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夜時間
死因
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向日葵は息をのみ、死体に近付いた。
目を瞑った猫原の顔に、向日葵は息をのんだ。
やはり、殺されたのは猫原で間違いない。
「やっぱり・・・にゃんたそ・・・」
「死因は?」「実は毒殺だったとかないか、口元も見てくれ」
野次を飛ばしたのは、青い部屋の椅子に座りテーブルに肘をついている容疑者二人。
向日葵は、部屋から出ずに彼らに向き直った。
「うん、調べてみるわ!」
「頼んだぞ、名探偵!」「言っておくが死体が怖くて近寄れないわけではないからな」
「ごちゃごちゃうるせーな容疑者ども!」
「・・・すまーん!」「だが時間はないぞ!」
「わかってるよ!」
聞いてもいないことを呑気に言ってくる二人。
今のところ何の役にも立っていない・・・なくない?
容疑者である黒須と仰木の二人は、事件現場である猫原の部屋に入らずに、お互いを見張る。
まず向日葵が決めたのがそれだった。
犯人に与えられていたのは特別時間のたったの15分。
あわてんぼうの裏切り者が残した証拠を隠されるわけにはいかない。
一方、目のつかない自分の部屋で工作されてもマズい。
・・・かといって、別にボディビルの観客よろしく声援を送れとは一言も言っていないのだが。
布団を貫き、猫原の背に刺さったナイフ。
大きさはせいぜい剃刀程度だで、木製の持ち手の部分に刃の収まる折り畳み式で。
刃の形状は大きく曲線を描いており、いわゆるコンバットナイフや包丁というより鉈に近い。
指紋か何か残っているんだろうけど、向日葵はガリレオでも科捜研の女でもないので何もできない。
(大学残ってたら何かできたんかなぁ・・・)
向日葵、退学する前に通っていたのは経済学部である。
(マグロ経済で犯人は見つからないか・・・)
「他に傷はないか、全身くまなく探してみてよ」
青い部屋から、どこまで信用したものかわからない仰木の声援が届く。
向日葵は彼らに背を向けたまま、小さく舌打ちをした。
・・・死体の不気味さも知らないで。
『殺すのはあたしにしなね』
それでも、そう言った時の彼女のあの顔が頭から離れない。・・・猫原の犠牲には応えたいのだ。
どっちにしても、淑女の体を男にまさぐらせるわけにもいかない。
全身をわしゃわしゃと調べ終わり、「傷は背中の一つだけ!」と剣士の恥風に叫んだその時、それが目に飛び込む。
「ん?」
それは、赤い文字だった。
目を瞑った猫原の顔に、向日葵は息をのんだ。
やはり、殺されたのは猫原で間違いない。
「やっぱり・・・にゃんたそ・・・」
「死因は?」「実は毒殺だったとかないか、口元も見てくれ」
野次を飛ばしたのは、青い部屋の椅子に座りテーブルに肘をついている容疑者二人。
向日葵は、部屋から出ずに彼らに向き直った。
「うん、調べてみるわ!」
「頼んだぞ、名探偵!」「言っておくが死体が怖くて近寄れないわけではないからな」
「ごちゃごちゃうるせーな容疑者ども!」
「・・・すまーん!」「だが時間はないぞ!」
「わかってるよ!」
聞いてもいないことを呑気に言ってくる二人。
今のところ何の役にも立っていない・・・なくない?
容疑者である黒須と仰木の二人は、事件現場である猫原の部屋に入らずに、お互いを見張る。
まず向日葵が決めたのがそれだった。
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あわてんぼうの裏切り者が残した証拠を隠されるわけにはいかない。
一方、目のつかない自分の部屋で工作されてもマズい。
・・・かといって、別にボディビルの観客よろしく声援を送れとは一言も言っていないのだが。
布団を貫き、猫原の背に刺さったナイフ。
大きさはせいぜい剃刀程度だで、木製の持ち手の部分に刃の収まる折り畳み式で。
刃の形状は大きく曲線を描いており、いわゆるコンバットナイフや包丁というより鉈に近い。
指紋か何か残っているんだろうけど、向日葵はガリレオでも科捜研の女でもないので何もできない。
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・・・死体の不気味さも知らないで。
『殺すのはあたしにしなね』
それでも、そう言った時の彼女のあの顔が頭から離れない。・・・猫原の犠牲には応えたいのだ。
どっちにしても、淑女の体を男にまさぐらせるわけにもいかない。
全身をわしゃわしゃと調べ終わり、「傷は背中の一つだけ!」と剣士の恥風に叫んだその時、それが目に飛び込む。
「ん?」
それは、赤い文字だった。
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