13 / 43
第三問
消極的な勝負は戦意なしと見なされ判定が不利になります、ボクシングでは
しおりを挟む
10億取れたら連絡くれと言われても、俺も確信があるわけじゃないんだがな。
という心中を見透かしたかのように彼女は続けて言った。
「まあ、あんたが有望株とは思ってないスよ?問題文だけ見て諦めがついたら、私みたいにその名刺を相手に渡してクリアしたら連絡ちょーだいって言ってくれればウチは構わないんで」
「失礼だな!それに何で負けて傷心中の俺がそこまでしないといけないんだよ」
「10億のチャンスをタダで譲ってあげるんすから、そんくらいしてくださいよ」
彼女の表情に嘘っぽさは感じられない。
だが「単なる早押しは面倒だから勝ちを譲る」?
本当にこの女の口車を信じていいのか?
ここは3問目。彼女はそう言いながらも、一度は誰かを蹴落としているのだから。
「ったくもう、面倒だなぁ」
彼女はそう言いながら、準備完了ボタンを押す。
ほれ見ろ、結局早押し勝負だ。
だが彼女はテーブルから離れて、床に座り込んだ。
ん~?どういうこと~?
俺が準備完了ボタンを押したらクイズ始まるんだぜ~?
そんな彼女は言った。
「言ったでしょ、もう面倒だって。こっちは日当5万ぽっちだってのにがっつり待たされて正味うんざりなんスよ」
たまげたな、彼女は本当に勝ちを譲る気でいるらしい。
こうなってしまっては疑っても仕方がない、俺も準備完了ボタンを押す。
カウントの後に表示された選択肢をもとに悠々と青のボタンを押す。
「正解、432番」というアナウンスが響くだけのシュールな時間を切り裂いたのは、彼女の拍手だった。
「いやーお見事。ワタシジャアカナワナカッタナー。じゃ、優勝したら連絡ください」
「本当にいいのかよ。10億あればバイトなんてしなくて済むのに」
「楽して確実にもらえる5万円でウチは満足なんス」
彼女は笑いながら立ち上がり、ぱっぱと尻に着いた埃を払った。
「それに」と小さく付け加えてから、皮肉気に天井を仰いでこう言うのだ。
「結局、誰も10億は手にできないんスから」
という心中を見透かしたかのように彼女は続けて言った。
「まあ、あんたが有望株とは思ってないスよ?問題文だけ見て諦めがついたら、私みたいにその名刺を相手に渡してクリアしたら連絡ちょーだいって言ってくれればウチは構わないんで」
「失礼だな!それに何で負けて傷心中の俺がそこまでしないといけないんだよ」
「10億のチャンスをタダで譲ってあげるんすから、そんくらいしてくださいよ」
彼女の表情に嘘っぽさは感じられない。
だが「単なる早押しは面倒だから勝ちを譲る」?
本当にこの女の口車を信じていいのか?
ここは3問目。彼女はそう言いながらも、一度は誰かを蹴落としているのだから。
「ったくもう、面倒だなぁ」
彼女はそう言いながら、準備完了ボタンを押す。
ほれ見ろ、結局早押し勝負だ。
だが彼女はテーブルから離れて、床に座り込んだ。
ん~?どういうこと~?
俺が準備完了ボタンを押したらクイズ始まるんだぜ~?
そんな彼女は言った。
「言ったでしょ、もう面倒だって。こっちは日当5万ぽっちだってのにがっつり待たされて正味うんざりなんスよ」
たまげたな、彼女は本当に勝ちを譲る気でいるらしい。
こうなってしまっては疑っても仕方がない、俺も準備完了ボタンを押す。
カウントの後に表示された選択肢をもとに悠々と青のボタンを押す。
「正解、432番」というアナウンスが響くだけのシュールな時間を切り裂いたのは、彼女の拍手だった。
「いやーお見事。ワタシジャアカナワナカッタナー。じゃ、優勝したら連絡ください」
「本当にいいのかよ。10億あればバイトなんてしなくて済むのに」
「楽して確実にもらえる5万円でウチは満足なんス」
彼女は笑いながら立ち上がり、ぱっぱと尻に着いた埃を払った。
「それに」と小さく付け加えてから、皮肉気に天井を仰いでこう言うのだ。
「結局、誰も10億は手にできないんスから」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
virtual lover
空川億里
ミステリー
人気アイドルグループの不人気メンバーのユメカのファンが集まるオフ会に今年30歳になる名願愛斗(みょうがん まなと)が参加する。
が、その会を通じて知り合った人物が殺され、警察はユメカを逮捕する。
主人公達はユメカの無実を信じ、真犯人を捕まえようとするのだが……。
カフェ・シュガーパインの事件簿
山いい奈
ミステリー
大阪長居の住宅街に佇むカフェ・シュガーパイン。
個性豊かな兄姉弟が営むこのカフェには穏やかな時間が流れる。
だが兄姉弟それぞれの持ち前の好奇心やちょっとした特殊能力が、巻き込まれる事件を解決に導くのだった。
最後の一行を考えながら読むと十倍おもしろい140文字ほどの話(まばたきノベル)
坂本 光陽
ミステリー
まばたきをしないうちに読み終えられるかも。そんな短すぎる小説をまとめました。どうぞ、お気軽に御覧ください。ラスト一行のカタルシス。ラスト一行のドンデン返し。ラスト一行で明かされる真実。一話140字以内なので、別名「ツイッター小説」。ショートショートよりも短いミニミニ小説を公開します。ホラー・ミステリー小説大賞に参加しておりますので、どうぞ、よろしくお願いします。
『焼飯の金将社長射殺事件の黒幕を追え!~元女子プロレスラー新人記者「安稀世」のスクープ日誌VOL.4』
M‐赤井翼
ミステリー
赤井です。
「元女子プロレスラー新人記者「安稀世《あす・きよ》」のスクープ日誌」シリーズも4作目!
