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シーツに血で書かれた「061」と猫原の指先を見て、仰木は言った。
「はわわ、これは黒須の罠だ!待て、根拠もある」
サングラスの裏側でギロリとにらみつける、黒須。
それをいなしながら、仰木は向日葵に「猫原さんの指先を見てよ」と促す。
「自分の血を使ってメッセージを書いたにしては、汚れが一つもない」
「大方お前が指をレロレロしゃぶったんぢゃないの?」
「俺なら指の汚れに気付いた時点でメッセージも切り取ったりしてどうにか誤魔化すって・・・あと俺、指フェチじゃないからね?」
「つまり」話が脱線する前に、黒須は口をはさんだ。「犯人が猫原の背中の血を使って書いた偽装工作だ、そう言いたいんだな」
それはつまり、犯人が黒須であることを意味していますよねぇ。
仰木は勝ち誇ったように胸を張った。
「061と書かれたのをアルファベットだと言い出したのも、お前。要は誘導してたんだろ?」
「馬鹿な。自分が犯人でない以上、ダイイングメッセージが差す相手がお前なのは間違いない。だからそう読み解ける方法を探したまでだ」
「嘘つけ」と、確信を込めた目を向ける仰木。
・・・これが真相なの?黒須が犯人?
向日葵の混乱を見抜いたかのように、黒須は落ち着き払った様子で言った。
「惑わされるなよ、向日葵。こうなることを狙って、仰木が自分で書いた可能性もある」
「口じゃどうとでも言える。猫原さんの部屋に最後に入ったのもお前だったじゃんか」
「不審な様子はなかったと猫原自身がそう言っていたはずだ。自分は何もしていない」
「もしかしてさ」向日葵は猫原の言葉を思い出していた。「本当ににゃんたそがタイピングメッセージを残しているってことはない?」
『わしは殺されてもいいが、人殺しを野に放つほど優しくはないぞ』
「お巡りさんのにゃんたそが、生きるための人殺しを容認することはあっても、人殺しをそのままにするとは思えないんよね」
「・・・この偽のダイイングメッセージ以外に、本物のメッセージがあった、と」
黒須は部屋を見回し、「ありえる」と言葉を続けた。
「だとしたら気になるのは、やっぱりこの指だよな」
仰木は屈みこみ、ベッドの上の猫原の指に目線を合わせた。
「普通に指されただけならこんな風に指を折り込まないでしょ。左手が2で、右手が4かな。これは」
猫原との距離があまりに近いので、向日葵は仰木の脇腹を反射的に蹴っ飛ばしてしまった。
「なんで!?」と、ゴロゴロとのたうち回る仰木が叫ぶ。
「・・・今、舐めようとしてなかった?」
「してないよ!え、何そのイメージ!?どっから来てるの!?ねぇ!?」
「はわわ、これは黒須の罠だ!待て、根拠もある」
サングラスの裏側でギロリとにらみつける、黒須。
それをいなしながら、仰木は向日葵に「猫原さんの指先を見てよ」と促す。
「自分の血を使ってメッセージを書いたにしては、汚れが一つもない」
「大方お前が指をレロレロしゃぶったんぢゃないの?」
「俺なら指の汚れに気付いた時点でメッセージも切り取ったりしてどうにか誤魔化すって・・・あと俺、指フェチじゃないからね?」
「つまり」話が脱線する前に、黒須は口をはさんだ。「犯人が猫原の背中の血を使って書いた偽装工作だ、そう言いたいんだな」
それはつまり、犯人が黒須であることを意味していますよねぇ。
仰木は勝ち誇ったように胸を張った。
「061と書かれたのをアルファベットだと言い出したのも、お前。要は誘導してたんだろ?」
「馬鹿な。自分が犯人でない以上、ダイイングメッセージが差す相手がお前なのは間違いない。だからそう読み解ける方法を探したまでだ」
「嘘つけ」と、確信を込めた目を向ける仰木。
・・・これが真相なの?黒須が犯人?
向日葵の混乱を見抜いたかのように、黒須は落ち着き払った様子で言った。
「惑わされるなよ、向日葵。こうなることを狙って、仰木が自分で書いた可能性もある」
「口じゃどうとでも言える。猫原さんの部屋に最後に入ったのもお前だったじゃんか」
「不審な様子はなかったと猫原自身がそう言っていたはずだ。自分は何もしていない」
「もしかしてさ」向日葵は猫原の言葉を思い出していた。「本当ににゃんたそがタイピングメッセージを残しているってことはない?」
『わしは殺されてもいいが、人殺しを野に放つほど優しくはないぞ』
「お巡りさんのにゃんたそが、生きるための人殺しを容認することはあっても、人殺しをそのままにするとは思えないんよね」
「・・・この偽のダイイングメッセージ以外に、本物のメッセージがあった、と」
黒須は部屋を見回し、「ありえる」と言葉を続けた。
「だとしたら気になるのは、やっぱりこの指だよな」
仰木は屈みこみ、ベッドの上の猫原の指に目線を合わせた。
「普通に指されただけならこんな風に指を折り込まないでしょ。左手が2で、右手が4かな。これは」
猫原との距離があまりに近いので、向日葵は仰木の脇腹を反射的に蹴っ飛ばしてしまった。
「なんで!?」と、ゴロゴロとのたうち回る仰木が叫ぶ。
「・・・今、舐めようとしてなかった?」
「してないよ!え、何そのイメージ!?どっから来てるの!?ねぇ!?」
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