子成神社殺人事件~ダブったよ2024~

八木山

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劇薬

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各々が手に新たに見つけたものを携えて食堂に集まる中、一人だけ一向に姿を現さないのだ。
業を煮やした誰かが言った。

「彼女を探すべきだ」

山吹を含めて彼女が探していた部屋を知る者はいなかった。
皆が手分けして探す中、1階で叫び声が上がる。
それは、紫野の部屋からだった。


黒木(ヒョロガリ社会人):
柳さんが倒れています!
誰か、こちらに来てください!


声を聞きつけた紫野が目にしたのは、青ざめた顔で白目を剥きダラダラとよだれを垂れ流している柳の姿だった。
必死に黒木が呼びかけるも、ピクリとも動かない。
紫野は、その姿に駆け寄るや否やと叫ぶのだった。


紫野(脇見せ巫女):
茶凛さん!茶凛さん、しっかりして!

黒木(ヒョロガリ社会人):
紫野さん、そのまま呼びかけ続けてください!
まだ息はあります!
自分、荷物を取ってきます!

紫野(脇見せ巫女):
ええ?荷物?
どうしてこんな時に!

黒木(ヒョロガリ社会人):
隠してましたが、私、なんです。
手荷物に何か使えるものがあるかもしれない!


そう言って、次々と紫野の部屋に集まる面々と入れ違いに走っていく黒木。
暫くして彼は皮のカバンを手に戻ってきた。
そして塩水やシーツの準備を指示しながら、彼はカバンを中身を床に広げた。
中から溢れ出てきたいくつもの薬瓶を手に取って、そのうちの一つに入っていた液体で注射器を満たし始める。


老竹(若者IS放火犯):
おうおう、本当にそれが解毒薬なんだろうな!?

黒木(ヒョロガリ社会人):
疑うなら私が私に打ちましょうか!?
彼女が倒れたのは、おそらくトリカブトの毒です。
一刻を争うんですよ!?


そう言って、今までにない気迫で老竹を見る黒木。
勢いに気圧されたのか、誰も彼を止めなかった。
手慣れた手つきで彼は注射を済ませると、柳を抱えてベッドに寝かせた。
そして、深くため息を吐き、額の汗を拭ってから薬瓶をカバンへと戻していく。


黒木(ヒョロガリ社会人):
多分、安静にしていればこれで大丈夫なはずです。
一命はとりとめたと思います。

紫野(脇見せ巫女):
よかった・・・!

山吹(女殴ってそうな顔):
ありがとうございます、黒木さん。
でも、トリカブトって、一体・・・

黒木(ヒョロガリ社会人):
おそらくこれです。
この部屋を探している間に、彼女の手に刺さってしまったものです。
この先に矢毒の要領でトリカブトを塗っておいたんです。


そう言って、黒木はビニールに入れた画びょうを見せた。
黒木の言うことが正しいなら、紫野の部屋を調べた人間を殺すための罠が仕掛けられていた、と言うことになる。


彩芽(ジェラピケ巫女):
ねぇ・・・藍おじ死んだのも毒だったよね?
同じ犯人が、正体に気付いたやなぎっちを殺そうとしたのかな・・・

月白(ババアIS撲殺犯):
そもそも黒木がこんな都合よく解毒薬を持っているのもおかしいじゃない!

鳩羽(スレンダー眼鏡巫女):
何故職業を隠していたんです?

山吹(女殴ってそうな顔):
・・・まずは食堂に場を移しませんか。
ここで騒いでいたら茶凛さんも休めないと思いますし。
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