19 / 38
劇薬
罠
しおりを挟む
各々が手に新たに見つけたものを携えて食堂に集まる中、一人だけ一向に姿を現さないのだ。
業を煮やした誰かが言った。
「彼女を探すべきだ」
山吹を含めて彼女が探していた部屋を知る者はいなかった。
皆が手分けして探す中、1階で叫び声が上がる。
それは、紫野の部屋からだった。
黒木(ヒョロガリ社会人):
柳さんが倒れています!
誰か、こちらに来てください!
声を聞きつけた紫野が目にしたのは、青ざめた顔で白目を剥きダラダラとよだれを垂れ流している柳の姿だった。
必死に黒木が呼びかけるも、ピクリとも動かない。
紫野は、その姿に駆け寄るや否やと叫ぶのだった。
紫野(脇見せ巫女):
茶凛さん!茶凛さん、しっかりして!
黒木(ヒョロガリ社会人):
紫野さん、そのまま呼びかけ続けてください!
まだ息はあります!
自分、荷物を取ってきます!
紫野(脇見せ巫女):
ええ?荷物?
どうしてこんな時に!
黒木(ヒョロガリ社会人):
隠してましたが、私、医者なんです。
手荷物に何か使えるものがあるかもしれない!
そう言って、次々と紫野の部屋に集まる面々と入れ違いに走っていく黒木。
暫くして彼は皮のカバンを手に戻ってきた。
そして塩水やシーツの準備を指示しながら、彼はカバンを中身を床に広げた。
中から溢れ出てきたいくつもの薬瓶を手に取って、そのうちの一つに入っていた液体で注射器を満たし始める。
老竹(若者IS放火犯):
おうおう、本当にそれが解毒薬なんだろうな!?
黒木(ヒョロガリ社会人):
疑うなら私が私に打ちましょうか!?
彼女が倒れたのは、おそらくトリカブトの毒です。
一刻を争うんですよ!?
そう言って、今までにない気迫で老竹を見る黒木。
勢いに気圧されたのか、誰も彼を止めなかった。
手慣れた手つきで彼は注射を済ませると、柳を抱えてベッドに寝かせた。
そして、深くため息を吐き、額の汗を拭ってから薬瓶をカバンへと戻していく。
黒木(ヒョロガリ社会人):
多分、安静にしていればこれで大丈夫なはずです。
一命はとりとめたと思います。
紫野(脇見せ巫女):
よかった・・・!
山吹(女殴ってそうな顔):
ありがとうございます、黒木さん。
でも、トリカブトって、一体・・・
黒木(ヒョロガリ社会人):
おそらくこれです。
この部屋を探している間に、彼女の手に刺さってしまったものです。
この先に矢毒の要領でトリカブトを塗っておいたんです。
そう言って、黒木はビニールに入れた画びょうを見せた。
黒木の言うことが正しいなら、紫野の部屋を調べた人間を殺すための罠が仕掛けられていた、と言うことになる。
彩芽(ジェラピケ巫女):
ねぇ・・・藍おじ死んだのも毒だったよね?
同じ犯人が、正体に気付いたやなぎっちを殺そうとしたのかな・・・
月白(ババアIS撲殺犯):
そもそも黒木がこんな都合よく解毒薬を持っているのもおかしいじゃない!
鳩羽(スレンダー眼鏡巫女):
何故職業を隠していたんです?
山吹(女殴ってそうな顔):
・・・まずは食堂に場を移しませんか。
ここで騒いでいたら茶凛さんも休めないと思いますし。
業を煮やした誰かが言った。
「彼女を探すべきだ」
山吹を含めて彼女が探していた部屋を知る者はいなかった。
皆が手分けして探す中、1階で叫び声が上がる。
それは、紫野の部屋からだった。
黒木(ヒョロガリ社会人):
柳さんが倒れています!
誰か、こちらに来てください!
声を聞きつけた紫野が目にしたのは、青ざめた顔で白目を剥きダラダラとよだれを垂れ流している柳の姿だった。
必死に黒木が呼びかけるも、ピクリとも動かない。
紫野は、その姿に駆け寄るや否やと叫ぶのだった。
紫野(脇見せ巫女):
茶凛さん!茶凛さん、しっかりして!
黒木(ヒョロガリ社会人):
紫野さん、そのまま呼びかけ続けてください!
まだ息はあります!
自分、荷物を取ってきます!
紫野(脇見せ巫女):
ええ?荷物?
どうしてこんな時に!
黒木(ヒョロガリ社会人):
隠してましたが、私、医者なんです。
手荷物に何か使えるものがあるかもしれない!
そう言って、次々と紫野の部屋に集まる面々と入れ違いに走っていく黒木。
暫くして彼は皮のカバンを手に戻ってきた。
そして塩水やシーツの準備を指示しながら、彼はカバンを中身を床に広げた。
中から溢れ出てきたいくつもの薬瓶を手に取って、そのうちの一つに入っていた液体で注射器を満たし始める。
老竹(若者IS放火犯):
おうおう、本当にそれが解毒薬なんだろうな!?
黒木(ヒョロガリ社会人):
疑うなら私が私に打ちましょうか!?
彼女が倒れたのは、おそらくトリカブトの毒です。
一刻を争うんですよ!?
そう言って、今までにない気迫で老竹を見る黒木。
勢いに気圧されたのか、誰も彼を止めなかった。
手慣れた手つきで彼は注射を済ませると、柳を抱えてベッドに寝かせた。
そして、深くため息を吐き、額の汗を拭ってから薬瓶をカバンへと戻していく。
黒木(ヒョロガリ社会人):
多分、安静にしていればこれで大丈夫なはずです。
一命はとりとめたと思います。
紫野(脇見せ巫女):
よかった・・・!
