23 / 43
第七問
お薬のめなかったね
しおりを挟む
次の部屋へのドアが開くと同時に、俺はドバっと息を吐き出した。
本当に、本当にここで終わりかもと思った。
押したのは、赤。
「うま」と書かれていたボタンだ。
ついぞ俺は正解のルールを見つけることはできなかった。
半ば発狂気味に、50%の運否天賦に身を委ねてしまったのだ。
背を丸めていた俺は、ドアの前の床に座っている男にすぐさま気付いた。
ボロ布を着た若い男が、こちらの顔を下から見上げている。
「ああ、どうも・・・」
弱弱しく言うとむくりと起き上がる。
190cmはあろうかと言う長身の男は、ケホケホと咳込んだ。
「すいません、体調が・・・胸に持病がありまして・・・」
「そうなのか、そりゃ辛いな」
男は、決して顔色もよくない。
はぁ~、と深くため息を吐いた男は続けて言った。
「もしよければ、僕から100万で情報を買ってくれませんか」
「やだよ、胡散臭い」
「そう言わずに聞いてくださいよ」
若い男はそう言いながら、テーブルにドサリと覆いかぶさった。
そして先ほどよりもひどく、ゲホゲホと背中を揺らす。
「そろそろ薬を飲まないといけないんです。こんなにクイズを解くのに時間がかかると思ってなくて」
「それは、ご愁傷様」
「だから、僕はもうこのクイズを10問解ききるのは諦めます」
男は目を細め、恨めしそうに虚空に吐き出した。
諦めるの、2人目ェ!?
本当に、本当にここで終わりかもと思った。
押したのは、赤。
「うま」と書かれていたボタンだ。
ついぞ俺は正解のルールを見つけることはできなかった。
半ば発狂気味に、50%の運否天賦に身を委ねてしまったのだ。
背を丸めていた俺は、ドアの前の床に座っている男にすぐさま気付いた。
ボロ布を着た若い男が、こちらの顔を下から見上げている。
「ああ、どうも・・・」
弱弱しく言うとむくりと起き上がる。
190cmはあろうかと言う長身の男は、ケホケホと咳込んだ。
「すいません、体調が・・・胸に持病がありまして・・・」
「そうなのか、そりゃ辛いな」
男は、決して顔色もよくない。
はぁ~、と深くため息を吐いた男は続けて言った。
「もしよければ、僕から100万で情報を買ってくれませんか」
「やだよ、胡散臭い」
「そう言わずに聞いてくださいよ」
若い男はそう言いながら、テーブルにドサリと覆いかぶさった。
そして先ほどよりもひどく、ゲホゲホと背中を揺らす。
「そろそろ薬を飲まないといけないんです。こんなにクイズを解くのに時間がかかると思ってなくて」
「それは、ご愁傷様」
「だから、僕はもうこのクイズを10問解ききるのは諦めます」
男は目を細め、恨めしそうに虚空に吐き出した。
諦めるの、2人目ェ!?
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
このブラジャーは誰のもの?
本田 壱好
ミステリー
ある日、体育の授業で頭に怪我をし早退した本前 建音に不幸な事が起こる。
保健室にいて帰った通学鞄を、隣に住む幼馴染の日脚 色が持ってくる。その中から、見知らぬブラジャーとパンティが入っていて‥。
誰が、一体、なんの為に。
この物語は、モテナイ・冴えない・ごく平凡な男が、突然手に入った女性用下着の持ち主を探す、ミステリー作品である。
強制憑依アプリを使ってみた。
本田 壱好
ミステリー
十八年間モテた試しが無かった俺こと童定春はある日、幼馴染の藍良舞に告白される。
校内一の人気を誇る藍良が俺に告白⁈
これは何かのドッキリか?突然のことに俺は返事が出来なかった。
不幸は続くと言うが、その日は不幸の始まりとなるキッカケが多くあったのだと今となっては思う。
その日の夜、小学生の頃の友人、鴨居常叶から当然連絡が掛かってきたのも、そのキッカケの一つだ。
話の内容は、強制憑依アプリという怪しげなアプリの話であり、それをインストールして欲しいと言われる。
頼まれたら断れない性格の俺は、送られてきたサイトに飛んで、その強制憑依アプリをインストールした。
まさかそれが、運命を大きく変える出来事に発展するなんて‥。当時の俺は、まだ知る由もなかった。
ARIA(アリア)
残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……
リモート刑事 笹本翔
雨垂 一滴
ミステリー
『リモート刑事 笹本翔』は、過去のトラウマと戦う一人の刑事が、リモート捜査で事件を解決していく、刑事ドラマです。
主人公の笹本翔は、かつて警察組織の中でトップクラスの捜査官でしたが、ある事件で仲間を失い、自身も重傷を負ったことで、外出恐怖症(アゴラフォビア)に陥り、現場に出ることができなくなってしまいます。
それでも、彼の卓越した分析力と冷静な判断力は衰えず、リモートで捜査指示を出しながら、次々と難事件を解決していきます。
物語の鍵を握るのは、翔の若き相棒・竹内優斗。熱血漢で行動力に満ちた優斗と、過去の傷を抱えながらも冷静に捜査を指揮する翔。二人の対照的なキャラクターが織りなすバディストーリーです。
翔は果たして過去のトラウマを克服し、再び現場に立つことができるのか?
翔と優斗が数々の難事件に挑戦します!
伏線回収の夏
影山姫子
ミステリー
ある年の夏。俺は15年ぶりにT県N市にある古い屋敷を訪れた。某大学の芸術学部でクラスメイトだった岡滝利奈の招きだった。かつての同級生の不審死。消えた犯人。屋敷のアトリエにナイフで刻まれた無数のXの傷。利奈はそのなぞを、ミステリー作家であるこの俺に推理してほしいというのだ。俺、利奈、桐山優也、十文字省吾、新山亜沙美、須藤真利亜の六人は、大学時代にこの屋敷で共に芸術の創作に打ち込んだ仲間だった。グループの中に犯人はいるのか? 脳裏によみがえる青春時代の熱気、裏切り、そして別れ。懐かしくも苦い思い出をたどりながら事件の真相に近づく俺に、衝撃のラストが待ち受けていた。
《あなたはすべての伏線を回収することができますか?》
昭和レトロな歴史&怪奇ミステリー 凶刀エピタム
かものすけ
ミステリー
昭和四十年代を舞台に繰り広げられる歴史&怪奇物語。
高名なアイヌ言語学者の研究の後を継いだ若き研究者・佐藤礼三郎に次から次へ降りかかる事件と災難。
そしてある日持ち込まれた一通の手紙から、礼三郎はついに人生最大の危機に巻き込まれていくのだった。
謎のアイヌ美女、紐解かれる禁忌の物語伝承、恐るべき人喰い刀の正体とは?
果たして礼三郎は、全ての謎を解明し、生きて北の大地から生還できるのか。
北海道の寒村を舞台に繰り広げられる謎が謎呼ぶ幻想ミステリーをどうぞ。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる