子成神社殺人事件～ダブったよ2024～

劇薬

ハンズアウト：山吹

キャラクター名： 山吹悠人
年齢：20代
性別：男性
目標：春原菫を、子成神社から救い出す。
敗北条件：春原菫の死亡が確定する。
特殊技能：選んだ部屋が調査されていた場合、見つかったた証拠を奪うことができる。
　　　　　奪われた相手は、蛭子に変装したのがあなただとわからない。
　　　　　ただし、自室の蛭子の衣装が見つかっていない場合に限る。
制限：自室の調査結果は柳、山吹のいずれに帰属するかは公開されない。

導入：
羽田空港の国際線ターミナルであなたを待っていたのは、馴染みのあるポニーテールの友人だった。
柳茶凛とあなたは大学の同期で、あなたが海外出張に行っている間も交流があった数少ない日本人の一人だ。

柳は言う。

「菫とは連絡はつかない？」

あなたは首を横に振る。

春原菫もまたあなたの大学の同期で、恋人である。
そんな菫は、1年半前のある日、「あなたは何も悪くないから、距離を置きたい」という一方的な連絡だけを残し、消息を絶っていた。
警察の捜索も芳しくなく、もどかしい思いに身をつまされる日々。
しかし、仕事の責任者でもあった山吹は、出張先から日本に戻ってこれずにいたのだ。
最新の彼女の姿は、2年半前に彼女が贈ってきた、自撮りしたと思われる巫女服の写真だけ。
こんなことになるなら、どこで働いているのか聞いておけばよかった。


そんな、あなたが日本に戻ってきたのには理由があった。
母親が今際の際だというのだ。
物心ついたころには離婚してシングルマザーとなっていた母は、女手一つであなたを大学に入れた。
病室に駆け付けたあなたの顔を見て、母はゆっくりと微笑み静かに眠りについた。

「ごめんね、もっと裕福な生活をさせてあげられたら」

それが最後の言葉だった。


あなたは、動かなくなった母の姿にぞっとした。
人はいつか、誰もが死ぬのだ。
なら、菫はどうなんだ？生きているのか？
いや、生きていると言えるのか？


やっとの思いで母の故郷での葬式を終えたあなたに、柳から連絡が来る。
菫は、某県の山中にある子成神社と言う場所で、少し前まで巫女として働いていたらしい。
神社の場所を特定し乗り込む準備を進めるあなたのスマホには、一通の通知が表示される。

それは、菫からだった。


「私は、子成神社にいる」
「ここは危険な場所、特に紫野と言う女には近寄らないで」
「●月〇日に、助けに来て」


こちらから返信をしても、それっきり返事はない。
あなたは柳とともに指定された日に、神社に行くことを決めた。
神社は奇しくも、母の故郷からそう遠くなかった。


･･･


バスから降り、鳥居をくぐって境内へと伸びる長い石段に足を掛けたその時だった。
再びスマホに菫から連絡が届く。

「会いに来てくれたんだね」

と書かれたメッセージを見て、足を止めるあなた。
菫は、どこかで見ているのだ。

他の参拝客に交じって階段を上り始めていた柳は、怪訝そうな顔であなたを覗き込む。
心配させまいと薄く笑い、山吹も一歩、また一歩と石段を上り始める。
菫の無事を確かめたい、その一心で。