『焼飯の金将社長射殺事件の黒幕を追え!』を公開させていただきます。
昨年末の「予告」から時間がかかった分、しっかりと書き込ませていただきました。
「ん?「焼飯の金将」?」って思われた方は12年前の12月の某上場企業の社長射殺事件を思い出してください!
実行犯は2022年に逮捕されたものの、黒幕はいまだ謎の事件をモチーフに、舞台を大阪と某県に置き換え稀世ちゃんたちが謎解きに挑みます!
門真、箱根、横浜そして中国の大連へ!
「新人記者「安稀世」シリーズ」初の海外ロケ(笑)です。100年の歴史の壁を越えての社長射殺事件の謎解きによろしかったらお付き合いください。
もちろん、いつものメンバーが総出演です!
直さん、なつ&陽菜、太田、副島、森に加えて今回の準主役は「林凜《りん・りん》」ちゃんという中国からの留学生も登場です。
「大人の事情」で現実事件との「登場人物対象表」は出せませんので、想像力を働かせてお読みいただければ幸いです。
今作は「48チャプター」、「400ぺージ」を超える長編になりますので、ゆるーくお付き合いください!
公開後は一応、いつも通り毎朝6時の毎日更新の予定です!
それでは、月またぎになりますが、稀世ちゃんたちと一緒に謎解きの取材ツアーにご一緒ください!
よ~ろ~ひ~こ~!
(⋈◍>◡<◍)。✧💖
ARIA(アリア)
残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……
Arachne 2 ~激闘! 敵はタレイアにあり~
聖
ミステリー
学習支援サイト「Arachne」でのアルバイトを経て、正社員に採用された鳥辺野ソラ。今度は彼自身がアルバイトスタッフを指導する立場となる。さっそく募集をかけてみたところ、面接に現れたのは金髪ギャルの女子高生だった!
年下の女性の扱いに苦戦しつつ、自身の業務にも奮闘するソラ。そんな折、下世話なゴシップ記事を書く週刊誌「タレイア」に仲間が狙われるようになって……?
やけに情報通な記者の正体とは? なぜアラクネをターゲットにするのか?
日常に沸き起こるトラブルを解決しながら、大きな謎を解いていく連作短編集ミステリ。
※前作「Arachne ~君のために垂らす蜘蛛の糸~」の続編です。
前作を読んでいなくても楽しめるように書いたつもりですが、こちらを先に読んだ場合、前作のネタバレを踏むことになります。
前作の方もネタバレなしで楽しみたい、という場合は順番にお読みください。
作者としてはどちらから読んでいただいても嬉しいです!
第8回ホラー・ミステリー小説大賞 にエントリー中!
毎日投稿していく予定ですので、ぜひお気に入りボタンを押してお待ちください!
▼全話統合版(完結済)PDFはこちら
https://ashikamosei.booth.pm/items/6627473
一気に読みたい、DLしてオフラインで読みたい、という方はご利用ください。
※私のプロフィール欄からBOOTHに飛ぶことができます。

磯村家の呪いと愛しのグランパ
しまおか
ミステリー
資産運用専門会社への就職希望の須藤大貴は、大学の同じクラスの山内楓と目黒絵美の会話を耳にし、楓が資産家である母方の祖母から十三歳の時に多額の遺産を受け取ったと知り興味を持つ。一人娘の母が亡くなり、代襲相続したからだ。そこで話に入り詳細を聞いた所、血の繋がりは無いけれど幼い頃から彼女を育てた、二人目の祖父が失踪していると聞く。また不仲な父と再婚相手に遺産を使わせないよう、祖母の遺言で楓が成人するまで祖父が弁護士を通じ遺産管理しているという。さらに祖父は、田舎の家の建物部分と一千万の現金だけ受け取り、残りは楓に渡した上で姻族終了届を出して死後離婚し、姿を消したと言うのだ。彼女は大学に無事入学したのを機に、愛しのグランパを探したいと考えていた。そこでかつて住んでいたN県の村に秘密があると思い、同じ県出身でしかも近い場所に実家がある絵美に相談していたのだ。また祖父を見つけるだけでなく、何故失踪までしたかを探らなければ解決できないと考えていた。四十年近く前に十年で磯村家とその親族が八人亡くなり、一人失踪しているという。内訳は五人が病死、三人が事故死だ。祖母の最初の夫の真之介が滑落死、その弟の光二朗も滑落死、二人の前に光二朗の妻が幼子を残し、事故死していた。複雑な経緯を聞いた大貴は、専門家に調査依頼することを提案。そこで泊という調査員に、彼女の祖父の居場所を突き止めて貰った。すると彼は多額の借金を抱え、三か所で働いていると判明。まだ過去の謎が明らかになっていない為、大貴達と泊で調査を勧めつつ様々な問題を解決しようと動く。そこから驚くべき事実が発覚する。楓とグランパの関係はどうなっていくのか!?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる