10問解くと10億もらえるクイズだけど、君たちには解けないと思います＾＾

第一問

早押しってそういう意味じゃないだろ

「ブー、不正解。234番」
「えっ」

えっ･･･？
無機質な機械音声は、二度も三度も宣告しない。
静寂の中で、信じられないといったような顔で、ずるずると男は崩れ落ちる。

姑息な手を使った上で回答を間違えたのか、この男は。
「うううう」と声にならない呻き声をあげながら、回復体位に体を縮こませていく。


「早く押せばいいんじゃないのかよォ･･･」
「さてはお前馬鹿だろ」
「でもな、俺はここまで確かに早い者勝ちで勝ってきたんだよ」


俺はドン引いていた。
こんな奴、今までの人生に一人もいなかったしな。
メソメソと恨み言を言っていた眼鏡の男だったが、結局納得いかないと言わんばかりに大声で泣き始めた。
見てられない。


「クソ、何もかもがクソだ。おぉーーん！」
「クイズ作家でもないだろお前。嘘つきめ、泥棒の始まりだぞ」
「いや、売れないクイズ作家ではあるよ･･･あーだめだ、全然泣けてきたわ」

あーあ、泣いちゃったよ。
クイズ作家なら尚のこと早押し問題は早押しするだけじゃ突破は無理だってわかるだろ･･･

もういいや、こいつにこれ以上体力を割きたくない。
画面を見ると赤の「イヤリング」が消えて、青の「皿」だけが画面に残っている。
･･･いや、皿！？ピカソが皿作ってたのか！？
全然ピンとこないけども、俺は手元の青のボタンを押しドアへと歩く。


「いいよ、行けよ若者。ただし俺に勝った以上は鵜の目鷹の目の精神を忘れるなよ？」
「･･･能ある鷹は唐辛子みたいなこと？」
「注意深く観察しろってことだよ！クイズってのは、観察が9割なんだからな！」


早押しおじさんが今更になって背後でそんなことを言っている。
自動ドアをくぐり、誰もいない部屋に入りながら俺は逡巡した。
･･･クイズって知識勝負じゃないのか？