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昼時間①
警察官
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ここから出るためには条件がある。
今回はその条件に殺人が含まれている。
「あれ、2行で済んじゃった」
すっとぼけた顔の仰木と対照的に、向日葵は顔を青くしていた。
「へ、さちゅじん・・・?」
「今のところこの青い部屋に来てからは誰も死んでないぜ?」
「ででででデスゲームじゃんそれ・・・」
やっと事態の重さを自覚した向日葵はテーブルに突っ伏した。
「恨まれるようなこと何もしてないのに・・・」
その時だった。
「ブー」というブザー音が、部屋全体に鳴り響く。
「お、終わったみたいだ」
仰木はおもむろに立ち上がり、閉じたドアの一つをカードで開く。
向日葵の寝ていた白い部屋と同じ間取りの部屋には、黒髪の女性がベッドに寝そべっていた。
「無事であったか、息災だねぇ」
「お互いね、猫原さん」
お互いのカードを交換する二人。
幼いというより姦しいといったような、口調と裏腹にキンキン響く高い声。
「ロリババア?」
立ち上がった彼女は開口一番日案割の元気な感想をそっと捨て置く。
仰木とそう背丈は変わらないほどの、女性にしては高い身長。
化粧映えしそうな顔に、どことなく不思議な雰囲気。
(ギャルの方が勝ってるは胸の大きさくらいだな)
と二人を見比べて、仰木は不躾な審判を内心で下した。
女はひざを曲げて向日葵の顔に位置を合わせて、眠たげな眼で見つめた。
「その娘が4つ目の部屋の住人かえ?」
「この人グラと声があってないよ、おーぎ!」
「ああ、今の今まで寝てたんだとさ(うるせえな)」
ジロジロと向日葵の子をと嘗め回すように見ていた女だったが、「何かを企んでいる顔でもないねぇ」と一先ずは納得した様子で、すくりと立ち上がった。
そして姿勢を正して見事な敬礼をした。
「猫原にゃんこ巡査長でありまァッす!」
「ひゃ!」と思わず背筋が伸びる。
そんな向日葵の手をそっと取り、ニギニギとする猫原。
「よろしゅう、ね」
今回はその条件に殺人が含まれている。
「あれ、2行で済んじゃった」
すっとぼけた顔の仰木と対照的に、向日葵は顔を青くしていた。
「へ、さちゅじん・・・?」
「今のところこの青い部屋に来てからは誰も死んでないぜ?」
「ででででデスゲームじゃんそれ・・・」
やっと事態の重さを自覚した向日葵はテーブルに突っ伏した。
「恨まれるようなこと何もしてないのに・・・」
その時だった。
「ブー」というブザー音が、部屋全体に鳴り響く。
「お、終わったみたいだ」
仰木はおもむろに立ち上がり、閉じたドアの一つをカードで開く。
向日葵の寝ていた白い部屋と同じ間取りの部屋には、黒髪の女性がベッドに寝そべっていた。
「無事であったか、息災だねぇ」
「お互いね、猫原さん」
お互いのカードを交換する二人。
幼いというより姦しいといったような、口調と裏腹にキンキン響く高い声。
「ロリババア?」
立ち上がった彼女は開口一番日案割の元気な感想をそっと捨て置く。
仰木とそう背丈は変わらないほどの、女性にしては高い身長。
化粧映えしそうな顔に、どことなく不思議な雰囲気。
(ギャルの方が勝ってるは胸の大きさくらいだな)
と二人を見比べて、仰木は不躾な審判を内心で下した。
女はひざを曲げて向日葵の顔に位置を合わせて、眠たげな眼で見つめた。
「その娘が4つ目の部屋の住人かえ?」
「この人グラと声があってないよ、おーぎ!」
「ああ、今の今まで寝てたんだとさ(うるせえな)」
ジロジロと向日葵の子をと嘗め回すように見ていた女だったが、「何かを企んでいる顔でもないねぇ」と一先ずは納得した様子で、すくりと立ち上がった。
そして姿勢を正して見事な敬礼をした。
「猫原にゃんこ巡査長でありまァッす!」
「ひゃ!」と思わず背筋が伸びる。
そんな向日葵の手をそっと取り、ニギニギとする猫原。
「よろしゅう、ね」
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