くなりたい。みんなが逆らえないほど、強くなって悪いことをするために。
「なるほど、たいした心意気だな。わかった、お前の修行を手伝ってやるよ」
「本当ですか!?」
「ああ。本当にヤバくなるまで見守っててやるよ。そうだな、スキルを使っていい感じに負荷もかけてやる」
「ありがとうございます! あ、そういえばスキルってみんなに影響するんですよね? それって僕の生命力も削っちゃうんですか?」
「そんなことはない。ただまあ、面倒な制約がある。その制約があって詳しく話せないってことだけは伝えておこうか」
「そうなんですか。よくわかりませんが、お付き合いしていただきありがとうございます」
ヴァンさんは笑っていた。どうやら彼が抱いている警戒心をちょっとだけ解くことができたかも。
あ、でもアリサは違っていた。というかすごい殺気をヴァンさんに向けている。
なんでそんなに敵視をしているのだろう。よくわからないけど、あとで注意をしておこうかな。
「それじゃあ、張り切っていこう!」
「「おー」」
こうしてなんやかんやを経て、僕達はスライムが大量発生している【ボルル平原】へ向かうことになる。
どんなことが起きるのか。無事に終わるのか、大きなトラブルが起きるのか。
いろんなことを想像し、胸が膨らませながらギルドを後にしようとした、その時だった。
「気をつけて」
誰かとすれ違う瞬間、そんな言葉がかけられた。振り返るとそこには長くキレイな黒髪を揺らし、去っていく少女の後ろ姿がある。
誰だろう、と僕は感じる。だけど、去っていく彼女に声をかける前にアリサに呼ばれてしまった。
「レイン様、早く早くー」
「うん、今行くよー」
僕はみんなの元へ走っていく。名の知らない彼女の言葉が気になりながらも、ボルル平原へ出発したのだった。
★★★★★
ボルル平原――そこは僕が現在、拠点にしている目の前に広がっている平原の名前だ。様々なモンスターが生息しており、それは他と比べて比較的弱いモンスターが群生している場所でもある。
といっても、中にはとんでもなく強い特殊個体がいたり、名前を持っているモンスターも存在するから一概に安全とは言えないらしいけどね。
そんな場所には当然ながらスライムもいる。他のモンスターよりは弱いけど、それでも大量発生したら脅威が生まれちゃうそうだ。
その脅威というものが、スライム達が合体して誕生する【キングスライム】というモンスターだ。名前の通り、スライムの王様でその強さはスライムとは比べ物にならないほど強い。だからそうならないためにスライムを倒して数を減らさなきゃいけないみたいなんだ。
だから今回のクエストが出された。どれぐらいスライムを倒せばいいかわからないけど、ヴァンさんいわくライセンスが教えてくれるらしい。
ということで、ライセンスが知らせてくれるまで僕はスライムを追いかけ回すことになる。
「待てぇー!」
「プルルゥッ」
「待て待てぇー!」
「プルプルゥッ」
「攻撃が全然当たってないぞ、レイン」
「レイン様、みぎみぎー」
「何やってんだ。もう反対側に逃げたぞ」
「ああん、かわいい。今すぐ食べちゃいたいですー」
「レイン、頑張らないとブラコンに食われるぞ」
「もぉ、集中できないよ! ちょっと静かにしてて!」
くぅ、いっぱい追いかけ回しているのに倒せたスライムは二体だけ。これじゃあ日が暮れてもクエストが終わらないよ。
このままじゃあ晩ご飯が食べられないどころか、宿でゆっくり寝ることもできない。
「レイン、後ろに行ったぞー」
「わっ」
「ああん、レイン様がスライムに捕まった。このままじゃ服が溶かされちゃうわ。ハァハァッ」
「レイン、本格的にどうにかしろ。じゃないとブラコンにマジで食われちゃうぞー」
「そんなのヤだぁー!」
僕はもがく。もがいてもがいて、どうにか絡みついていたスライムから脱出した。
うぅ、身体がベトベトだ。お金がないからあんまりお風呂に入れないんだぞ、くそー。
「だいぶ苦戦しているな。そろそろ加勢するか」
「いえ、まだ大丈夫です。レイン様は強いですから」
「見た限りはスライムの動きを予測できてないからな。まあ、慣れてなさそうだから仕方ないことだが」
「ですから必要ありません。レイン様はこの試練を必ず乗り越えてくれますから」
「ここで手を出したら今後に関わるか。ま、それなら仕方ないか。ギリギリまで見守らせてもらうよ」
くそー、スライムが全然捕まらない。そんなに素早く動いているように見えないのに、どうしてなんだ?
ずっとぴょんぴょん跳び回っているだけにしか見えないけどなぁー。
うーん、何かあるのかな。その、スライムの癖とか。
「あっ」
あのスライム、ちょっとだけ跳ぶ高さが変わったぞ。若干低くなった瞬間に右に曲がった。あのスライムは高く飛んだ瞬間に左に曲がったよ。あ、あれは笑顔になった瞬間に転がり始めた。
他のスライムも同じ感じで行動している。これは、もしかして――
「よぉーし」
試してみよう、と思って僕は体勢を立て直す。まずは近くにいるスライムからだ。
ぴょんぴょんと跳び回っている。僕が追いかけ始めると、そのスライムは若干低くジャンプした。
それを確認した僕は先回りするように右へ曲がる。するとスライムは驚いたのか、慌てて後ろを振り向き逃げようとしたんだ。
「お? レインが先回りした」
「ふふ、言った通りでしょう。レイン様なら乗り越えられるって」
完全にわかったぞ。
スライム、いやモンスターの動きにはちょっとした特徴があるんだ。それさえ見抜けば、簡単にどう動くのかわかる。
「やぁっ」
「ピギャー」
スライムの行動を把握した僕は攻撃した。するとそれは見事に炸裂し、倒すことに成功する。
これで三体目。スライムの行動の癖を把握できたし、これからはサクサク倒せるぞ。
「待てぇー」
「ピギィーッ」
僕はスライムを追いかけ回す。その間に四体、五体と討伐数を増やしていった。
完全にスライムの行動を把握したから、もうサクサクと倒せるようになる。その姿を見ていたヴァンさんは驚いた顔を浮かべ、同時に感心しているようにも見えた。
ふふ、どうだ。これが僕の力だ。
そう心の中で自慢しつつ、スライムを倒していく。気がつけばたくさんのスライムを倒しており、その数はざっと五十体を超えていた。
『クエスト完了です。お疲れ様でした』
僕が倒したスライムを見つめているとライセンスからそんな音声が放たれる。どうやらスライム討伐はこれで終わりらしい。
やったね、なんだか強くなった気もするよ。
僕は見守ってくれていた二人に手を振り、そのまま合流しようとした時だった。
『警告、警告、警告! 強個体が接近。ただちにこの場から離脱してください!』
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