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青鬼の死
会議1 前編
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彼らは各々自分で水道から汲んだ水を手に、食堂の席に着いた。
本当に藍丈が毒殺されたのなら、不用意に他人の手を経た飲み物など手に取るべきではない。
そう考えると半ばヤケクソにワインを飲んでいた藍丈の飲みっぷりが、どこか懐かしく感じるのだった。
山吹(女を殴ってそうな顔):
まずは月白さんたちから話を聞きましょうか。
赤の塔は間違いなく放火と言うのは。
月白(ババア無理するな):
私と黒木さんで赤の塔の1階を調べてたじゃない?
そこでわかったことを伝えるわ。
火の手が上がったのは2階への階段の前で、換気用の穴から火種を投げ入れることができたの。
それに1階の出入り口の外にはつっかえ棒がはまっていて、扉を開けることもできなかった。
上にも外にも逃げられないなら、死ぬしかないじゃない。
黒木(ヒョロガリ社会人):
行灯の残骸は全然違う場所で見つかりましたし、やはり放火で間違いないと思います。
老竹(卍女絡みマジ要らん):
そうは言うけどよ~、その放火犯が誰か、って話だろ?
目当てはついてるのかよ。
黒木(ヒョロガリ社会人):
いえ・・・ただ計画的な犯行かと言われると違う気がするんです。
と言うのも、紅丸さんがあの場所に引きこもったのは夕食のときに藍丈さんと口論になったからであって、
それ自体がそもそも偶然じゃないですか。
柳(ポニテ元気っ娘):
今夜、紅丸さんがあの場所にいること自体偶然だった。
ってことは、事前に計画された放火じゃあなかったってこと?
鳩羽(眼鏡スレンダー巫女):
いえ、それはグレーですよ。
塔の出入り口が外から塞げることと。
小窓は放火するにはうってつけだということ。
犯人は事前にこの2つを知っていたはずです。
柳(ポニテ元気っ娘):
犯人は事前に塔の構造を知っていた、かぁ。
彩芽(ジェラピケ巫女):
でも、あの塔は私たちでさえ出入り禁止だよね?
あ、でも藍丈さんなら別か。
鳩羽(眼鏡スレンダー巫女):
全員が言いつけを守っていた、と考えるのは黒よりのグレーです。
私に限っては白確定ですが。
老竹(卍女絡みマジ要らん):
ちなみに、そこのお二人さんが犯人じゃないとも言い切れないぜ?
黒木(ヒョロガリ社会人):
それって自分と月白婦人のことを言ってます?
老竹(卍女絡みマジ要らん):
ああ、これを見ろ。
こいつは焼け死んだ紅丸の部屋にあった宿泊者帳簿だ。
ここに月白恵と黒木綾って二つの名前がある。
これ、あんたらの関係者じゃないのか?
月白(ババア無理するな):
苗字が同じってだけでそれは言いがかりじゃない。
黒木(ヒョロガリ社会人):
そうですよ。
それにその塗りつぶされた人の方が怪しいです。
それこそ、自分の関係者が過去にこの神社に来ていたことを隠そうとしてるんじゃないですか!
老竹(卍女絡みマジ要らん):
知らねーし。
彩芽(ジェラピケ巫女):
とりあえず2人をローラーすればいい感じぃ?
柳(ポニテ元気っ娘):
ごめん、話についていけないんだけど。
そもそも過去に親戚が来てたとして、何か問題でもある感じなの?
老竹(卍女絡みマジ要らん):
ここに来た時に神主と揉め事があったかもしれないだろ?
紫野(脇見せ巫女):
えと、先に謝るけど、ごめんなさい。
その帳簿の日付、1年以上前のよね。
私が来るよりも前だし、トラブルがあったとかはわからないわ。
紫野は努めて冷静に答えたように見える。
その一方で、その冷静さがどこかに取り繕った感覚が見えないでもない。
それは、彼女の顔が恐ろしいほどに美しいがための幻視か。
あるいは本当に、名簿の人物について知っているのか。
しかし、ツイと口を結んだ彼女を追求するものは誰もしない。
静まり返った食堂で、再び口を開いたのは鳩羽だった。
鳩羽(眼鏡スレンダー巫女):
そう言えば藍丈さんが毒で死んだってことで思い出したのですが。
紫野さんの部屋からこの使用済みのトリカブトが見つかりました。
本当に藍丈が毒殺されたのなら、不用意に他人の手を経た飲み物など手に取るべきではない。
そう考えると半ばヤケクソにワインを飲んでいた藍丈の飲みっぷりが、どこか懐かしく感じるのだった。
山吹(女を殴ってそうな顔):
まずは月白さんたちから話を聞きましょうか。
赤の塔は間違いなく放火と言うのは。
月白(ババア無理するな):
私と黒木さんで赤の塔の1階を調べてたじゃない?
そこでわかったことを伝えるわ。
火の手が上がったのは2階への階段の前で、換気用の穴から火種を投げ入れることができたの。
それに1階の出入り口の外にはつっかえ棒がはまっていて、扉を開けることもできなかった。
上にも外にも逃げられないなら、死ぬしかないじゃない。
黒木(ヒョロガリ社会人):
行灯の残骸は全然違う場所で見つかりましたし、やはり放火で間違いないと思います。
老竹(卍女絡みマジ要らん):
そうは言うけどよ~、その放火犯が誰か、って話だろ?
目当てはついてるのかよ。
黒木(ヒョロガリ社会人):
いえ・・・ただ計画的な犯行かと言われると違う気がするんです。
と言うのも、紅丸さんがあの場所に引きこもったのは夕食のときに藍丈さんと口論になったからであって、
それ自体がそもそも偶然じゃないですか。
柳(ポニテ元気っ娘):
今夜、紅丸さんがあの場所にいること自体偶然だった。
ってことは、事前に計画された放火じゃあなかったってこと?
鳩羽(眼鏡スレンダー巫女):
いえ、それはグレーですよ。
塔の出入り口が外から塞げることと。
小窓は放火するにはうってつけだということ。
犯人は事前にこの2つを知っていたはずです。
柳(ポニテ元気っ娘):
犯人は事前に塔の構造を知っていた、かぁ。
彩芽(ジェラピケ巫女):
でも、あの塔は私たちでさえ出入り禁止だよね?
あ、でも藍丈さんなら別か。
鳩羽(眼鏡スレンダー巫女):
全員が言いつけを守っていた、と考えるのは黒よりのグレーです。
私に限っては白確定ですが。
老竹(卍女絡みマジ要らん):
ちなみに、そこのお二人さんが犯人じゃないとも言い切れないぜ?
黒木(ヒョロガリ社会人):
それって自分と月白婦人のことを言ってます?
老竹(卍女絡みマジ要らん):
ああ、これを見ろ。
こいつは焼け死んだ紅丸の部屋にあった宿泊者帳簿だ。
ここに月白恵と黒木綾って二つの名前がある。
これ、あんたらの関係者じゃないのか?
月白(ババア無理するな):
苗字が同じってだけでそれは言いがかりじゃない。
黒木(ヒョロガリ社会人):
そうですよ。
それにその塗りつぶされた人の方が怪しいです。
それこそ、自分の関係者が過去にこの神社に来ていたことを隠そうとしてるんじゃないですか!
老竹(卍女絡みマジ要らん):
知らねーし。
彩芽(ジェラピケ巫女):
とりあえず2人をローラーすればいい感じぃ?
柳(ポニテ元気っ娘):
ごめん、話についていけないんだけど。
そもそも過去に親戚が来てたとして、何か問題でもある感じなの?
老竹(卍女絡みマジ要らん):
ここに来た時に神主と揉め事があったかもしれないだろ?
紫野(脇見せ巫女):
えと、先に謝るけど、ごめんなさい。
その帳簿の日付、1年以上前のよね。
私が来るよりも前だし、トラブルがあったとかはわからないわ。
紫野は努めて冷静に答えたように見える。
その一方で、その冷静さがどこかに取り繕った感覚が見えないでもない。
それは、彼女の顔が恐ろしいほどに美しいがための幻視か。
あるいは本当に、名簿の人物について知っているのか。
しかし、ツイと口を結んだ彼女を追求するものは誰もしない。
静まり返った食堂で、再び口を開いたのは鳩羽だった。
鳩羽(眼鏡スレンダー巫女):
そう言えば藍丈さんが毒で死んだってことで思い出したのですが。
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