山吹(女殴ってそうな顔):
ありがとうございます、黒木さん。
でも、トリカブトって、一体・・・
黒木(ヒョロガリ社会人):
おそらくこれです。
この部屋を探している間に、彼女の手に刺さってしまったものです。
この先に矢毒の要領でトリカブトを塗っておいたんです。
そう言って、黒木はビニールに入れた画びょうを見せた。
黒木の言うことが正しいなら、紫野の部屋を調べた人間を殺すための罠が仕掛けられていた、と言うことになる。
彩芽(ジェラピケ巫女):
ねぇ・・・藍おじ死んだのも毒だったよね?
同じ犯人が、正体に気付いたやなぎっちを殺そうとしたのかな・・・
月白(ババアIS撲殺犯):
そもそも黒木がこんな都合よく解毒薬を持っているのもおかしいじゃない!
鳩羽(スレンダー眼鏡巫女):
何故職業を隠していたんです?
山吹(女殴ってそうな顔):
・・・まずは食堂に場を移しませんか。
ここで騒いでいたら茶凛さんも休めないと思いますし。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
探偵内海は宝船を仕舞いこむ
八木山
ミステリー
▼登場人物
内海:
元警官の探偵。立ち位置は右。
「なんぼあってもいい」ものをポケットに入れて依頼を引き受ける。
駒場:
敏腕マッチョ刑事。立ち位置は左。
本来なら事件の真相にたどり着いているはずだが、情報を整理できないせいで迷宮入りになりかける。
ヨシノ:
IQは200を超え、この世の全ての答えを知る男。
※品田遊先生の方が百倍面白いものを書いてます
ARIA(アリア)
残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
総務の黒川さんは袖をまくらない
八木山
ミステリー
僕は、総務の黒川さんが好きだ。
話も合うし、お酒の趣味も合う。
彼女のことを、もっと知りたい。
・・・どうして、いつも長袖なんだ?
・僕(北野)
昏寧堂出版の中途社員。
経営企画室のサブリーダー。
30代、うかうかしていられないなと思っている
・黒川さん
昏寧堂出版の中途社員。
総務部のアイドル。
ギリギリ20代だが、思うところはある。
・水樹
昏寧堂出版のプロパー社員。
社内をちょこまか動き回っており、何をするのが仕事なのかわからない。
僕と同い年だが、女性社員の熱い視線を集めている。
・プロの人
その道のプロの人。
どこからともなく現れる有識者。
弊社のセキュリティはどうなってるんだ?
パラダイス・ロスト
真波馨
ミステリー
架空都市K県でスーツケースに詰められた男の遺体が発見される。殺された男は、県警公安課のエスだった――K県警公安第三課に所属する公安警察官・新宮時也を主人公とした警察小説の第一作目。
※旧作『パラダイス・ロスト』を加筆修正した作品です。大幅な内容の変更はなく、一部設定が変更されています。旧作版は〈小説家になろう〉〈カクヨム〉にのみ掲載しています。
ミノタウロスの森とアリアドネの嘘
鬼霧宗作
ミステリー
過去の記録、過去の記憶、過去の事実。
新聞社で働く彼女の元に、ある時8ミリのビデオテープが届いた。再生してみると、それは地元で有名なミノタウロスの森と呼ばれる場所で撮影されたものらしく――それは次第に、スプラッター映画顔負けの惨殺映像へと変貌を遂げる。
現在と過去をつなぐのは8ミリのビデオテープのみ。
過去の謎を、現代でなぞりながらたどり着く答えとは――。
――アリアドネは嘘をつく。
(過去に別サイトにて掲載していた【拝啓、15年前より】という作品を、時代背景や登場人物などを一新してフルリメイクしました)
リモート刑事 笹本翔
雨垂 一滴
ミステリー
『リモート刑事 笹本翔』は、過去のトラウマと戦う一人の刑事が、リモート捜査で事件を解決していく、刑事ドラマです。
主人公の笹本翔は、かつて警察組織の中でトップクラスの捜査官でしたが、ある事件で仲間を失い、自身も重傷を負ったことで、外出恐怖症(アゴラフォビア)に陥り、現場に出ることができなくなってしまいます。
それでも、彼の卓越した分析力と冷静な判断力は衰えず、リモートで捜査指示を出しながら、次々と難事件を解決していきます。
物語の鍵を握るのは、翔の若き相棒・竹内優斗。熱血漢で行動力に満ちた優斗と、過去の傷を抱えながらも冷静に捜査を指揮する翔。二人の対照的なキャラクターが織りなすバディストーリーです。
翔は果たして過去のトラウマを克服し、再び現場に立つことができるのか?
翔と優斗が数々の難事件に挑戦します!
強制憑依アプリを使ってみた。
本田 壱好
ミステリー
十八年間モテた試しが無かった俺こと童定春はある日、幼馴染の藍良舞に告白される。
校内一の人気を誇る藍良が俺に告白⁈
これは何かのドッキリか?突然のことに俺は返事が出来なかった。
不幸は続くと言うが、その日は不幸の始まりとなるキッカケが多くあったのだと今となっては思う。
その日の夜、小学生の頃の友人、鴨居常叶から当然連絡が掛かってきたのも、そのキッカケの一つだ。
話の内容は、強制憑依アプリという怪しげなアプリの話であり、それをインストールして欲しいと言われる。
頼まれたら断れない性格の俺は、送られてきたサイトに飛んで、その強制憑依アプリをインストールした。
まさかそれが、運命を大きく変える出来事に発展するなんて‥。当時の俺は、まだ知る由もなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる