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第零問

Q.これデスゲーム? A.違います

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三間坂と名乗った案内係の若い女性は、と明るい茶髪のポニーテールを揺らしながらはにかむ。


「えへへ、噛んじゃいましたね」


10億あれば彼女の心も射止められるのだろうか。
でも金でなびくような女性であってほしくないなとも思う。
これ、マジで哲学っすよね。


「本日は10億チャレンジに挑戦いただきありがとうございます」
「いえいえこちらこそ!素敵な機会をありがとうございます!」
「これから会場まで向かいます。しっかりと私についてきてくださいね」


バスガイドさんかよ。
と思ったのはいつだったかしらと懐かしくもなるわねえ。
まっすぐ歩けども歩けども見えぬ廊下の先。
こんだけデカい建物ならガイドは必要だわな・・・

そんなことを考えていると、ガラス張りの食堂が現れた。
中には会場で見た顔がちらちらといた。


「このクイズ、ネタバレ厳禁となっておりまして、クイズ終了後での参加者の方との接触は禁止となっております。クイズに失敗した方にはイベント終了まであちらのカフェテラスでビュッフェをお楽しみいただいております」


【どう見てもバイキングにしか見えないが、あれはビュッフェっていうの?】と聞こうかとも思ったが、ぐっと飲み干す。


「つまりクイズを間違えたからと言って内臓を抜き取られたりはしないってことですか?」
「そんなことしたら警察に怒られちゃいますね笑」


三間坂さんは驚くでもなく呆れるでもなく、小さく笑った。
きっと同じような質問を何人もしているのだろう。
にも関わらず「警察に怒られる」と言う表現をするあたり、彼女の幼さが際立たってイイよね。

「デスゲームではない?」
「あくまで主催者のメーロン・マスク氏の資産整理と個人的な趣味を兼ねた、専門家と警察の指示に基づいて設計企画された、クイズイベントですので、その点はご安心ください!」


わぁ!それならご安全だね!俺はおじさんで、小学生より頭がいいから楽勝だ~!
そうこうしていると、廊下の突き当りまで着いてしまった。
三間坂さんは開いたエレベータのドアに入り、続いて入ろうとする俺に向かって思い出したかのように言った。


「あっそうだ。トイレ、大丈夫ですか?」
「ええ、トイレ、大丈夫です」


これが問1なら、どんなに簡単だろうか。
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