AIと十字館の恐怖

八木山

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<<最終ターン>>

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再び、リビングは闇に落ちていく。
壁、そして割れていたはずのテレビさえ目玉が生まれ、ギョロギョロと見まわしたかと思うと、テーブルの前に立つ主人公を見つめた。
そして壁そのものが、じりじりと押しつぶさんばかりに迫ってくる。

精神*3(3>=63):失敗

ダメだ、気圧される・・・
「星の瞳」はどう考えても人間の手に負える相手じゃない。
これから行う「交渉」さえも、成功するのか自信が失われていく。

→交渉ー10

「それで?お前自身が生贄になるんだな?」
「違う。俺はあんたと交渉がしたい」
「ほう?」

交渉(45>=37):成功

震える声ではあったが、「星の瞳」にはその言葉は届き、そして興味を持たせることに成功した。

「交渉というのは、相互利益の元に成り立つ話し合いと認識している。矮小なお前が私に何の利益をもたらすというのか」
「アンタの知らない知識を持っている」
「・・・なるほど、興味深い。言ってみろ」

押しつぶされそうなプレッシャーの中、いや迫りくる壁の中心で、主人公は叫んだ。

「星の瞳は、錬金術師により岩牡蛎から産み落とされた!」

その声が響くと同時に、壁がその動きを止める。

「・・・・・・・なる・・・ほど?」

今までの馬鹿にしたような余裕が嘘のように、脳内に響く声は真剣だった。

「確かに、私も知らない事実だ・・・そうか・・・岩牡蛎から・・・いや、まさか・・・ありえない」
「何故だ?それが虚偽であることも、事実であることも、私は認識していない」

頼む、これで退いてくれ!
引き下がってくれ!
祈りに目を瞑る主人公。

「なるほど、興味深い・・・事象だ」

「星の瞳」は、本心では認めなくないのか、実に言いにくそうに言った。
そして崩壊したかのように語り始めた。

「お前は持っている情報の価値を先に提示した。つまり私は、お前の望む通り・・・見逃してやる・・・べきなのか?あの野蛮な凡夫どもと違い文明を知る私こそは、たとえ相手が塵芥に等しいとはいえ価値を見出した以上は・・・【交渉】に応じなければ・・・ならない・・・同質であることを認める?私が?同じ目線に立つ?ありえない。否、それは・・・私の・・・存在意義・・・何から生まれたのか。起源そして期限・・・」

目玉たちはゲームのバグのように、四方八方にそれぞれバラバラに視線を移し、そして最後に結論に至った。

「わが【息子】よ、去るがいい」
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